2021年12月に読んだ本
藝人春秋Diary
正直言うと作者のことは理屈先行の芸人のようなイメージであまり好きなタイプではなく昔から書き続けられているこのシリーズにもあまり興味がなかった。芸人のエピソードとかもそんなに…というかテレビで語られると面白いけどそれをわざわざ活字で読みたいかね…と思っていたのだけれどつい買ってしまったのはひとえに江口寿史画伯の表紙と挿絵に惹かれたからだ。もしかしたら同じビートたけしに強い影響を受けた者としての僻みのようなものもえるのかも知れないな、と思ったな、今。書架で見た時にコロコロコミックのようね厚さに躊躇したけれど(笑)
内容は芸能人のエピソード集でまあ面白いかな、という感じ。地方の名家の生まれで進学校を出たのにビートたけしに弟子入りしたために勘当されたという経歴を持つ作者。エピソードはそれなりに面白く文章力もあるのだけどテーマが少しな…芸能人が何しようがどうでもいいし、俺は。という意味では興味の持てないテーマでもそれなりに読ませたところは凄いかな。因みに挿絵については文句のつけようがありませんでした(笑)
警告(上) (講談社文庫)
邦訳すると必ず手に取る作家のうちの一人、マイクル・コナリーの邦訳最新。自身も記者だった作者が新聞記者のジャック・マカヴォイを主人公にたまに出しているシリーズもの。凶悪な連続殺人犯の事件に関わり名声を得た主人公も今はロサンゼルス・タイムズを辞めて消費者向けサイトの記者となって地味に暮らしている。そんな主人公が一夜を共にした女性が殺され彼に嫌疑がかけられる。被害者の特殊な殺され方に興味を引かれた主人公は過去の事件で知り合って一時は付き合っていた元FBIのプロファイラーで今は調査会社を経営しているレイチェル・ウォリングに協力を仰ぎ、という話。サイバー・ストーキングなど現代的なテーマも少しだけ盛り込まれてはいるけれど基本的には地道な調査が物語をリードする。初期の作品にあった陰鬱なトーンが薄まってディーヴァー的などんでん返しみたいな部分が出てきているのが本作でも少し気にはなるけれどまだまだ面白い作品。やはりこの作家はおすすめです。
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