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発表会終了報告8 音大生と発表会のこと

僕のトランペットの師匠は元NHK交響楽団首席の津堅直弘先生です。音大受験を決めた高校1年の時から、今までずっとお世話になりっぱなしで、感謝してもしきれません。津堅先生がいなかったら今の僕は存在していませんでした。

津堅門下生発表会

津堅先生の門下生(全員音大生)は、毎年1月になると門下生発表会に参加することになります。ただし、普通の発表会ではありません。在京オーケストラのトランペット奏者さんをはじめとする審査員の方々が10名ほどいらっしゃいまして、試験同様点数を付けてくださいます。
しかもそれだけではありません。その点数を集計し、第1位から最下位までその場で口頭で発表されます(点数も公表)。僕が学生の時がもしかしたら参加者が最も多かったかもしれません。東京藝大、東京音大、洗足学園、愛知県芸、沖縄県芸など、いくつもの音大から総勢60名近く出演していました。

そう、これは発表会と言う名のコンクール。めちゃめちゃ緊張します。

実技試験の時期に合わせた発表会

なぜこのような発表会が開催されていたかと言うと、音楽大学は毎年1月から2月頃に実技試験があります。実技試験の結果は翌年度の様々な場面、例えばオーケストラの授業で誰がどの曲の何のパートに乗るかなど(公には言っていないけれど)参考にしていたと思われます。まあ、良いに越したことないわけです。

その実技試験の前に発表会という緊張の舞台を経験し、さらに審査員に点数とコメントをいただけるという貴重な場を津堅先生は用意してくださっていたわけです。

月日は経ち、僕が音大の講師になった今、学生に同じように実技試験前に一度本番の舞台を経験しておいてほしいと思うようになりました(点数はつけないけど)。
実はこれが荻原門下生トランペット発表会を開催する最も大きなきっかけであり、時期が1月である理由です。

正直、これまで数年間音大でレッスンをしていて、実技試験の日に向けて、というより、どちらかと言えばその日までに完成させようとスケジューリングをしている姿勢がとても気がかりでした。後手にまわるような計画性は、結局のところ完成ではなく、ただ「通せるようになっている程度」にしかなりません。作品を理解して、楽譜に書いてある情報を正しく表現できた上で、さて自分はこの作品をどのように聴く人へ伝えたいのか。これを考えて実際の演奏に反映させるところからが本当の意味での練習です。
なので、ギリギリに曲が通せるようになっているのが常にもどかしかったのですが、今年は試験前の1月に発表会があったので、さらに前倒しで昨年12月にはピアノ合わせができる状態までには作っておく必要があり、いつもよりは余裕を持って完成度を上げることができました(のではないかと思います。まだ、もっとできた人もいますが)。

ともかく、その効果は実技試験にどう出たのか。実は数日前の1月31日が実技試験だったので、そのお話はまた後日。

発表会では、ソロ以外にトランペットアンサンブルも披露してもらいました。この日の翌々日が実は大学での室内楽授業の発表会だったので、これも事前に演奏ができて良かったのではないでしょうか。


荻原明(おぎわらあきら)

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