宇津保物語を読む9 内侍のかみ#5
仲忠、正頼にあて宮の琵琶を称賛して語る訳
こうして宴も進み、管弦の演奏が始まる。様々な楽器を奏でられるなかで仲忠が申し上げる。
「私は幾度か箏の琴を他の楽器に合わせて演奏したことがありますが、先日藤壺で演奏した時ほど楽しかったことはありませんでした。あの姫君(あて宮)は琵琶を合わせて演奏なさいましたが、それを拝聴しておりますと、俗世のことなどすべて忘れてしまうほどでした。今、琵琶の第一人者は良少将(良岑行政)ですが、彼とも度々合奏させていただくときもありますが、その少将で