湯築城~見事な水堀を持つ中世城郭
愛媛県松山市にある名城といえば、言うまでもなく松山城が挙がるでしょう。
知名度では劣りますが、松山城から路面電車で10分ほどの距離に「湯築城」という名城があります。日本100名城のひとつで、道後温泉のすぐ近く。現在は「道後公園」として整備されています。
湯築城は伊予の豪族・河野氏の本拠地です。築城は南北朝時代で、天文4(1535)年ごろに河野通直が改修したとされます。
伊予の豪族・河野氏の城
土づくりの中世城郭ですが、二重の水堀に囲まれている点が珍しいです。中央の小高い丘を中心に水堀が掘られ、平地部には武士の屋敷が建ち並んでいました。
松山市の中心部から湯築城に向かいます。公園の入口は湯築城の搦手、つまり裏門です。城の大手、つまり正門は東を向いていました。海の方からではなく、東から攻めてくるのを想定していたのです。
公園内は史跡としてかなり綺麗に整備され、武家屋敷などが再現されています。
高さ十分の土塁
目を引くのは、やはり周囲を囲む土塁です。外堀を掘った時の土を積み上げてつくられました。一周900メートル、高さ5メートルに及びます。
土塁の上に登れる箇所もあります。幅もかなりあることが実感できます。
土塁の断面を見学できるコーナーもあります。
内堀の側にも土塁が築かれています。構造は単純ですが、防御はしっかり考えられています。
居館部への入口を守る「遮蔽土塁」という構造もあります。土塁のおかげで、城の中枢部への入口が狭隘になっています。
中世城郭には珍しい二重の水堀
水堀にも注目しましょう。開発の進んだ市街地にも関わらず、湯築城はほぼ完全な形で残っています。
それゆえ、外堀と内堀の両方を眺めることができます。いずれも、水堀+土塁で防御力を高めています。
湯築城は土の城ですが、岩もあります。内堀を南東にたどっていくと、庭園のような美しい岩場が見られます。上級武士の屋敷から眺めたのでしょう。
城山に登る
湯築城の中心は城山と呼ばれる標高71メートルの丘です。かつては見張りのための櫓がおかれていたのでしょうが、現在は展望台があります。
展望台からは、17世紀に入ってから築かれた伊予松山城を見ることができます。
また、道後公園には松山が生んだ俳人・正岡子規の記念館(子規記念博物館)もあります。松山を訪れた際は、松山城だけでなく湯築城もぜひ訪問してみてください。道後温泉に歩いて行けます。
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