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うたの日366

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うたの日で好きだった短歌に拙いながら評を書いています。主にいいねいいねと云っています。 一日一首、毎日更新。
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2020年3月の記事一覧

2020/3/31(うたの日366)

うそつきと首都高速を抜けていくこのまま暮れたっていい、世界/穏(2018/12/31「暮」) めっ…

toron*
4年前
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2020/3/30(うたの日366)

いつか来た道を今度はきみが行く僕はしずかな観客になる/StarLighter(2019/3/2「来」) 一…

toron*
4年前
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2020/3/29(うたの日366)

悲しみよ一週間に十日来てそれから先は二度と来ないで/静ジャック(2018/5/6「一週間に十日来…

toron*
4年前
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2020/3/28(うたの日366)

「おはよう」と今にも夢から醒めそうなあなたの通夜で火の番をする/澪那本気子(2018/12/11「…

toron*
4年前
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2020/3/27(うたの日366)

いくつかの守れなかった約束を天国行きの列車で想う/はるごろう(2014/5/10「ごめん」) す…

toron*
4年前
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2020/3/26(うたの日366)

ハイウェイで8分休符をひとつずつ配って歩く5月のむすめ/砂岡病(2019/5/4「休」)一読してど…

toron*
4年前
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2020/3/25(うたの日366)

トンネルの出口に瞳 ああ僕は万華鏡の中にいたんだ/いぬ(2018/7/11「トンネル」) 上の句から下の句への転換がすごい。「トンネル」だけ出てくると自分の周囲が真っ暗である状況を想像してしまうのだけど、下の句を読むとそういうわけではなくて、とてもきらびやかだったことが解る。また、江戸川乱歩の『鏡地獄』のような怖い感じのシチュエーションにも読めるし、ファンタジーっぽいシチュエーションにも読むことができて、多彩な読みが可能な歌だと思う。…自分としては、自分がそういうのが好きだ

2020/3/24(うたの日366)

終電の外国人の会話からtomorrowだけを聴きとっている/えんどうけいこ(2017/5/10「自由詠」…

toron*
4年前
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2020/3/23(うたの日366)

蓮根をさりりと噛んで歯切れよく切り出したかった死体の話/魅録(2018/6/19「蓮根」) すご…

toron*
4年前
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2020/3/22(うたの日366)

ゆっくりとダムが決壊するように 午後のわたしとフォンダンショコラ/モカブレンド(2019/1/27…

toron*
4年前
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2020/3/21(うたの日366)

冬の駅かすかな咳が暗闇をなお暗くして上る階段/カシオペア(2018/11/6「咳」) 描写に徹し…

toron*
4年前
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2020/3/20(うたの日366)

ゆっくりとお湯に浸って思い出し笑いしている花冷えの夜/衣未(みみ)(2019/4/3「花冷え」) …

toron*
4年前
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2020/3/19(うたの日366)

屑籠に届かなかった空き缶は正しいゴミの夢を見ている/高木一由(2017/3/12「屑」) そうい…

toron*
4年前
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2020/3/18(うたの日366)

この星では狂っちゃだめだと言い聞かせネギを刻んで刻んで刻む/遠藤健人(2019/6/27「我慢」) 一読してすごく怖くなった。が、怖い短歌はいい短歌だと穂村弘も云っていて、これもすごい短歌だと思う。 上の句と下の句、どちらだけ読んでも怖くて、合わさることによって増幅されている感じがある。着目するところはまず「この星では」で、刻んでいる主体が、別の星から来た宇宙人として読むこともできる。宇宙人がこの星のルールに必死で溶け込もうとしているような。それだけではなく、発狂した前世が