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大洲城~肱川に臨む風光明媚な城

 愛媛県大洲市にある大洲城は、伊予大洲藩6万石の藩庁でした。江戸時代には藤堂高虎・脇坂安治が近世城郭として整備。元和3(1617)年に加藤貞泰が入封し、幕末まで加藤家が大洲藩主を務めました。


肱川を天然の水堀として利用

 大洲城は、市内を流れる肱川(ひじかわ)を天然の水堀として築かれました。

二の丸北側から肱川を望む

 肱川のほとりから見上げると、このように見えています。2018年、大洲市は肱川の氾濫で大きな被害を受けましたが、城は水害に強い高台に築かれていることがわかります。

 JR伊予大洲駅前でレンタサイクルを借り、10分ほどで城に着きます。

それぞれの個性を持った建造物

 大洲城の天守は再建ですが、高欄櫓・台所櫓・苧綿櫓(おわたやぐら)・三の丸南隅櫓・下台所の5つの現存建築があります。

 最初に目に入るのが、「下台所」(県指定有形文化財)です。城の食料を保存する蔵で、湿気を避けるため高床式になっています。

下台所

 ここから坂道を登って本丸を目指します。ひな壇状に築かれた石垣が見事です。

 こちらが大洲城本丸の風景です。中央が天守、左が高欄櫓、右が台所櫓です。大洲城天守は明治維新後に解体されましたが、2004年に伝統的な工法によって復元されました。

高欄櫓と台所櫓は重要文化財

 高欄櫓は、その名の通り二階にベランダがついた美しい外観です。下の敵を攻撃する石落としも見られます。

 台所櫓は、文字通り台所の機能がついた珍しい櫓で、大洲城の現存する櫓の中で最大です。

離れた建築物も見逃すな!

 大洲城の見所は、本丸周辺だけではありません。見逃しそうになりますが、少し離れたところにも現存建築があります。

 天守から見て南東に築かれた苧綿櫓(おわたやぐら・重要文化財)は、少し分かりにくいところにあります。大洲市民会館と郵便局の間の道を入っていかないといけません。

 さらに、三の丸南隅櫓(重要文化財)は城址公園から南に300メートルほど離れたところにあります。現在の建物は明和3(1766)年の再建で、大洲城の現存櫓の中で最古です。

 貴重な建物ですが訪れる人は少ないようで、貸し切り状態でした。

銃撃に備えて壁を厚くしている

魅力の多い大洲市

 大洲市はこぢんまりとした街で、一日あれば見所は回れます。そして、穏やかな雰囲気の美しい城下町です。大洲城以外だと、大洲出身の実業家が整備した「臥竜山荘」があります。大洲藩主が愛した景勝地が大元です。

臥竜山荘から見る肱川

 如法寺は江戸時代初期の創建で、仏殿が重要文化財です。

 夕刻、肱川を挟んで眺める大洲城は息をのむほどの美しさです。脳裏に深く刻まれる訪問となりました。


 

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