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2020/3/22(うたの日366)
ゆっくりとダムが決壊するように 午後のわたしとフォンダンショコラ/モカブレンド
(2019/1/27「ダム」)
フォンダンショコラは、中心にガナッシュが入ったケーキで少し温めて食べる。中央からふたつに割るとそのガナッシュがあふれて皿にこぼれ出す。その様子を「ゆっくりとダムが決壊するように」としたのは、描写的にもいいな、とも思うし説得力がある。
また、「~のように」のあとにはなんとなく感情描写が続くような予想をしてしまうのだけど、これを「午後のわたしと」にしているのが上手い。云いすぎていない、ということに加えて、「午前のわたし」はまだ「ダムが決壊する」に到らなかったように感じられる。フォンダンショコラを食べている昼食の後にゆっくりと崩壊がはじまってしまったという感じに。…この歌は「決壊」という言葉はあれどネガティブな感情表現が入っておらず、フォンダンショコラの様子ですべてを語らせている。黒い塊がケーキを割ってこぼれてくる様子は、自分、もしくは誰かの心臓を壊してしまったようにも感じられる。書いていて気がついたのだけれど「フォンダンショコラ」と「ダム」は韻が似ていて、これもイメージを繋げやすくしているなと思った。
言葉選びがまずとても好きなのだけど、細部にも行き届いた歌だと思う。
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