Toru Omae

読書と音楽鑑賞が趣味という典型的なインドア派の初老です。

Toru Omae

読書と音楽鑑賞が趣味という典型的なインドア派の初老です。

最近の記事

2021年に読んだ本ベストナイン

こんな感じでした。

    • 2021年12月に読んだ本

      藝人春秋Diary 正直言うと作者のことは理屈先行の芸人のようなイメージであまり好きなタイプではなく昔から書き続けられているこのシリーズにもあまり興味がなかった。芸人のエピソードとかもそんなに…というかテレビで語られると面白いけどそれをわざわざ活字で読みたいかね…と思っていたのだけれどつい買ってしまったのはひとえに江口寿史画伯の表紙と挿絵に惹かれたからだ。もしかしたら同じビートたけしに強い影響を受けた者としての僻みのようなものもえるのかも知れないな、と思ったな、今。書架で

      • 2021年11月に読んだ本

        塞王の楯火消しのシリーズで大ファンになった今乗りに乗ってる作家のノンシリーズ。前作では一代の梟雄、松永久秀を描いた作品で市政の人ではなく武将のこともこんなに描けてしまうのか、と思わさせられたが本作はまた名もなき庶民が主人公。城の石垣積みで名高い近江穴太衆が一方の主人公。対するはこれも同じく近江の鉄砲鍛冶で名高い国友衆。どんな攻撃からも城を守るという強い意志で石垣を組み上げる穴太衆に対してどんな守りも突破してしまう強力な武器を作ることでいわば核の抑止力のように戰を終わらせてしま

        • 2021年10月に読んだ本

          ボクシングと大東亜 東洋選手権と戦後アジア外交 極めて魅力的なタイトルに惹かれてその意味するところを深く考えずに手に取ってみた作品。大東亜とあるけれど実質的にはボクシングによる第二次対戦後のフィリピンとの国交回復物語。たまに太平洋戦争は欧米の植民地からアジアを解放するための正しい目的の戦争だったという説を唱える人がいるけれども本作を読めばそれは少なくともフィリピンに関してはまやかしだと分かる。個人的には日本があの当時やったことは純粋な侵略行為だし当時アジア解放を唱えた人がい

        2021年に読んだ本ベストナイン

          2021年9月に読んだ本

          ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス 熟練の国際ジャーナリストがロッキード事件について15年かけて洗い直した作品。以下の大きく5つの陰謀説を中心に米国で公開されている資料にも丹念にあたってその真贋の検証を中心に展開されている。 1.ロッキード社の秘密資料(ピーナッツの領収書とか)が偶然誤って議会に配送されて事件が発覚した。 2.ニクソンが自分の意に沿わない田中角栄を嵌めた。 3.三木武夫が政敵である田中角栄を葬るために強引に追求を行った。 4.田中角栄が資源外交で米国から睨

          2021年9月に読んだ本

          2021年8月に読んだ本

          越境者 邦訳が出るたびに読んでいるミステリのシリーズももう14作目とか。アメリカのど田舎ワイオミング州で猟区管理官を勤める主人公。本来は密猟を取り締まりにあたっているのだがトラブルに巻き込まれやすいというか自分から首を突っ込んでしまうというか…なので上司と地元警察との仲はすこぶる悪い。しかしながら型破りな知事に気に入られており確か何度目かになると思うのだけど前作で辞めた職にまた復帰している。密猟を取り締まるのが主な仕事のくせに銃の扱いが下手で突出した能力があるわけでもないの

          2021年8月に読んだ本

          2021年7月に読んだ本

          真説 日本左翼史 戦後左派の源流 1945-1960 (講談社現代新書) タイトルと真っ赤な表紙に惹かれて。個人的に全体主義が嫌いなので左翼的なものも好まないし内ゲバやテロ行為をする人たちというイメージもあって嫌悪感すら持っているのだけどそれ故にちゃんと学んだことがなかった。最近、資本論が注目されたり欧米でも格差問題を扱ったベストセラーが出るなど左翼的な主張に注目が集まっている気がしていて、日本の左翼活動は何ができて何を間違ったか、を理解していないとおかしなことになるので

          2021年7月に読んだ本

          2021年6月に読んだ本

          ブルースだってただの唄 (ちくま文庫) これはもうタイトルにやられた。かなり前(1980)に出た作品みたいなのだが最近になって文庫化されたようで店頭でタイトル見たら読んでみたくなった。翻訳を生業とし当時アメリカで暮らしていた作者が何人かの黒人女性にインタビューを行ったもの。黒人であり女性であるということは二重に抑圧された存在である、という切り口で刑務所の心理学者、ケーブルテレビ局のオーナー、ソーシャルワーカー、囚人、街で暮らす百歳を超えた老婆、などに対する聞き書き。どうい

          2021年6月に読んだ本

          2021年5月に読んだ本

          フテンマ戦記 基地返還が迷走し続ける本当の理由 この作者についてはニュース番組などで昔何度か見かけた際に論理的で落ち着いた語り口に好感を持ったことと日本では珍しい軍事アナリストという肩書き…そこに至る経歴も異常で自衛隊の航空学校から同志社の神学部中退とか。興味を持ってSNSでフォローしておりそこで知った作品。タイトルどおり日本への返還が日米間で合意されているにも関わらず24年間も実現していない事実について民間人の立場で交渉に関わった経緯をまとめたもの。失礼ながら作者のこと

          2021年5月に読んだ本

          2021年4月に読んだ本

          ギックリ腰で読書もあまり進まず感想文とか聞く気にならなかった四月…ようやく癒えたので遅ればせながら。 哲学と宗教全史 出た時に話題になってたので買って積読にしといたやつから。タイトルどおり哲学と宗教の通史であるためけっこうなボリュームで身構えていたのだが極めて分かりやすい記述で最初は拍子抜けしたくらい。作者が優秀なビジネスマンということもあってか、とにかく記述が簡潔でわかりやすい。新説の類は一切なく最初は知ってることばかりだな…と思ったのだがそれ故の凄みのようなものが感

          2021年4月に読んだ本

          2021年3月に読んだ本

          猫奥 (モーニング KC) 生涯独身の女性が多く詰める江戸時代の大奥が舞台の作品。本当なのかどうなのかは分からないけれど彼女たちの多くが猫を飼っていたという設定。上手いのは本当は猫好きなのだけど周囲からは猫嫌いと思われているちょっと上位の女性を主人公にしているところ。ほんとは猫を可愛がりたいのに表向きシャキっとしてなきゃ、の悶々具合が面白い。そういう作品。 雨と君と(1) (KCデラックス) どこで見かけたのかな…たぶんTwitterかな。 これ単行本になったら読も

          2021年3月に読んだ本

          2021年2月に読んだ本

          都立松沢病院の挑戦: 人生100年時代の精神医療 Facebookでお友達になってくださっている先生の職場の話ということで手にとってみた。東京の生まれ育ちではないこともあって都立松沢病院をそもそも知らなかったし精神科の医療についても全く知らないので読んでみよう、くらいの気持ちで。病院そのものの歴史と民間の病院から都立病院に院長として移られて進められた改革の中身について、自分のような素人にも分かりやすく説明されており単に読みものとしても楽しく読めた。優生保護の名のもとに行われ

          2021年2月に読んだ本

          2021年1月に読んだ本

          バー・オクトパス 一番肝心なところなんだけど…誰かが最近のお気に入りって紹介していて少し読んでみたら面白かったので猫マンガと同じタイミングで入手。鳥獣戯画ではないけれど海の底に人間社会と同じような社会があって海の生き物たちが会社に勤めたりしている、そんな設定で海の底に無口な蛸のバーテンダーがマスターをしているバーがあってそこの常連であるOL人魚を中心とした作品。いろんなカクテルが出てきて〜八本の手でマスターが巧みに作る!〜その辺りも面白い。誰が推薦してくれてたんだろう...

          2021年1月に読んだ本