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【投機の流儀 セレクション】NYダウの長期の見方──10万ドルに達するのは、あながち荒唐無稽な話しではない

筆者が社命により4人でウォール街を訪れた1972年の秋、キーストーンファンドというファンドを日本国内で売ろうということでキーストーン社に行った。歓迎を受けたが、その時にNYダウの創始以来のグラフを見せられてびっくりした。創始以来と言っても1972年の話しだから、創始以来76年間である。長期的にはずっと右肩上がりであった。今、これを創始以来128年の流れで見てみると次のようなことになる。

中期的に見ると、こうなる。
1. NYダウの2万ドル超えが2017年1月
2. 3万ドル超えが2020年11月
3. 4万ドル超えが2024年5月17日、史上初めて4万ドルの大台に達した。
やはり、3年半で1万ドルの大台を塗り替えた。

1896年、ウォール・ストリート・ジャーナルの編集長のチャールズ・ダウ・ジョーンズがNYダウの計算方式を開発し、そこからNYダウが始まった。今年で128年だ。
この128年の大きな流れを言うと、長期上昇相場は3回あった。今が3回目の真っ最中だ。

・1回目:1942年〜66年までの24年間、100ドルから1000ドル台に向けた上昇局面である。その後本稿で何度も述べた“Death of Equities”「株は死んだ」の20年間を経て、その途上で1929年の史上最高値を26年後の1955年に抜いた。

・2回目:1978年〜2000年までの上昇期間22年間だ。1000ドルから1万ドル大台に向かった上昇局面である。「伝説のFRB議長」たるポール・ボルカーのインフレ退治では大きな代償を伴ったが、その後レーガンがいわゆる新自由主義を掲げて1000ドルから1万ドルの大台に向けた22年間、レーガニズムの時代だった。

・3回目:2009年のリーマンショックから今年2024年までの15年間の上昇である。

1回目の長期上昇が24年、2回目の長期上昇が22年、3回目が今その途上にあって15年目ということになる。今後一本調子では上がらないが、年換算で10〜15%の上昇が続いたとすれば(今までそういうことは何度もあった)、NYダウが10万ドルに達するのは、あながち荒唐無稽な話しではない。野村證券投資情報部のシニアストラテジストも同じようなことを言っている。

【今週号の目次】
第1部;当面の市況
(1)先週末の様相が語ること
(2)海外勢が3週連続での売り越し、日経平均の昨年末からの上昇率はナスダック指数と逆転
(3)7月にかけて、日銀の追加利上げの可能性が強まっている。利上げは、本当は日本経済が正常化したという意味で望ましいことだが、株式市場では「利上げ=株安」という伝統的な考え方を採るであろう。
(4)日銀の追加利上げは7月という説が、QUICKの月次調査で最多となった。
(5)ECB、4年9ヶ月ぶりに政策金利を引き下げ
(6)「信用取引の買い残」が高水準
(7)自社株買いが年間最高に迫る。
(8)米の買収ファンドが日本企業へ相当量の金額で、日本企業買収に乗り出す。

第2部;中長期の見方
(1)本当の意味での「新機軸」は、新発明を指すだけではない。日本製鉄の事例に観る。
(2)世界の鉄鋼大手8社、中国の鉄鋼余剰で8社中6社が減益、日本製鉄と中国の宝山鋼鉄の2社のみが増益
(3)誰でも知っている著名銘柄が10倍になった。
(4)2015年に人民元がSDRに加わった時に怒涛のように中国に流れ込んだ資金は、逆に中国から激流の様に流出した。
(5)米経済の強さはどこから来るのか?
(6)NYダウの長期の見方─10万ドルに達するのは、あながち荒唐無稽な話しではない。

第3部;株主総会のシーズンが来た
(1)日本の企業変革、これはまだ初期段階、これからが本番
(2)株主総会のシーズンがやってくる─海外投資家が、日本企業のガバナンス改善を理由に日本株に期待する動きが増えてくる可能性
(3)「敵対的買収」→「同意なき買収」が、今後も増えるであろう。
(4)企業側と投資家側が、過去にない真剣勝負を繰り広げる株主総会が増えるであろう。

第4部;「トランプ」と「バイデン」
(1)「トランプ」と「バイデン」─政策の違いは少ない。
(2)「もしトラ」に関する件

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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