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#214 《余命宣告》大切な人に会いたいけど会えない。

私は3人きょうだいの長女です。

『お姉ちゃんなんだから ちゃんとしなさい』と

言われて育ってきたせいか
      私は人に甘えるのが苦手です。

頼れる甘えられる
お兄ちゃんお姉ちゃんがほしいなー!!

お兄ちゃんお姉ちゃんがいる人にとても憧れた。

そんな私の前に現れた1人の女性は

私よりも一つ年上、住んでいる場所も割と近い、

とっても美人さんで、仕事ができる!

この人!カッコいいな!職場に新しく入ってきた
この女性にその日の帰り『お茶しませんか?』

私たちは連絡先を交換して友達になった。

自分から掴んだご縁です。

あの日から20年!
私はお姉ちゃんができたらみたいで嬉しくて、

そして何よりも一緒にいて楽しい。
私のことを一番!知っている、
そして時には叱ってもくれる、言いたいことを言える嬉しい関係でした。

私は結婚してお母さんになり、

友人は地元を離れた転職したけど

帰省した時には必ず会って近況報告。

お互いおばあちゃんになってもお茶飲み友達でいられるとずっと思っていたけど

ある日を堺に連絡しても会えなくなった。

ここで私のいつもの思考癖である
『私、何か悪いことをしたかな?』
『私、嫌われちゃったかな?』と

私は自分の事しか考えてなくて…
そんな自分にガッカリした。

ここは友人のペースに任せよう!!と
連絡だけは途絶えないように
『元気?』とか『この漫画!面白いよ』と
連絡をし続けた。

そんなある日、友人から『お茶しょう!!』と

嬉しいお誘いLINEが届いた。

嬉しくてルンルンで
友人を迎えに行って私は唖然とした。

友人はとても痩せ細り、とても疲れているように見えた…と言うより

明らかに生きる力が悲しいほどに弱々しかった。

連絡をしても会えなかったのは病気が見つかり
検査、手術、抗がん治療、また再発の繰り返しで

やっと落ち着いたから…と全てを話してくれた。

いつも元気で美しくあちこち旅をして
仕事もバリバリしていた友人が突然、
こんな事になるなんて信じられなかったけど

私はいつもと変わらず話を聞いて、
会える時には会いたい!!と伝える。

病気が分かってから3年。

やれるだけの治療はどんなものも
全てやり尽くしたけど病気は消えなかった。

会って話したいけど、友人は私に会えない。

今の姿を見せて心配させたくない…
色んな想いが伝わってくるから悲しい。

でも、私は自分の日常を止める訳にはいかない。
私が落ち込んでも友人の病気はなくならない。

私ができる事は連絡を途絶えず、
会いたい…と思ってもらえる日を待つ事。

そして、今 生きている事を忘れないでほしい。
これは私も同じ。

私が自分をありのまま出せる友人は2人だけ。

会っておしゃべりできないのは悲しい。

『色々とあったけど
  私たち一生懸命!生きててるよね!』

最後に会話したのはこのフレーズ。

『本当に』と
笑って頷いた友人の顔が忘れられない。

人生で確実に分かっている事は

人は死に向かって生きていること。

だから悲しくない…と言ったら嘘になるけど

歳を重ねていく中で
人と関わり病気や体と心の変化と向き合いながら

少しずつ受け入れていくんだろうな。

余命宣告をされたら何をしますか?という
質問を何度か聞いた事があるけど

本当にそうなったら…

特別なこと、特別なもの、特別な時間を作る事は私は考えられない。

私は家族と当たり前のごくごく普通の毎日を
淡々と過ごし

出会った人に『ありがとう』を伝えたい。

当たり前の毎日が実はものすごーく大切だし、

ここに感謝せずにはいられない。

次はいつ会えるかな。

私の大切な人  友人でありお姉ちゃん。

それでは今日も心穏やかに

ポジティブでありますように。

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門

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