宇津保物語を読む9 内侍のかみ#17
見出し仲忠の母、ようやく琴を弾く 人々賞賛
訳
帝が熱心にお勧めするので、北の方はしかたなく小曲をそっと奏でる。
帝「もっと、もっと。このようにさわりだけ聞かされてはいっそうもどかしくなるばかりだ。もうすこし聞き応えのある曲を1、2曲奏でよ」
などとおっしゃるので、しかたなく少し風情のある曲を弾く。
この「せいひん」という琴はあの「なん風」と同類の琴なので、まさにそれらの秘琴に劣らず、すばらしい音色を発する。北の方は何気なく鳴らしただけであったが、琴の名手である俊蔭からそ