見出し画像

2020/3/26(うたの日366)

ハイウェイで8分休符をひとつずつ配って歩く5月のむすめ/砂岡病

(2019/5/4「休」)

一読してどういうことなんだろう、と思ったのだけど「5月」から、これはゴールデンウィークの渋滞の景か…と腑に落ちた。あのちょっと進んではすぐ止まってしまう車動きを「8分休符」としているのがいい。そして、たぶんそれだけでなく「ハイウェイ」「8分休符」「5月のむすめ」と単語の組み合わせで、ここではない別の世界のように感じられる。5月の渋滞は日本の風物詩のはずなのに。
高速道路のことを「ハイウェイ」と呼び変えたり、擬人化させた渋滞を「5月のむすめ」とレトロに呼び変えてぶつけ、それに成功していると思う。また、渋滞していることを「~のせい」という文脈にも、きっとできたはずなのだけれど、それをせずに渋滞を描いているのも上手い。「渋滞」と言葉にするとそこには、言葉だけでなくいらいらするイメージが載ってしまう。けれど、それを出さずに「5月のむすめ」と書くと、なんとなく妖精のいたずらだから、この季節は仕方ないよね…みたいな感情が出てきて微笑ましい。
単語の組み合わせにすごくセンスがあって、自分もこういう短歌をつくりたい。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?