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男は〇〇であれの固定観念から逃れられない悲喜劇映画『フレンチアルプスで起きたこと』映画感想

フレンチアルプスで起きたこと(2014)
原題 Turist   
監督/脚本 リューベン·オストルン ド

あらすじ

フレンチアルプスに家族旅行で訪れたノルウェー人一家。さっそく雪山を楽しもうとした矢先に、父親が大失態、それを妻からはネチネチ責められ、子供達からは冷ややかなまざし
バカンスが始まったばかりなのに針の筵状態になってしまった夫、妻と子供達との関係はリカバリー可能か?というブラックコメディ

フレンチアルプスのリゾートホテル、さすがに快適そう、天候もほぼ恵まれており、大自然の雪質の良さそうなゲレンデをしゃーしゃー滑る
さすがスウェーデン人、スキーが普通にうまい

劇中、ヴィヴァルディ『四季』の『夏』が流れるたびに、何か起こりそうで毎回ビクっとしてたけど、結局大惨事的なことは起きなかった
この曲は(夏はつれぇ……)というのを描いたらしくつまりは夏の災いを指す
つまりスウェーデン一家にとって災い、バカンスひゃっほー!な場合ではない
監督、いやらしい演出だなあ(disではない)

物語の三分の二はヘタレな夫が自業自得で身の置き場がなく小さくなっているが、妻は妻のほうで序盤から自分本位なところがちょいちょい現れ、加えて独善的で厳罰・厳格な性格が見えてくる
この夫婦、夫は本来は肝っ玉が小せえがプライド面子は保ちたいタイプ、妻は性格が"主張権利だけは激しい反撃されると被害者ぶる"タイプ 

彼女が友人の不行跡を責めるシーンの言外の「私の言ってることは正しいことでしょ?」な表情の圧が凄い、腹ただしくなるその表情
その余計なお世話の説教、他人様の夫婦関係をジャッジできる人なん貴女?
リゾート地の高級ホテルのロビーでそんな会話したくねぇわ私も😂 

 
バカンスも折り返しを過ぎ後半、
動画で己の様子を突きつけられた夫、誤魔化しも言い訳も虚勢を張ることも出来ずギリ保っていた男のプライドが霧散、遂に子供みたいな壊れ方をしてしまう 
 
泣いてる父にびっくりして駆け寄って抱きしめるちびっ子ふたり
(妻は渋々寄り添うけど夫ではなく子供達の上から被さるように、かける言葉も子供らへ向けた気遣いのみ)
(ここまで拒否反応示してると夫婦関係の修復は無理じゃね?と思ったけどその反面で子供はかすがいってこういうことなのかなあとも)

よく考えりゃ子供達だって例の一件で大人よりショックを受けてる筈なのに両親揃って自分事で頭が一杯……結局この夫婦、肝心な時に肝心なことで子供に向き合えてなくない?   
(両親の離婚不安を抱えてる子供達っていう絵面はいくつか挟まれてたと思う)

後半、ある小芝居で父親の権威の回復が出来た夫(妻とはどうかは知らん)   
バカンスは終わりホテルから下山するバスの中で、再びアクシデントが起こる 

ひとり過剰にエキサイトする妻
ついにある行動に出てしまう
あんたさっき我先にとひとりでさっさと降りたな???
   
続いて、怖がる乗客を下ろした(例外除く)バスはそのまま走り去って行ってしまい、下山ルートの途中から徒歩移動を余儀なくされしまう乗客達
そんな中、隣を歩く男性から煙草を進められて吸う夫
背後では妻が夫の友人に子供を抱っこして欲しいと頼んでいる(何故友人、何故夫に言わない?)

夫と子供の前で醜態をさらしたことに思い至った妻、気まずさを抱えてるため、夫に頼みくい話しかけにくい、から、友人へ
この人、ほんとに得手勝手だなあ

兎も角夫婦間で幻滅失望を等価交換できて良かったんではないか……これでお互いイーブンだ  
とっさの行動に本性が出る
本能には逆らえない、が、理性を取り戻したらリカバリーだって可能なはず
反省と教訓、同感と許し
双方これらがなかった
フレンチアルプスで体験したことが、帰国した後もこの夫婦の間に何らかの影響を起こすのか(既に起きてる気がするが……)   
何にせよちびっ子ふたりは真っ直ぐ育ってくれ

映画は男性性と女性性の役割分担がいかにガッチガチな固定観念になっているかの皮肉なんだろうなあと自分は思った(見当違いかも知れんが)

男女平等の話題で日本下げ/他国上げの引き合いで出されることが多いスウェーデンだけど、監督作品を見る限り、あちらの国はあちらの国でいろいろ大変そう


スウェーデン国内で話題になった番組"3人のパパ"

ということで感想おしまい。

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