土平のきの

ようやく巡り会えましたね。 偶然?かもしれません。 運命?じゃないかも。 まぁ出会って…

土平のきの

ようやく巡り会えましたね。 偶然?かもしれません。 運命?じゃないかも。 まぁ出会ってしまったんだから、 ちょっと寄っていきなさいや。 ようこそ。 わがままで、卑屈で、笑っていたくて、 愛を求めてる、そんな嘆き屋の住処へ。

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  • ジョウカツ

    人は死後、どうなるんでしょうか。 答えは簡単。ジョウカツです。 意味がわからないって? これを読めば分かるはず…。

  • ファイブ!〜廃部にはさせない!〜

    部員が5人いないと廃部?! それを阻止するために奮闘する、演劇部の物語。

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ファイブ!〜廃部にはさせない!〜①

≪チッチッチッ≫ 2018年4月12日15時25分。 某 東京都立高等学校、その一角を担う化学講義室に、手に汗握る緊張が走るッ!!! ≪ペタンっペタンっ≫ 渡り廊下に響き渡る、よく使いこまれたサンダルの音。 ≪ガラガラッ≫ その場にいた人間が、一斉に扉を見る。 「遅くなって済まない。HRが長引いてしまった。」 一人の男が化学講義室に入室した。その男は肩で風を切る勢いで教壇に立ち、カバンを下した。 「では、緊急会議を始める!!」 この物語は、ある高校で起きた、熱き演劇部

    • ジョウカツ⑲

      【19】ジョウカツ。 「いよいよジョウカツも最後です。真治さん、最後にあなたがしたい事は何ですか?」 「…。最後の後悔。今なら分かる気がします。…父が亡くなる前、僕は憔悴していく父の姿に耐えられませんでした。薄々気づいていたんです。もう父が家に帰ってこないという事を。だから僕は決めたんです。父を苦しめた病気を治せる医者になろうって。たくさんの人を助けたいって。そうすれば、母さんや日和を守っていけるって。…でも結局、夢も叶えられずに死んでしまった。…これが僕の最後の後悔です

      • ジョウカツ⑱

        【18】最後の手紙 僕たちはなんとか浅間さんとジョウカツを続けられる事になった。 「真治さん、本当にありがとう。」 「いえいえ。浅間さんがいてくれたから、僕はまだジョウカツできているんです。これからもよろしくお願いします。」 「…こちらこそ。」 「あ、でも華ちゃんにはなんて言ったら…」 「もう我々の姿や声を認識は出来ないでしょうね…。恐らく笛藤さんなら、彼女の魂に働きかけて、記憶も曖昧にする事ぐらいのことはしてると思います。」 「そんなことも出来るんですね…。最

        • ジョウカツ⑰

          【17】浅間純子。 笛藤が黒い繭を解くと、浅間さんはそのまま地面に倒れこんだ。 「ごほっごほっ」 「あ、浅間さん!大丈夫ですか!さっき何ともないって…」 「あぁ、あれは嘘だよ。」 「嘘?」 「僕の繭は受刑者に対してのみ、効果があるんだ。対象に一種の呼吸困難と同じような苦しみを与え続ける。」 「ごほっごほっ」 「そんなのって…」 「酷いと思うかい?これは君たちの為でもあるんだ。受刑者の魂が暴走した時、すぐに制圧できるようにね。それに、僕の名前はテキトウだよ?全

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        ファイブ!〜廃部にはさせない!〜①

        マガジン

        • ジョウカツ
          18本
        • ファイブ!〜廃部にはさせない!〜
          10本

        記事

          ジョウカツ⑯

          【16】正体。 「ぼくも遊ぶー!」 3人はその声に固まった。先ほどの少年が、木の枝に腰をかけ、こちらに微笑みかけている。先ほどの会話は聞こえないはず。なのに何で。 「え?…君、聞こえてるの?」 「うん!聞こえてるよ!」 次の瞬間、少年は木の上から浅間さんの右隣に移動した。 「え!何?」 「君は一体…?」 「…そういう事ですか。」 「え?浅間さん、この子知ってるの?」 「いえ、知ってるもの何も…。テキトウさん、そろそろ遊びはお止めください。」 『え?』 「

          ジョウカツ⑯

          ジョウカツ⑮

          【15】 時刻は11頃。段々と日照りが強くなり、アスファルトから陽炎が立ち上っていた。 「あっついね〜。二人はなんともないの?」 「私たちは霊体ですので、物理的なものには干渉されないんです。」 「え〜羨ましいなぁ〜」 「いや、恨めしいですよ。」 「あ、あぁ。ごめん。」 「ね、眠い…。」 僕のジョウカツに華ちゃんが参加するとは思わなかったが、仲間が増えると心強い。随分とデコボコしてるけど。 「あっ、着いたね。うわ〜懐かしい〜。」 寺には虫とり網を持った子供達

          ジョウカツ⑮

          ジョウカツ⑭

          【14】驚き…! 僕たちは、ようやく献花してくれた人物の家を探し出した。 玄関からお邪魔すると靴は一足だけあり、横には可愛らしい水槽があり、中ではグッピー達が優雅に泳いでいた。 「はへぇぇ」 「オシャレなおうちですね〜」 「一階には誰もいないみたいですね。二階に上がってみましょう。」 二階に上がると個室が三つあり、それぞれの住人の名前が飾ってあった。 「とりあえず、しらみ潰しに部屋を覗きましょうか。」 「なんかすごい背徳感…」 「真治さん、それもまた人生ですよ

          ジョウカツ⑭

          ジョウカツ⑬

          【13】花の送り主。 僕の机に花を供えてくれた人物を見つけるため、教室で待機していた僕らの前に現れたのは、僕を遊びに誘おうとしてくれた森嶋だった。 「真治さん、この方は?」 「この子は森嶋くんです。僕が死ぬ前に遊びに誘ってくれた子で。」 「お友達なんですか?」 「あ、いえ。そこまで親しくは…」 鼻歌交じりに花瓶の水を替えて、強すぎる日差しが入らないように、カーテンを軽く広げてくれてた。 「めちゃくちゃ丁寧…この子できる…!」 「森嶋くんはクラスでは目立とうとし

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          ジョウカツ⑫

          【12】これは誰からの…? 母さんと日和と過ごした家をあとにして。 僕はいつ零れるとも分からない涙を蓄えて、宛もなく歩いていた。 「ずびっ。ちゃんと伝わったと思います?」 「分かりません。でも、伝えないよりはマシだと、この仕事をしてて、つくづく思いますよ。」 「そう…ですね。」 「真治さん、しっかり未練あるじゃないですか!なんか俺には思い出なんか無い〜みたいなオーラ出しておいて。」 バインダーで背中を叩かれて、なんだか浅間さんらしくない気がした。 「自分でも気づ

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          ジョウカツ⑪

          【11】僕の全部 僕は2人の枕の間に座り、いざ伝えようとしたけど。 過去の恥ずかしい事を晒された事に動揺が隠せず、せっかくまとめた言葉も忘れて。結局、自分の伝えたい事を全部伝えてしまった。 「母さんなんだか久しぶりだね。…ごめんね。俺が先に死んじゃって、迷惑かけて。もう伝わるかは分からないけど…俺を産んでくれてありがとう。いつも母さんは俺達にごめんねって、1番辛いはずの母さんが謝ってるけど、もう謝らないで。俺達は母さんの子供に生まれて、十分幸せでした。確かに皆からしたら、

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          ジョウカツ⑩

          【10】あの日のこと。 夜が深く、動物の気配もしなくなった頃。 僕らは自宅に向かっていた。 「それにしても、真治さんは運がいいのかもしれないですね。」 「どういうことです?」 「この方法には、いくつかの条件があるんです。」 「条件?」 「まず一つ目は、死後二週間以内であるということ。これはご家族にあなたの記憶が色濃く残っているかどうかがポイントなんです。」 「というと?」 「人の記憶は、日々更新されていきますよね?そして、『その人物の記憶』は声、体格、顔の順に

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          ジョウカツ⑨

          【9】一か八か。 浅間さんと僕は一度、寺に戻ることにした。 ただ地面を見つめながら、歩いていた。 「真治さん、これは仕方ない事なんです。後悔したからってどうする事も出来ませんよ。」 「わかってますよ!わかってますけど…。」 「…真治さんはMなんですか?」 「は?何ですか急に。」 「そうやって、全部自分のせいにしなきゃ気が済まないんですか?!よほどご自身を痛めつけるのがお好きなようで!」 「…そういうわけじゃ…」 「そういうわけじゃないなら!勝手に背負い込んで、

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          ジョウカツ⑧

          【8】家族の元へ。 「あの、この2日間って、僕はどんな状態だったんですか?」 「真治さんは、あの場から動かず、そのまま座っていました。でも、声をかけても反応が無かったので…。」 「そうですか…。」 「流石に私もどうしていいか分からず、上司に連絡を取ったら、その場に留まっているなら、まだ可能性があると言われて。」 「どういう事ですか?」 「もし、意識が帰って来なければ、あてもなくただ歩き出して、次第に霊体が形を保てず、離散するだろうとの事でした。」 「なるほど…。

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          ジョウカツ⑦

          【7】募る不安。 ≪リーリーリーリー≫ 辺りが暗くなり、鈴虫が鳴いていた。 しかし、その音色を楽しんでいる余裕は、僕にはなかった。 「2日…。2日って、どういうことですか?」 「すみません。私の注意が足らなかったです。申し訳ないです。」 「え?待ってください。今、何日ですか!」 「今日は7月25日。時刻は19時30分といったところです。」 「え…。え、な。」 「すみません。混乱するのもわかりますが、まず確認させてください。あなたの名前は?」 「あ、はい。佐藤真

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          ジョウカツ⑥

          【6】あの日。 時刻は15時12分。 本殿の受付の時計が、正確な時刻を教えてくれた。 僕は何となく、小学生だった時の記憶を辿るように歩いていた。 「真治さんは、この本殿にも来たことがあるんですか?」 「はい。友達と遊んで、住職に叱られたのはこの本殿なんです。初めて正座をして、一時間くらいお説教でした。」 「あははは。それはそれは。」 「でも、そのあとは住職さんも、もう走り回らない約束ができるならって言って、お茶菓子を出してくれて。」 「わー良い人ですね~。そして躾な

          ジョウカツ⑥

          ジョウカツ⑤

          【5】つかの間の休息。 死霊保護観察官の浅間さんから、四十九日の説明を受け終わる頃には、僕の死体とそこら中に飛び散った血液達は文字通り、水に流されて、ただのシミになっていった。 生前、僕がこういう現場をあまり見なかったのは、こういう日本人の勤勉な手際の良さで、隠されていたんだと実感した。 「近くの寺社仏閣は、どちらですかね?」 「僕の自宅の近くに…。っていうか母さん達になんて言えば?!」 「いやいや、伝える手段はほぼ無いですよ?死人に口なし。」 「それはそうですけど

          ジョウカツ⑤