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地方中小企業こそテレワークを導入したほうがよい理由

 テレワークの実施が様々な企業で進んでいる昨今ですが、実態としては企業規模や地域によって導入率には差があるといいます。
今回は、地方・中小企業のテレワーク実施状況について調べるとともに、テレワークの導入メリットについてお伝えしていきます。

–目次---
1.地方・中小企業でのテレワーク導入率
2.地方・中小企業でテレワークが進まない理由
 2-1. テレワークに対応できる業務が少ない
 2-2. テレワークに必要な環境・ツールが整っていない
 2-3. テレワークの必要性への理解が少ない
3. 地方・中小企業が今テレワークを導入するメリット
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1.地方・中小企業でのテレワーク導入率

パーソル総合研究所が定期調査をしているテレワークの調査において、企業規模別にテレワーク導入率を比べると、従業員数が少ない企業になるほどテレワーク導入率は低くなります。
従業員1000人以上の企業では導入率が40%以上であるのに対し、従業員100~1000人未満が約26%、従業員100人未満企業が約15%にとどまっています。

出所:パーソル総合研究所「第6回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」

また、地域別の導入率は、首都圏が40%を超えるのに対し、その他地域では20%前後となっています。

出所:パーソル総合研究所「第6回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」

上記調査に加え、東京商工会議所が実施した「中小企業のテレワーク実施状況に関する調査(2022年5月実施)」によると、東京23区の中小企業のテレワーク実施率は29.8%と出ています。そのことから、中小企業の中でも地方企業のほうが、より実施率は低い様子が伺えます。

2.地方・中小企業でテレワークが進まない理由

これらの調査結果から、大企業と中小企業、首都圏と地方でどちらもそれぞれ20%近く状況が異なるということがわかります。

なぜ地方・中小企業ではテレワークが進まないのでしょうか。
その原因を3つ示します。

2-1. テレワークに対応できる業務が少ない。

地方中小企業で割合が多い製造業やサービス業などテレワークができない現場がある業種では、テレワーク導入が進みにくい傾向にあります。
たとえテレワークに移行できる部署や業務があったとしても、現場のメンバーとの働き方の乖離を嫌がるケースもあり、全員が引っ張られる形で導入が進まないという話はよく聞きます。

また中小企業の場合、社員一人ひとりの役割や業務範囲が明確に決まっておらず、業務の切り分けが難しい組織体制になっていることも要因の一つとなります。

2-2. テレワークに必要な環境・ツールが整っていない。

大手企業は、拠点間のやり取りや異動者などに対応するために、以前からICTツール導入や情報セキュリティ強化などに取り組んできています。
一方、地方中小企業はその下地がなく、テレワーク導入のために環境整備を行うか否かという選択になってしまいがちな点も、テレワーク導入のハードルが上がる1つの理由になっていると考えられます。

2-3. テレワークの必要性への理解が少ない。

テレワークを導入するためには、組織のハード面・ソフト面の両面を整備をしていく必要があります。
また、導入した後には試行錯誤を繰り返しながらテレワークを使いこなしていかなければなりません。

経営層やマネジメント層がテレワークを導入することによるメリットを多面的に理解していなければ、導入負荷のほうが高く見積もられてしまうことは想像に難くありません。

また、テレワーク導入を想定した際に『今の形を維持するためにどうしたらよいか』という発想で捉えてしまうと、導入をしたとしてもうまくはいかないでしょう。

3. 地方・中小企業が今テレワークを導入するメリット

テレワーク導入が進まない理由に阻まれて、検討が遅れていくことは、地方中小企業にとって、中長期的な競争力の低下に繋がってしまいます。

★競争力の向上
★強い組織づくり

の観点からも、テレワークを取り入れることで得られるメリットは大きいのです。

★競争力の向上
テレワークの導入有無は、顧客や求職者との関係性においても重要なポイントになってきています。

営業活動の場合で考えてみましょう。
営業活動で、顧客がオンラインを望んだ時にスマートに対応できるかは重要です。
また、モバイルワーク(外出先でのテレワーク)ができることは、訪問営業の場面でも顧客とのコミュニケーションをスピーディーかつ柔軟に対応することができ、有益であるといえます。

また、採用活動への影響も大きいです。
詳細は、過去の記事「テレワーク導入企業だけが得られる、採用活動におけるよい影響とは?」でもお伝えしていますが、約3割(31.5%)の採用担当者が、テレワークの実施により「応募者の意向が上がった」と感じているという調査結果があります。
求職者の仕事選択材料の1つに、テレワーク実施の有無が入ってきているのは間違いありません。
それに加え、地方企業においては母集団形成に対しても非常に有益に働きます。
首都圏や海外在住者といった範囲にまでターゲットを広げ、より優秀な人材を獲得する可能性を広げることができるようになります。

テレワークの普及が30%を超えてきている現状を考えると、スタンダードの基準は変化してきています。
これまでの方法やスピード感では競争力が低下していきます。
テレワークの良さである距離をいとわない利便性やスピード感を使いこなしていくことは、競争力の低下を防ぐ点、未導入企業への優位性という点においても、地方中小企業へのメリットは大きいといえます。

また、テレワークの良さを活かせると、生産性向上やコスト削減にも繋がります。
中長期的に考えたときのコストメリットもまた大きいといえます。

★組織づくり
テレワークを導入したけれど難しいと感じている企業が理由としてよく挙げているのが、「マネジメントの難しさ」「コミュニケーションの難しさ」といったソフト面での課題が解決できないということです。

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この点においては、テレワーク導入の有無に関わらず課題感をもっている企業は多いのではないでしょうか。
テレワークという新しい環境変化によって浮彫りになった課題ともいえます。

実際、帝国データバンクが令和3年に発表した調査でも、中小企業の経営者が意識する経営課題の1番は人材(82.7%)であり(図3)、経営者が従業員に求めるスキルのうち、
「コミュニケーション力」「チームワーク」「マネジメント」が高い結果となっています。(図4)

(図3)出典:帝国データバンク「中⼩企業の経営⼒及び組織に関する調査研究」P30  従業員の能力開発に対する経営者の意識  重視する経営課題
(図4)出典:帝国データバンク「中⼩企業の経営⼒及び組織に関する調査研究」P31  経営者が従業員に求めるスキル(現在と 5 年前)

これらの結果をみると、テレワークだけがマネジメントやコミュニケーションの課題を作っているわけではないことが分かります。

逆に考えると、テレワークという新たな環境変化に対応していくことは、企業がもつ経営課題の解決にも直結していくことがいえます。

特に地方中小企業の場合、大手企業に比べて、社員の異動や流出入が少ないため、組織づくりについては固定化した中で阿吽の呼吸の元に行われていることが多い傾向にあります。

このような場合、組織風土や社員の意識を変えていくことは大きなエネルギーと継続した力が必要となります。

そこで、テレワークという切り口をうまく活用しながら組織づくりを行っていくことで、企業の継続的な成長に向かう強い指針を示し、エンパワーメントしていくことができます。


まとめ

このように、テレワークという手段を利用して、企業の成長につながる組織変化に取り組んでいく姿勢があれば、競争力があり、変化に強い組織をつくることへ繋がっていきます。

trustyyleでは、リモートワークの導入を通した組織改革の支援を行っております。お気軽にお問い合わせください。


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