「始まったら」こうなるであろう生き地獄。 ~ ミュージカル 『夜の女たち』 ~
レッツ☆観劇で初めての劇場を調べたら、危うく公演中止かと思った!!
っと、ひとり大慌てだった昨日。
本日は朝、無事に開演されるかしら?と、目を皿のようにして公演HPをチェックし、満を持して家を出ました。
場所は「KAAT神奈川芸術劇場」で、オシャレな横浜。
自宅の最寄り駅からは乗り換えが多いのですが、最寄り駅の倍の距離の駅から「あっついわぁ」とテクテクしながら乗ったので乗り換え無しで「日本大通り駅」に行けました。
日本大学は色んなところにあるわねぇと思っていたら、通りの名前なんですね、早速うっかり八兵衛しました。
しかし、予定通りの電車に乗れましたし、駅の出口も間違えずに出て、地上でグーグル先生チェックをして、早速真逆へ歩きかけたところ、修正に成功して、無事に劇場到着。
安泰です。(えっ?)
席は1階席の15列目の右サイド。
こちらも良い劇場で前の方の頭が気にならない良い高さと角度です。
天井が物凄く高いので、本日の生オケが開演前に音合わせをされていましたが、良い感じに響いて辺りが柔らかく耳に届く感じでした。
さてさて、ややネタバレを含む感想文に突入致します。
これから観劇予定の方は、またお立ち寄り頂けましたら幸いです♪
ストーリーは戦後の日本がアメリカ占領下にある大阪釜ヶ崎、現あいりん地区です。
夫が戦地から帰って来ない上に、病気の幼子を抱え、年老いた義理の母と自転車修繕の仕事をしている義理の弟、義理の妹:伊原六花さんと生活している江口のりこさんを軸にストーリーは展開して行きます。
江口さんの家族はご両親と妹:前田敦子さんが海外の戦地からまだ日本に戻っておらず。
江口さんは苦しい生活の中で、病気の幼子がいなかったら外に働きに出たいところですがそうも行かず、手持ちの着物を古着屋へ持ち込み、買い取って貰うことが日課となっています。
ある日、いつもの古着屋に着物を持ち込むも思うような金額を提示されず、やや押し問答があります。そこで古着屋の女主人にそれとなく「面倒を見てくれる人を紹介する」っと耳打ちされます。
「みんなやっていることだよ」っと、付け加えられ。
江口さんは「そんなことは出来ない!!」っと怒って帰宅しての、数日後。
伊原さんが勤め先の工場のラジオから「尋ね人」として江口さんの夫の消息がわかります。
急いで駆け付けた江口さんの手元には、夫が残した万年筆やガマグチ、手帳などの物だけが届き、夫はシベリア抑留先で息絶えたと知ります。
失意のまま帰宅する江口さんへ追い打ちをかけるように、病気の幼子の死が待っていました。
何もかもどうでも良くなった江口さんは、古着屋の女主人の斡旋で、とある商社へ勤めるようになります。ただの事務員ではなく、兼社長の愛人として。
しばらくすると、海外から帰国していた前田さんと江口さんはひょんなことから再会出来ます。ただ、ご両親は海外で亡くなってしまったとわかり、前田さんひとりで帰国したとのこと。
江口さんは伊原さん達と別にアパートで独り暮らしをしていましたが、そこへ前田さんが転がり込んで来ます。
この辺りから、江口さんと社長との怪しい関係に前田さんが気付いたり、前田さん自身が帰国の途に際して「ひどい目に遭った」ことなどが判明。
さらに江口さんの知らない間に、社長と前田さんがねんごろになっていることも判明。
自暴自棄になった江口さんは「夜の女」となり、世の男達へ「自分が武器となり」復讐の鬼となって行きます。
ストーリーは戦後の日本の悲しく辛い、暗い側面を延々と映し出します。
江口さんだけでなく、前田さん、伊原さんまでもが、環境や男に力でねじ伏せられるように墜ちて行きます。
途中、手助けしてくれる真摯な人もいるにはいますが、その場所には戦後手に入れたはずの「自由」がなく、結局、また「夜」へ戻って行ってしまいます。
重いというか、辛いです。
現実としては、もっと酷いことがあったと様々な記事や読み物で読んだことがあります。
さらに厳しい感じが「ミュージカル」にしては、歌唱が・・・。
メインの伊原さんは若さと勢いでどうにか・・といった感じでしたが、江口さんと前田さんが、ちょっと。。。
他の演者さんの中には元劇団四季の方がいらしたりで、群舞や集団での歌唱は見応え聴き応えがありました。
個々になると、お二人は。。
恐らくストーリーが相当重いため、空気感を変えるために「ミュージカル」にしたのかなぁっと思いましたが、通常の演劇で良かったんじゃないかなぁっと思いました。
全編、大阪弁?関西弁?で歌い踊る辺りも、そこまで日常で接していないイントネーションだったりもあり、その辺りに慣れない感じを持ってしまったかもしれません。舞台が、大阪なので当たり前なんですが。
今現在も続く戦争や紛争は、ろくなことを生まず、事後には死屍累々で物理的破壊だけではなく、生き地獄も生んでしまいます。
「楽しかったです、オススメしまっす!」とは、ちょっと書きずらいものがあります。
実際にあったこと、今後また起こってしまうかもしれないこととして、戒めじゃありませんが「考えておくべきこと」なのかもしれません。
今の日本の男性優位の社会的・政治的構造も、どこかで本質的な改定が出来ると良いのですが。
ジェンダー問題や夫婦別姓など、何でそんなに変更を意固地に反対するのか、意外なところから理由が見えて来ましたが、どうなるんでしょうね。
あ、ちょっと世相をどうのこうのになってしまいました(笑)