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[気づきの日記帳03]企画の数の目標設定って、意味があるんだ

[社会人2年目の気づき]

前回の記事02で、企画を考える基本の話に触れて文章を終えました。

「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」
であるなら、優れた企画を生むためには、
1.どれだけ幅広い領域のネタを頭に格納しておくか
2.格納された要素を縦横無尽に組み合わせる柔らか思考をどう育てるか
3.誰も気づいていない組み合わせ=EDITを選び出す目を育てられるか
このシンプルな3つを高度にできる能力を育てることが重要になります。

中でもとりわけ、1と2の鍛錬が若い時期は重要。

大学を卒業しプロの現場に入ってみて最初に愕然とするのが、自分のアイデアの少なさ、狭さ、固さでした。誰よりも一生懸命取り組んで会議参加したつもりでも、数も幅も面白さも先輩の足元にも及ばない。その差は、とんでもなく大きいものでした。学生の頃は、自分はアイデアがたくさん出る方だと自信を持っていたのに、、、です。

狭い範囲をぐるぐる回る思考

半径数メートルのアイデア。
言葉にするとそんな感じです。与えられたテーマや商品のことは真剣に考えられている。ただしかし、思考の及ぶ範囲が半径数メートルの狭い範囲をただただぐるぐる彷徨うプランニングになっている。時間をかけてたくさん考えようと努力しているんです。必死に頭を捻っているんです。それでも、その思考は、その狭さを容易に脱出できない。どう考えれば広がるのかもわからない。そこには明らかに「壁」とも言えるものが存在しているのだと思います。大学で学生にアイデア出しをやってもらうと、若き時代の自分の姿が再現され、そのことがよくわかります。みんな真面目に一生懸命考えてきてくれる。でも、福田の若き日と同じようにテーマの半径数メートルをぐるぐる回るプランニングになっているために、集まって行う議論に大きな幅やジャンプが生まれない。みんなが同じように持ってきた無難なアイデアを無難にまとめていく会議になる。

自分たちの現場には新人時代、先輩や上司から課される「量の課題」がありました。100本企画とか100本コピーとか、ですね。「次の打ち合わせまでに100本コピーを書いてきて」「来週の打ち合わせまでに100本企画、考えてきて」。その行為そのものがブラック企業を象徴するような論調も生まれ、今の現場では、そうした量の修行を課すことはなくなっています。ただ、ありがちな狭い範囲をグルグルしてしまう「壁」を超えるのに、こうした量の課題が大きな意味と効果を持っていたことも事実。少なくとも自分は、こうした課題の意味を理解したことによって、壁を超えることができたのです。

100本トレーニング。

100っていう数字になんの意味があるのでしょう。

その課題がアイデアにせよ、言葉にせよ、40~50案という目標数はなんとかクリアできるものです。経験に乏しい若き脳ミソであっても、そのぐらいの数までならなんとか絞り出せる。でも、次の60の壁を越えるあたりからそれはしんどくなってきます。う~~んう~~んっと頭をしぼっても、なかなか出てこなくなる。でも、そこで粘って苦しんでいれば、なんとかその壁もクリアできる。しかしながらさらに70、さらに80の壁を越えるとなると、ネタは本格的に枯渇してくる。そういう状況に追い込まれると人間は、それまでやらなかった方法を探し始めます。藁をも掴む気持ちで、会社の廊下を歩き始めたり、図書館や資料センターに行って資料を見たり、会社を出てTSUTAYAの膨大な書籍の背表紙を見ながら考えたり、先輩の席をたずねてアドバイスを求めたり。100という数の目標設定が、その設定でなければ挑戦しないアプローチを生んでいく。そこがポイントなのです。そうやって試みられる新たなアプローチの数々が、あらたな思考の広がりをつくっていく。脳の成長をつくっていく。

多様なエリアに飛んでいく思考

企画脳の進化はいきなり訪れません。昨日まで考えなかったことを考えることで、思考の枝葉は1段階広がる。さらにまた昨日まで考えなかったことを考えることで、さらにもう一段広がる。その繰り返しであり積み重ねです。そして昨日まで考えなかったことを考えるには、昨日まで考えなかった考え方で考えてみる、その行為の具体性が大事なのです。

100本課題をすべての現場に推奨しているわけではありません。それぞれの職場に多様な時代事情がある時代です。それに、毎回100という数を前提にするのは非効率です。半径数メートルの思考は誰もが陥る問題であること。その壁を越えるのは、意外と簡単ではないこと。そして、その壁を越えるために、量の訓練が大切であること。それをお伝えしたいだけです。

大学の生徒には、100本メソッドとは違う目標を設定して、考えなかったことを考える演習をさせていました。

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