マガジンのカバー画像

投機の流儀 セレクション

306
メールマガジン配信大手の「まぐまぐ」で好評を博し、堀江貴文氏(ホリエモン)と並んで2年連続「メルマガ大賞」を受賞、殿堂入りした週報「投機の流儀」。 人生の前場をセルサイドとして、… もっと読む
運営しているクリエイター

#株価

【投機の流儀 セレクション】NYダウの長期の見方──10万ドルに達するのは、あながち荒唐無稽な話しではない

筆者が社命により4人でウォール街を訪れた1972年の秋、キーストーンファンドというファンドを日本国内で売ろうということでキーストーン社に行った。歓迎を受けたが、その時にNYダウの創始以来のグラフを見せられてびっくりした。創始以来と言っても1972年の話しだから、創始以来76年間である。長期的にはずっと右肩上がりであった。今、これを創始以来128年の流れで見てみると次のようなことになる。 中期的に見ると、こうなる。 1. NYダウの2万ドル超えが2017年1月 2.

【投機の流儀 セレクション】基調は弱含み往来相場であり、調整中であるが、資金は潤沢

4月は日本株投信に資金の流入が6年ぶりの高水準となったという。6年前の2018年は「つみたてNISA」が始まった年であり、個人投資家による投信の積み立てが増えた年だ。それ以来、6年2ヶ月ぶりの資金純増となった。日本株が調整局面に入ったタイミングで、押し目買いが入ったようである。 2018年は指数に連動するタイプの投資信託が次々とでき、日本株投信には1月から8ヶ月連続で資金が流入したという経緯がある。今回も5ヶ月連続して、資金が流入した。基調はやはり往来相場であり、調整中であ

【投機の流儀 セレクション】日本株の相対的優位性

諸先進国に比べて、日本株の相対的な優位性が浮かび上がっている。これが業績そのものであろう。株価というのは売り手と買い手との相対的な力学で決まるが、その根本は業績である。 日本は、その業績が足元で鈍っている欧米とは対照的に伸びている。主要企業の業績見通しは上昇している。 日経平均を構成する225社の通期計画を積み上げると、純利益合計は9月末の36.8兆円から11月10日時点では38.9兆円というように2兆円増えた。下方修正よりも、上方修正が圧倒的に多い。日米欧の株価指数の1株

【投機の流儀 セレクション】言葉に力がなく「ただ喋るだけの男、岸田首相」

岸田首相が、突然のように所得税減税を打ち出した。これを集票の道具として、衆院解散に打って出るつもりかどうかは判らないが、突然のように所得税減税で、政局の潮目は当然変わったと思われる。これで他の重要政策に対して、影響が出ることは確実である。予算の問題である。 首相は今回の臨時国会の所信表明演説で「経済、経済、経済」と3回連呼して、政権の最重要課題を経済に置くと宣言した。 これはクリントンが政権に就いた時に“It’s economy. Stupid!!”と、右手人指し指を高く上

【投機の流儀 セレクション】米株に黄色信号

ニューヨークのダウ輸送株平均(物流など景気敏感株で構成される指数)は低迷が深まり、米経済に対する投資家の懸念が滲んでいる。 一方、小型株指数のラッセル2000株価指数は下げが加速し、S&P500種株価指数に対する比率がITバブル崩壊以来、最低の水準に落ち込んだ。7月高値からの下落率が「調整局面入りとされる10%」を超えた。地合いの弱さを示す指標として、市場参加者が注目するものである。 これは米株の先行指標に黄色信号が灯っていると見て良いし、また米株は米景気に対する先行指標で

【投機の流儀 セレクション】特殊な基準を恣意的に採って、日本を卑下することはやめたい。そこからは何も生まれない

JPモルガンが若い時に父親に説教されたと話しを思い出す。この話しは本稿でも述べたことがあるし、拙著でも書いたことがある。「この国で成功したいと思うならば、この国の将来を明るいものと見なければならない」というのである。 以下に紹介するのは田中泰輔氏の言う例えである。「強力な筋肉増強剤を用いて、偶然も左右して、突飛な新記録を出した、その記録を基準にして後々の健康状態を、老衰した、弱体化した、あの時の自分は凄かったが今はダメだと言っているようなものだ」という言い分である。良い例え

【投機の流儀 セレクション】価値ある情報は、ヒトが持ってくるケースが多い

具体的な例で言えば、個人的な体験からの引用で恐縮だが、2006年夏(リーマンショックの2年前)に「アメリカ発のサブプライムローン債券は極めていかがわしい点がある」と筆者が聞いたのは、アメリカ通の友人(元証券マンでアメリカに長かった人)からである。しかも、これは07年8月に仏パリバがサブプライムローンの崩壊によって破綻に瀕して、それが翌年にリーマンショックの淵源になった1年前である。 したがって、筆者は小泉郵政改革相場の真っ最中の佳境に入っている06年〜07年にかけて、保有株

【投機の流儀 セレクション】自分の流儀に固執するのも良くないが、コロコロと変えるのは余計に良くない

中間反騰は銘柄が入れ替わらずに今までの銘柄のリバウンドである場合が多いが、今回の場合の3日で1500円上がった状態においては、銘柄が入れ替わった感じがする。低PBR・高PERの銘柄が下がり、半導体などの復活が目立った。 これは米金利低下と成長株の買いが中心だった。グロース株を中心に投資家の買いが集まり、従来の低PBRバリュー株が安かった。その代表が海運株や日本製鉄(5401)や銀行株だった。半導体等に注目が集まり、レーザーテック(6920)が大幅に上がって、9月の年初来高値

【投機の流儀 セレクション】日本株のクラッシュはあるか?

ないと思う。2年4ヶ月保ち合った大保合の中心点(概ね27500円)から一挙に6000円上がったのだから、それが3000円下がっても、黄金分割比で62%下がっても、たいした問題ではない。よく「半値押しは全値押し」などと言われるが、これも迷信のようなものだ。  個々の銘柄で見ても、日経平均で試してみても、過去を見れば判る。「半値押しは全値押し」は当てにならない。 最も端的なのは1965年4月に1020円から始まって、2.5倍になった「いざなぎ景気」の前半の相場の時にも66年10

【投機の流儀 セレクション】米中の覇権争いにおいて、米国の最終目的は中国のJapanification(日本化)である

これは恩田達紀著「米中冷戦がもたらす経営の新常識15選」(日経BP、2023年刊)の言い分である。言うまでもないことだが、かつて米国は日本を意図的に弱体化させ、お人好しの日本はそれにみすみすとその策略に乗っかってしまった。 まずは貿易戦争を仕掛けた。いわゆる貿易摩擦、日本に迫る構造改革であった。そして、1985年に超円高を誘導するために仕組んだプラザ合意である。その時の円ドル相場は240〜250円だったが、10年後には79円になった。そのプラザ合意の席上には日本もいたが、人

【投機の流儀 セレクション】「夏枯れ相場」の中を動いている

7月半ばの相場は中間反落の中の整理調整相場であったが、所謂「夏枯れ相場」の様相が強まった。二つの要因がそれをもたらした。 1:一つ目は「半導体株の総崩れ」である。 このきっかけをつくったのは世界大手の半導体企業であるTSMC(台湾積体電路製造)の業績予想の下方修正であった。半導体株の総崩れはアドバンテスト(6857)・東京エレクトロン(8035)が6%安、SUMCO(3436)が3%、信越化学(4063)が2%安となり、昨年10月上場の人気株ソシオネクスト(6526)は富士

【投機の流儀 セレクション】日本の「稼ぐ力」は衰えていない

日本国全体の稼ぐ力のことを考えたい。2022年度の経常収支は9.2兆円の黒字で、前年度に比べて54%減少した。それは日本の国際的な稼ぐ力が衰えていることを示すものだという指摘がある。 ところが、筆者はたいした問題ではないと考えている。国際収支の受け取り額は179兆円で前年度より20%以上増えている。一方、支払額が170兆円で、前年度よりも32兆円増えた。つまり、稼ぐ力は20%以上強くなったのだが、使う方がより強く発揮されたので差し引きの黒字が減り、経常収支が赤字ということに

【投機の流儀 セレクション】日経平均4万円超えの説も一理ある

筆者の所属している景気循環準学会の客観的なデータによれば、中長期の景気循環から日本株の上昇が長期に渡る可能性を指摘できる(当学会において株価予想はしないし、本質的に関係はないが、株価は景気に先行するからその景気の動向は大いに重要である)。 今の日本株の上昇は、 1:PER・PBR・利回りなどの客観的指数から見て、日本株は欧米先進国に比べて割安感があること。 2:東証による上場企業に対する企業価値改善への要請に対する対応が動いていること。 3:それを見ての海外投資家の大幅な買

【投機の流儀 セレクション】待ち受けていた「調整」に入ると、「下値限界」はどこかが騒がしくなる。

今年は大発会1月4日が、今のところ今年最安値(25716円)であり、7月初旬がいまのところ今年度最高値(33753円)であるが、これは6月19日の高値と正確に「ツラ合わせ」であり、このまま弱含めば、一旦はダブルトップを形成する。 アメリカの独立記念日含めて、米国休場のここ一両日が日本市場の相場の強さが試される時となるだろう。状況次第では6月19日と7月6日の高値をもって、一旦はダブルトップを形成した。 今のうちにお伝えしておきたい。 調整(下げ相場か)に入ると、下値限界を