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和歌山城~御三家の名城を隅々まで歩く

 江戸時代の大名家のうち、徳川将軍家の血を引くのが親藩です。その中でも、徳川の姓を名乗ることができたのが水戸・尾張・紀伊の「御三家」でした。

 和歌山城は、御三家の紀伊藩の政庁にふさわしい堅固な名城です。戦前には天守など11棟が国宝に指定されていましたが、太平洋戦争で惜しくも焼失しました。

 和歌山城観光といえば天守に登ると思いますが、広大な敷地には興味深い遺構がたくさん残っています。

和歌山県護国神社の鳥居が見える

 和歌山駅から一番近い吹上口は、かつて紀ノ川とつながっており、物資の搬入に使われた出入口でした。

 西の丸と二の丸をつなぐ「御橋廊下」。高低差があるので斜めになった珍しい橋です。2006年に再現されました。

 「鶴の渓」周辺では、荒々しい印象の野面積(自然石をそのまま積んでいる)の石垣が見られます。

 城の西側の入口である追廻門は、江戸時代から残る貴重な建造物で、朱色に塗られています。

 汗を流しながら新裏坂を登ると、天守が見えてきます。大天守の周りに3つの小天守を配し、渡櫓で繋いだ連立式天守です。

 大天守から見下ろすと、「連立」の様子がわかるはずです。

 鉄筋コンクリートで再建された大天守の内部は資料館になっています。縁起のいい「桃の形の瓦」のような面白い物も展示されていました。

 天守のある天守郭の向かいには、本丸御殿跡があります。天守を綺麗にとれるフォトスポットですが、逆光になる時間帯でした。

 本丸から南東方面に下っていくと、松の丸という曲輪があります。松の丸の櫓台の高石垣は美しく、必見です。

 先ほどの野面積とは対照的に、石を成形して隙間をなくした切込接(きりこみはぎ)で積み上げています。

 城の南東の出入口である岡口門は、戦災を免れた現存建築で、国の重要文化財です。

 ちなみに、岡口門に続く40mほどの土塀も現存建築です。

 また、城内で最も幅の広い水堀が見られるのも岡口門の付近です。

 城の南東部は駅や駐車場から遠く、観光客はまばらです。しかし、高石垣や現存建築といった見所が多いエリアですので、是非足を延ばしてほしいと思います。

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