愚者はストーリーで学び、賢者は構造から学ぶ
確かに歴史はヒストリーなので、ストーリーで間違いはない。問題はそのストーリーが希釈を繰り返す事で劣化した同人誌になる事だ。
劣化した同人誌には何のエッセンスもなくただのシンボリズムとなりただのサブカルノベルとなる。ゆえにストーリーというのは結果的に都合の良いラノベだ。
よって歴史を勉強する際は都合の良いラノベから入らない方がいい。また漫画やアニメや映画やラノベや陰謀論はどこかで梃子入れをしている。それは配慮ともいえるが、自分で思考を構築する術がなくなってしまう。
タレントやインフルエンサーが書いた解釈言説は参考にするのはかまわないが、すべてを信奉してはならない。それは権威に嵌っているだけで勉強ではないからだ。
十字軍はエルサレム奪還を目的としたキリスト教徒とイスラーム教徒の高邁な戦いではない。十字軍の参加者の思惑はまとまっておらず適当だった。教皇は思いつきで十字軍を招集しており概ね中東観光や商人の交易に成り下がっていた。
十字軍はエルサレムにいたユダヤ教徒や東方正教徒やムスリムを虐殺し、後にビザンツ帝国から略奪をするなど碌でもない行為を続けたため東西教会統一どころかさらに仲が険悪になっていく。
サラディンとしても周辺のムスリムや遠征のキリスト教徒問わず防衛で戦っただけの話である。またアッバース朝以後のムスリムもムスリム同士で争う事など日常茶飯事だった。オスマン帝国でさえサファヴィー朝やムガル帝国とは違うのですべてのムスリムを包摂している帝国ではない。
百年戦争をジャンヌダルクの活躍ストーリーとして捉えるのは愚昧である。実際はフランスのノルマンディー諸侯がイングランドを征服した事を端緒とした二重権力による長い構造変遷のなかで起こった約250年の領土争いだ。
アメリカ独立革命をワシントンの活躍ストーリーとして捉えるのは愚昧である。実際はイギリス13植民地の諸市民が課税によって生活を圧迫されやむを得ない本国に対する行使活動である。
ゆえに「私は歴史が好きでーす」という連中がいたら疑わなくてはならない。サブカル右翼やサブカル歴女というのは映画や漫画やアニメやラノベや陰謀論を端緒として語りだす。
連中の話しなど勉強にならないどころか逆にアホになる可能性がある。自分でコツコツと素養を会得する勉強をしよう。
学習教材(数百円)に使います。