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音楽とトランペットにおける強弱について

先日トランペットのレッスンでpピアノからfフォルテの差をもっとつけようという話をしました。
日本語で「強弱記号」という名前がついているにも関わらず、多くの演奏者が「大小記号」になっているように感じていて、このレッスン時にもその話をしました。


大小記号

フォルテの記号を見ると、よくわからないけど感覚的に力を込めてイキって吹いている方が多い印象です。逆にピアノの記号が目に入ると、鳴らない音で体を縮こまらせ、誰にも聞こえないように演奏してしまう方もいらっしゃいます。
フォルテやピアノという記号は「大きい/小さい音量」という考え方からまず一旦離れて、客席に演奏を届ける際のイメージ要素のひとつと考えた方が良いです。

デシベル的な考え方

とは言え、確かに強弱記号は耳に届く音量も関係します。測定器で調べたらピアノよりフォルテの場面の方が相対的に大きくなることがほとんどだと思います。ですが、オーディオのボリュームを上げ下げするような無機質なものではないと考えます。

強さと弱さの印象付け

例えば、動画の音声を消した状態であってもゴジラが街で大暴れして人々が逃げ惑うシーンを見たら、ゴジラ強そう、怖そうと感じると思います。
同じように音量をゼロにした動画で、とっても可愛らしい子猫が日向ぼっこをしながらスヤスヤ寝ていたら、多くの場合心が落ち着き、癒され、ホッとするはずです。

音量がなくても視覚だけで見る人に印象付けることができるわけです。

音楽において無音が続くことはありませんが、これを元に考えるならば、音量以外の方法でも強弱を表現することは可能である、と言えます。

質で表現する

モコモコした綿や、暖かい毛布、ゆっくりと燃える焚き火などは心を落ち着かせる力を持っています。一方で、暗く寒い洞窟とか、硬く重い巨大な鉄骨は緊張感や恐怖感を覚えるかもしれません。
演奏においても音の質や形状で聴く人に与える印象は変化します。具体的には音をピーンと張って、最後まで言い切るように演奏すれば意思の強さ、逞しさ、立派で堂々とした印象になりますし、音のリリースを抜くようにすれば、意思の弱さや心細さ、自信のなさなどを表現できます。
そのように場面に応じて音そのもののキャラクターを変化させるだけでもフォルテやピアノの表現ができるとも言えます。

具体的にな音量変化の方法

ここまでのお話は半分具体的、半分抽象的なお話でした。では、具体的に大きな音量を響かせるためにはどうしたら良いのでしょうか。簡単に書いておきます。
トランペットの演奏について考える際は、とにかく主語を「体の中の空気圧」にします。今回に関しては、腹筋をより強く使って肺から口の奥までの空気圧を高め、アパチュアに到達する空気の「量」を増やすことで音量を上げることができます。その際、同時に空気のスピードも上がってしまう(ピッチが上がってしまう)ため、同じ音の高さであっても小さな音量の時と大きな音量の時では口の奥の舌の開け具合が変わることを理解しておくと、音量変化がしやすくなります。

ということで、今回は強弱記号についてお話しました。
具体的な方法、的確にコントロールするための練習やそれが実際にできているかの確認にはレッスンが一番です。
毎月複数回単発で参加できる内容自由のレッスン「ツキイチレッスン」を開催しておりますので、ぜひ一度ご参加ください。

ご参加お待ちしております。


荻原明(おぎわらあきら)

荻原明(おぎわらあきら)です。記事をご覧いただきありがとうございます。 いただいたサポートは、音楽活動の資金に充てさせていただきます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。