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大友トリモチ
2022年8月12日 23:33
ベトナム人が犬肉を食べるのは陰暦の月末だという。その時期に食べるのは厄払い的な意味があり、反対に月初に食べると、その月は良くないことが起こると言われている。大体陰暦の月初4日くらいは、犬肉に手をつけないらしい。一緒に働いているスアン先生は、あまり暦には興味がなく、疲れがたまったときに市場で買ってきて自分で焼いたり茹でたりすると言う。犬肉は滋養強壮の肉でもあるのだ。スアン先生の親戚は犬肉屋
2022年8月11日 23:34
日本語学習の序盤で必ず登場するのが、「何の○○?」という質問だ。食事の話と関連があると、だいたい生徒たちは「何の肉?」と聞く。で、ベトナムの生徒たちが必ず口にするのが「犬の肉!」なのだった。そう、ベトナムでは犬肉食は一般的で、ふつうに市場に並んでいる。が、生徒たちは、犬がどこの国でも普通に食されているわけではない、ということも知っている。だから犬肉の話をするときはみんなニヤニヤするのだ
2022年7月13日 22:32
ベトナムにはミエン・ンガン(miến ngan)という鳥の麺がある。nganというのが鳥の種類で、店頭にも鳥の写真が貼ってあるのだが、鶏でもないし、アヒルでもないが、そのどちらにも似ているという不思議な鳥だ。調べると、ウィキペディアのページがあった。それによれば、nganとは「野生のMuscovyアヒルの飼いならされた形」だそうで、ますますよく分からなくなった。とにかく、日本にはいない品種の
2022年7月6日 22:48
営業の仕事も授業も、大切なのは話すことではない、と書いた。今回はその続き。営業トークのスクリプトには、売りたい商品のことが事細かに書いてある。ある種の教案に、その日使う例文やその成分がびっしり書いてあるのと同じだ。新人営業の頃は覚えさせられたのだが、どうもうまくいかない。話が有機的な感じがしないし、話しているのか流れを思い出しているのかだんだん分からなくなってきて、まるで汗のせいで脱ぐに脱げ
2022年7月3日 11:48
ぼくは以前、集客や求人の広告営業の仕事をしていた。日本語教師になってから思うのは、営業職の経験はずいぶん役にたっている、ということだ。大きな会社ではなかったし、ましてやバブルが崩壊してから何十年も経っていたので、ノリと気合いと根性でどうにかなるような仕事ではなかった。営業といえば体育会系というイメージだったので、自分には向いていないと思っていたが、やってみると案外楽しくて、それなりに良い
2022年7月3日 11:32
教案というのは授業の脚本のようなものだ。1つの授業の始まりから終わり、つまり先生が教室に入ってから出るまでの動き方や板書、セリフが事細かに書いてある。養成講座に通っていた頃にこの存在を知ったのだが、講師によって教案に対する考え方がまったく違っていたことが面白かった。A先生は、百パーセント完璧な教案を仕上げなければ実習授業に参加できない、と言っていた。完璧というのは、「文法的な誤りはない
2022年7月2日 17:22
昨日、「現場の先輩に頼まれてコンビニで昼飯を買ってくる」という会話をやった。うちの会話授業にはスクリプトがない。あるのは「発端」「中間」「ゴール」と状況に合わせた小道具だけだ。ズンという女子生徒にカップラーメンやおにぎりやお茶を頼んだら、ちゃんとそれを選んでレジまで持っていき、まったく教えていないのに「お湯が欲しい」ということを店員役のぼくに言った。おお、これぞ自由会話の授業!と、嬉し
2022年7月2日 16:12
ぼくは一人でベトナムに送られてきた。会社から言い渡されたミッションは簡単で、「日本語の通じる技能実習生を日本に送り出すこと」だ。そんなの当たり前じゃないか、という向きもあるだろうが、これまで取引していた送り出し機関からやってくる実習生たちは、日本に入国した時点で「今、何時?」という質問にもまったく答えられなかったり、自分の名前をカタカナで書くこともできなかったりと、惨憺たる状態だった。そん
2022年6月29日 23:05
ぼくは今、ベトナム北部の町で技能実習生を相手に日本語を教えています。技能実習生は日本で働く生徒たちですから、日本語だけでなく、日本の社会常識やマナー、日本で働く上での心得も教えています。技能実習生と聞いてピンと来ない人もいると思いますので少し説明しておきます。技能実習生とは、技能実習制度によって日本へ行き、働いて母国へ帰る研修生のことです。技能実習制度というのは、途上国への技術移転を目的