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史上最悪のハイパーインフレの話

    最近は物価高が生活を直撃していますね。1月の東京都の消費者物価指数は前年同月比4.3%上昇となり、実に41年8カ月ぶりの高水準となったとのことです。

    モノ不足や貨幣価値の下落などで物価が上昇することをインフレーションといいます。特に上昇の度合いが激しいとハイパーインフレとなります。

    歴史を紐解くと、想像を絶するようなハイパーインフレがしばしば発生しています。

第一次世界大戦後のドイツの場合

    まず思い浮かぶのは、第一次世界大戦後のドイツにおけるハイパーインフレでしょう。敗戦国のドイツは、多額の賠償金問題などを原因に激しいインフレとなり、紙幣は紙屑同然となりました。マルクの価値は戦時中の4000億分の1以下となり、5兆マルク紙幣まで発行されます。
 しかし、1923年11月にドイツ政府が臨時通過のレンテンマルクを発行。1兆マルクを1レンテンマルクと交換することで、インフレは終息しました。

マルク紙幣で遊ぶ子供

ジンバブエの場合

 近年では、2000年代末にアフリカのジンバブエで起きたハイパーインフレが記憶に新しいです。

 ムガベ大統領による長期の独裁政権が続いていたジンバブエでは、経済政策の失敗からジンバブエ=ドルの暴落が始まりました。

 2008年に100億ジンバブエ=ドルが1新ジンバブエ=ドルに代わる切り下げが行われましたが、2009年にはジンバブエ=ドル自体の発行が断念されました。

史上ワーストのハイパーインフレ

 しかし、これらのインフレを上回る、想像を絶するほどの数字が叩き出されたことがあります。第二次世界大戦直後のハンガリーでのハイパーインフレです。

 第二次世界大戦期、ハンガリーはドイツと同じ枢軸国となりますが、ソ連軍の侵攻で大きな被害を受けました。戦後のハンガリー経済は混乱し、通貨のペンゲーの価値が大暴落します。

 1945年5月1日に1ペンゲーだった郵便料金は、1946年7月には40兆ペンゲーに達しました。なんと、1がいペンゲーの紙幣が市場に出回ったといいます。1垓は10の20乗なので、100000000000000000000ペンゲーということになります。

1垓ペンゲー紙幣。

 1946年8月、ハンガリー政府は新しい通貨のフォリントを導入し、1フォリント=40じょうペンゲー(穣は10の28乗)で交換されました。これにより、ハンガリーにおける「史上最悪のハイパーインフレーション」は収束に向かいます。

 ちなみに、当時は紙屑にも等しかったペンゲーですが、現在では「史上最高額面の紙幣」という物珍しさからプレミアがついています。

 こちらのサイトでは、1400ドルもの値段がついていますね。何とも皮肉な話ではありませんか。

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