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コラムなど

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自由律俳句や現代詩、雑感など
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#詩

気分は上々(後編)

ひるさがりのザリガニごと民法とする 

むかしのおきてにしたがい夜はまだこない 

斜面になるとうそを思い出す 

かたい人形に小細工してくる

のこりの盲腸は満月にまちがわれる 

この話にシーラカンスは必要なかった 

じゃんけんにあきて尾行するのだ 

われらの初夏は順不同であり矛盾 

よろこびはとりあえずすすきそして振り出し 

だれかの集大成がシシャモだからゆるして 

どれもなつかし

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気分は上々(前編)

ときめきはつっぱりに似ている 

細胞それぞれが呪文とか 

天国も地獄もおしりからかぞえる 

週休二日がほたるらしいところ 

わたくしには花の記憶がない 

フォークもって全員集合おめんつけて 

音速を考える片目とじて 

へびのまんなか知って歯が痛い 

なるべく荒野をえらぶ鏡売るために 

√2という押入にはいる 

あおぞらこんな日は妹でっちあげる 

月の粘土にあれやこれや注文 

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むかしの詩

◇さざなみ

午後の宝石に少女はくるまれ身ごもる

ウルトラグリーンの斜面に

秋の最後の虫の声の

ささやかなひび

塔の客はまだ

来ない

◇分裂地帯

夏の夜は子どもの時間

眠りの奥の細胞分裂は

かすかにきしむ虫の声

女たちはオセロを休み

小さくあくびする

(観察は慎重に…)

現れては消え

浮かんでは沈む

みんなが何度も場所を

変えながら

短い執行猶予を

楽しんでいる

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だれかの童話

伝記を書こうとすると

思いだす風景がある

住宅地に池がある

街灯で照らされている

ゆっくり話す女は少なく

池の主はいないわよ

咲いているつつじに蜜蜂は

くるのだろうか

蜜蜂に刺された

母が育てていたばらのなか

下唇を刺して蜂は死んだから

ずっと呪文は四捨五入中である

むかし落とし穴を掘りながら思いついた

ある青年が洋館に招かれて

少年の家庭教師を頼まれる

「あなたの役

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書けないね

はやくも2017年の1月、終わりましたね。暦の上では春ですよ。

ツイッターでは、ぽろぽろ自由律俳句を出していたのですが、ペースは落ちてます。正直、書けません。スランプ(質ではなく量)はないと思っていたんですけどね。やっぱり自分のスタイルは、躁状態じゃなくちゃだめなようです。すごく疲れるんですよ、躁状態って。だから何句か作ったら、当分は作れなくなる。いやになってくる。もうやめようか、と考えたことも

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体力がいるな~

もう九月も終わりですね。秋は好きな季節なのですが、今年の九月は…。夏バテだったのでしょう。ほとんどなにもできなかったという感じです。よく眠れなかったし。 

前回、mixiのこと振り返りました。数年前にもかかわらず、よく書いてますね。自分でも驚きます。 

それに比べ、最近の作句のスピードのなさといったら、情けない。 

ただ、ひとつ感じることはあります。有季定型のほうがフットワークが使えたのかな

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なつかしいな~

数年前、有季定型俳句や現代詩を書いていたころ、作品はmixiに載せていました。 このころから体調はよくなかったのですが、振り返ってみてみると、自分でも「よくこれだけ書いたな」と感心しました。 

映画(DVDだけど)も一か月で30本は見ているんですよね。そのことも備忘録として残っています。 

正直、いま俳句を作るのがきついんですよ。頭打ちということじゃなくて、精神的にきついな、と感じることが多い

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暴力リリー

終点のバス停で降りると

青と白のしましまTシャツの少女が

大きいでしょうと

ダルマアルマジロのはく製を売りつけようとしてくる

横にいる男の子はパーカーで

弟だろうかガムをかんでいる

終点といっても掘立小屋があるだけで

ふたりのむこうに海が見える

まとまわつく女の子をほどこうとするが

なかなかすばやいししつこいしあせくさく

ザャザャギャッギョと叫びながら

Tシャツには赤いしみが

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好きな作家②藤枝静男

ツイッター上で自分の自由律俳句について「でたらめ宣言」なるものをしたことがあります。これは藤枝静男が対談の中での発言「でたらめにも、なんらかの意味がある」(←うろ覚えですが)に、とても納得したからです。感銘といってもいいほどです。

自分は一時期、私小説をよく読んでいました。疲れていたのかもしれません。他人(文士)の生活をのぞき見して、自分のほうがましだな、と思いたかったのかもしれません。近松秋江

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“紙媒体”に挑戦 (単なるPR…)

これまで、やたらめったら俳句を作ってきました。ネット上で公開することがほとんどで、プリントアウトはしませんでした。でも、この状態はあまりよくないのではないか、やはり紙に印刷して読んでもらうことも大切ではないか―とはつねづね思っておりました

6月18日に福岡で「ポエイチ」という文芸フリーマーケット?があることを知りました。句友・矢野錆助さん(といっても電話で話したことしかありません)もブースを出す

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