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ゲーム感想 リングフィットアドベンチャー

 去年11月の中頃、やっとこさ『リングフィットアドベンチャー』を任天堂サイトで定価で購入(何度も抽選で落ち続けた後、普通に入荷されて買えるようになった)。それ以降は体調の悪い日を除いては毎日決まった時間プレイし続けた。それで先日ついに購入から60日……およそ2ヶ月が過ぎた。2ヶ月間続けてみて『リングフィットアドベンチャー』というゲームにどんな印象を感じたのか、また私の身体にどんな影響を与えたか……これを書き記していきたい。


 それではまず2ヶ月前、11月25日頃のプレイヤー初期ステータスを示す。

体重 53.2キロ
バスト80
ウエスト74
ヒップ85

 この数値がどのように変化したか……は感想文の最後に書いている。お楽しみにしていただきたい。

個人的なリングフィットアドベンチャー体験記録

 ここからは、私がどのように『リングフィットアドベンチャー』というゲームと接してきたのかの話をする。あくまでも個人的な体験記なので、ゲームの具体的な長所短所の話は次の章に書いているので、そちらまで飛ばしてもらっても構わない。

 私が本作を購入したのはもう冬。しかも正月を挟んで、というもっとも寒い時期だった。私は毎日着る毛布(バウヒュッテ)を着て小説を書く日々を過ごしているのだけど、夕方4時になると執筆を中断して、1時間『リングフィットアドベンチャー』に費やすことにしている。この時間までに執筆が終わって余裕があれば1時間半。
 真冬なのでかなり寒いのだが、着る毛布を脱いで、シャツ姿になって運動を始める。体を動かせば熱くなれる。寒いので、一生懸命体を動かす。
 ゲームを始めた初期の頃は運動負荷22くらいで、これくらいの運動負荷だと1時間の運動で60キロカロリー。
 その後、運動になれてきたと思えた時点で毎日1つずつ運動負荷をプラス。間もなく運動負荷最大30になった。運動負荷最大で1時間運動すると、消費カロリーは90~100あたりになる。

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 余裕がある時はかなりがっつり『リングフィットアドベンチャー』を続ける。もっとも長かった時で、消費カロリー200キロ。
 毎日アドベンチャーをプレイした後、カスタムで運動を追加している。カスタムの内容は見てわかるように、全て腹筋強化に全振りしている。私の目標は、最初から腹筋強化であった。

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 1時間半にもなると、運動の内容は毎日これくらいになる。3行目まで埋まるのを見て、「ああ今日も運動したなぁ」という気分になる。

 上の2枚の画像を見てなんとなく気付くと思うが、私のプレイスタイルはほとんど腹筋に集中している。というのも私の初期ステータス……明らかに言ってウエストが太い! ウエスト74ってなんだよ、樽かよ!
 数値上の印象だけではなく、裸になって鏡の前に立った時、露骨にお腹が出ている。お腹が出ているというか、腹筋の筋肉が垂れて、肉がでろーんとなっている感じ。誰がどう見ても、私は太っていた。
 太っているという自覚があるから、まずこの憎き腹の贅肉を打倒すること。『リングフィットアドベンチャー』を通して腹筋攻略に臨むことを目標とした。最終目標値はウエスト69センチ。

 というわけで、ゲーム中の運動は腹筋がメイン。アドベンチャーでもフィットスキルは全て腹筋だったし、アドベンチャー終了後はカスタムで腹筋運動を追加。徹底的に腹筋にダメージを与えることとした。

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 師事しているのはフッキンリーだが、好きなキャラはアッシリーナ。だってエロいもの。

 だが問題は起きた。毎日腹筋運動だけをやっていて、それで筋肉痛にまったくならず、慣れてしまった。これじゃ軽すぎる……。そう感じるようになり、私は運動負荷を上げていったのである。
 するとスクワットができない。アゲテプッシュやウシロデプッシュもできない。たまにスクワットが来ても、すっと通して最後までできず、休み休みでこなさないといけない。腹筋ばかりやり続けて運動負荷を上げてきてしまったから、腹筋以外の筋肉が対応できなくなっていた。

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 腹筋強化でオススメは「舟のポーズ」。これはかなり腹筋に来るので、私は毎回の戦闘のたびにとりあえず1回は使うようにしている。
 最近は、背中をあえて地面に付けずに舟のポーズ。こうすると、腹筋に圧がかかり続けて、非常に効果が高くなる。

 しかし私は運動負荷をあえて下げず、フィットスキルにワイドスクワットとプッシュ系の技を1つずつ入れて、毎日必ず1回は行うようにした。今ではそれなりにこなせるようになった。ワイドスクワットは休憩を入れずに、プッシュ系は2、3回休憩を入れるが初期の頃よりかはこなせるようになった。

 とこんな感じで2ヶ月、毎日少しずつ『リングフィットアドベンチャー』のプレイを続けてきた。  全体の印象を言うと、わりと楽しい。こういう毎日のルーチンになることがなんだか楽しい、続けていても苦ではない……そう思える体験はなかなか貴重なものだった。後でも書くが運動というのは集中的にやるものではなく、習慣にすべきものである。その習慣にする切っ掛けを得るゲームだと感じたので、そういう意味では非常に良いと感じられた。

良いと思えるところは……5分で始められること

 『リングフィットアドベンチャー』を始めてまず良いと思えることは、5分で始められること。私の場合、毎日4時にやると決めているから、時間が来たらいったん執筆を止める。パソコンをスリープにして、Switchを起動して、着ているものを脱いで……トイレに行ってからゲームをスタートする。5分後にはもう運動を始められている。
 場所はいまこの記事を書いている場所と同じ場所。ちょっとクッションの位置や机を移動させてスペースを作り、この場所で運動を始めてしまう。

 どこかのジムに行く必要がない。出かける必要がないから、移動時間がゼロで、着替える必要もない。女性の意見だが、メイクをする必要もない。移動の面倒さや、服をなに着ていこう……とか考える必要もない。その場ですぐに始められる。無駄がない。
 そしてすぐに終えられる。『リングフィットアドベンチャー』を終えて少し休んだら、また執筆を再開する。この手軽さを越えられるものはそうそうないだろう。
 それに、人目を気にする必要もない。私の場合、ダイナミックストレッチの段階で、結構声を出して「ゼイゼイ」と喘ぎだしている。こんなの、人が見ている前では絶対にしたくはない。人がいると我慢して、それで気分が悪くなりそうだ。誰も見ていないからこそ、好きなだけ声を上げながら運動ができる。我慢する必要がない。部屋で一人でできるものだから良い。

 次に良い思える時間は、キープ時間をしっかり示してくれること。
 私はだいぶ前なのだが、毎日腕立て伏せ100回、腹筋100回をやっていた。でも毎日やるものだから次第に面倒くさくなって、かなりいい加減にやっていた。回数も100回もやっていたのかどうか……。
 この時スクワットもちょっとやっていたのだが、膝を曲げたところでキープすることもなく、とりあえずやればいいんだろう、回数をこなせばいいんだろう、という考えでやっていた。

 だが『リングフィットアドベンチャー』を始めてからキープ時間の大切さがわかった。むしろ回数よりもキープ時間のほうが大事。『リングフィットアドベンチャー』はしっかりキープしないとベストが出ない、敵にダメージが当たらない構造になっていて、サボれない。ベストが出せれば大ダメージが与えられるから、しっかりキープしようという考え方になる。敵へのダメージがあって、それが気持ちいいというご褒美があるからしっかりやろう……と「やりたくなる」仕掛けがきちんとできあがっている。
 このキープ時間を示してくれるのが良い。自分で「1……2……3」と数えていたらだんだん面倒くさくなるのは間違いないし、数字を数えていたら、ハテ? いま何回目だったかな、となるに決まっている。体を動かしながら頭を動かすことほど面倒なことはない。
 でも『リングフィットアドベンチャー』はゲームの仕組みとしてキープ時間と回数をカウントしてくれるので、プレイヤーは何も考えず、ただゲーム側の指示に従って動くことだけを考えれば良い。

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 オススメは「設定」の中にある、「すべての運動を最後までおこなう」をON状態にしておくこと。これを入れておけば、アドベンチャーの時、敵のライフがゼロになった後でも運動を最後まで行うことができる。

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 アドベンチャーが終わると、毎回最後に豆知識が登場してくる。いま60日目だが、未だにずーっと途切れず、豆知識が公開されている。普通に分量として相当なものだ。このテキストを作るだけでも、相当なコストだが、こういうのもまるっと入っている……というのもこのゲームの凄さ。

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 作り手の遊び要素のミブリさん。このミブリさんで結構色んな遊びをやっている。これがなかなか楽しい。

 旅の相棒はリングという、かなり奇妙なキャラクターだが、これが常に「いいよいいよ」「最高だね」「パーフェクト!」「汗が輝いているよ!」と声援を送ってくれる。これが気持ちいい。ゲームから常に声援を送ってくれるというのがどれほどモチベーションになるか。
 自分一人で運動をやっていた時、これがないからだんだん暇になってくる。何もない部屋で一人きりで腕立て伏せなんかをやってると、何やってるんだろう……となる。飽きてしまう。
 リングは常に褒めてくれる。励ましてくれる。これが妙に嬉しい。例え同じワードを繰り返しているだけだとわかっていてもだ。声を掛けてくれるから、その都度意識が運動の方へと再セットされる感じがあった。

 体育会系の世界は基本的に罵倒の世界だ。相手を罵倒し、野次を飛ばし、身体の欠点を見付けて侮辱する。そうすることで相手のモチベーションを引き出す……というのが体育会系世界の理屈だ。コーチへの怒りと恨みをモチベーションの原動力とせ……よ。体育会系発想の人々は、それ以外のモチベーションの見つけ方を知らないし、それ以外の原動力をすべて(「程度が低い」などとケチを付けて)否定する。コーチへの怒りと恨みで、運動以外のことを考えられなくする……というのが体育会系世界の発想の全体像だ。
 私は常々、この方法ははっきり間違っている、と考えている。体育会系世界の発想は、要するにモチベーションの理由を外部からでしか見いだせないものである。誰か、何かに攻撃されたからそれを見返してやるために、その運動を頑張ろう……という。内的理由の意味を見いだせないのが、体育会系が陥っている“弱さ”だ。誰も気付いていないが、体育会系の精神は非常に弱い。倒す相手がいなくなると、モチベーションを失ってしまうからだ。

 しかし私のような絵を描いたり小説を書いたりするタイプの人間は、モチベーションは常に内部から発見する。私は別に、絵を描くことによって誰かを倒したいとか思っていない。誰かに尊敬されたいとは思っていない(というか、いくら絵を描いたところで誰も倒せない)。描きたいから描く……が絵を描く最大の理由だ。それはどんな絵描きも同じであるはずだ。
 すると運動する理由も、いやそれ以外の「何か始める理由」も、内的理由が切っ掛けとなる。運動を始めようという理由も、内的理由だ。明らかに太ったからだ。別に運動を始めたからといって、それで大会に出て誰かを攻撃したいとはまったく思っていない。
 むしろ私のような内的理由によって何かを始めたいと考えるタイプの人間は、体育会系理屈によって罵倒され侮辱を受けると「やってられっか」ってなる。まず「お前のもとではやりたくない」と思う。

 仕事でもそうだ。体育会系世界観しか持たない職場に当たると、私はすぐにやめてしまう。仕事内容に問題があるのではなく、「お前の元で働きたくないからだ」が理由だ(これは言わないけどな)。仕事を続けたとしても、抗議の意志を込めて仕事の質を露骨に落としたりする。クソ上司のもとで最大のパフォーマンスを見せたいとは思わない。
 体育会系世界観で共鳴しやすいタイプというのは昔からいて、そういう人同士で結びつくと、ひたすら怒鳴り散らす環境はむしろ居心地が良いらしい。社会はいい加減、そういう人間とそうでない人間との区別をしてほしいものだ(あと、そういう体育会系タイプを社会の上位に置くのもやめていただきたい。まったく違う文化圏という意識に気付いて欲しい)。
 それで、『リングフィットアドベンチャー』をやっていて何が良いって、ひたすらに褒めてくれる。声援を送ってくれる。これが本当に嬉しい。褒めてくれるからこそ、続けてやろうという気持ちになる。


 ただ一つ欲を言うと……リングコンからボイスが出れば良かったのにな、という気がしている。モニターのスピーカーからではなく、リングコンから声が出てくればよりリングというキャラクターが身近に感じられたのに。
 でもこれをやるとリングコンの値段が上がってしまう。コストを考えると、今の形が最適解となる。難しいところだ。

 運動をする時のフォームもきっちり指導してくれるところもいい。「腕を伸ばして」「胸を大きく反らして」「腰を下げて」とボイスでやり方を指導してくれる。画面が見えない動きをする時も、「腰を上げて」「あと5回」とサポートしてくれる。
 『リングフィットアドベンチャー』をやっていると、今までしたことのない運動や、したことのないポーズも多く登場してくる。するとやり方がわからない、ということもよくある。どの状態でキープすれば良いんだ?
 そこでボイスで指導をしてくれる。「腕を伸ばして」「腰を大きく振って」「しっかり曲げて」「しっかり戻そう」とやはり同じボイスを繰り返しているだけだが、これがあるとやり方がわかりやすく伝わって良い。リングコンの振動でキープ時間を提示してくれるのも、わかりやすくていい。

 私は常々、ゲームキャラクターはもっと喋っても良いんじゃないか、と考えていた。ゲームキャラクターは基本的にプレイヤーが行動を指示しなければ喋ることはない。キャラクターのボイスはアクションと連動しているからだ。
 でもそれ以外の時でも喋っても良いのではないか。喋る内容は単純にプレイヤー……世界観を考えると旅をしている自分自身を励ます言葉でも良い。プレイヤーが特定の場所で詰まっていると判断した場合、ある場面で費やす思考が長くなっているなと判断した場合は、さりげなく「ここはこうじゃないかな」「上じゃないかな」と呟けば、プレイヤーに発見を促せるようになる。このヒントがうまくいけば、プレイヤーは「ヒントを与えられている」という感じではなく、そのゲーム世界の物語体験の一つとして受け入れてくれるはず。ゲーム中のキャラクターとの交流ができた、と感じられれば(キャラクターと一緒に謎が解けたと感じられれば)、よりゲームの物語体験を深められるのではないか。
 と、私は以前からそう考えていた。それで『リングフィットアドベンチャー』をやってみて確信した。ゲームキャラクターはもっと喋ったほうが良い。そのほうがキャラクターを通してゲーム世界との一体感が感じられる。実際、リングにひたすら喋りかけられて、私は『リングフィットアドベンチャー』の世界観にどんどんはまり込む感じを体験した。

問題点 欠点

 では次に、『リングフィットアドベンチャー』の問題点と欠点を見ていくとしよう。

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 「アドベンチャー」をある程度進めていると、出現するモンスターが複数になっていく。するとこちらも複数を同時に攻撃できるフィットスキルを使いがちになってしまう。私としては、単数攻撃のフィットスキルを使いたいのに……ということがよくある。
 初期の頃は腹筋に効くニートゥチェストやレッグレイズを好んでやっていたのだが、どちらも敵単数攻撃の技。中盤を越えてくると敵も複数になり、なかなか使う機会がなくなってくる。
 そうするとどうしてもスワイショウやロシアンツイストといった少し軽めのフィットスキルを多く使いがちになってしまう(ああいった軽めの運動を複数攻撃スキルになっているのは配慮だと思う)。舟のポーズを獲得した今は、そればかりを使い続けているが。
 複数敵に対して単数攻撃をし続ける……という手もなくはないが、そうすると1回のバトルシーンが長くなってしまう。1回のバトルが長くなってしまうと、ゲームを続ける上でストレスになる。やはり体を鍛える以前にゲームを楽しみたいという意識があるから、テンポの良さを気にして、複数攻撃スキルを使いがちになってしまう。

 お気に入りスキルを使い続けたくても、どんどん新しいスキルが追加され、お気に入りスキルも攻撃力がいまいちになっていく。攻撃力の弱いスキルばかりだと1回のバトルが長引いてストレスになるから、次々に入れ替えて行かなくてはならなくなる。

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 一時、その時は高い攻撃力を誇っていたバンザイモーニングを入れてみたのだけど、やっていても「これ、どこに効いているんだろう? 背中?」という感じで微妙。「攻撃力」を取るか「運動」を取るか。ゲームとしての効率を取るか、運動を取るか……で葛藤が生じてしまう。

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 今のところセット可能なフィットスキルは10だが、やっていると少ないな、と感じる。戦闘が長引くと、同じ運動を繰り返すことになってしまう。
 私の場合、腹筋攻略を中心としているわけだが、腹筋に効く運動は普段セットしている運動以外にもたくさんある。しかしセットできる数に限りがあるから、ずっと同じ運動をし続けることになる。どうにか違う運動をいいタイミングで取り入れられないかな……という気になってしまう。
 そこで、私は毎日アドベンチャーの後で、カスタムを追加で入れているわけだが。

 ゲームの長所のところで、ボイスで運動のフォームを指示してくれる、ということを美点として挙げたのだが、完全ではない。『リングフィットアドベンチャー』にはたくさんの運動が提示されているのだが、中にはよくわからないものがある。
 ゲームを始めた当初、「罠だな」と感じたのはスクワット。スクワットはこのゲームにおける基本ではあるが、ミブリさんの動きを見ると、ゆーっくり動いて空気椅子ポーズになっている。あの動きを真似すると、なぜか減点される。そうではなく、素早く空気椅子ポーズになる。空気椅子ポーズでのキープ時間が大切なのだから、素早く空気椅子ポーズになり、素早く立ち上がる。ミブリさんの動きの通りやると減点される。これはスクワットのみにならず、色んな運動にも当てはまる罠だった。
(一方、ヨガ系の動きはゆーっくり動かねばならない)

 「アシパカパカ」は始めた最初の頃はどうやったら高得点が出るのかなかなかわからなかった。同じように動いているつもりで点数が上がったり下がったりする。これが何なのかわからなかった。
 しばらくして、「アシパカパカ」は足を開いた後、完全に静止する。閉じる時水平に動く。これがブレていると減点を喰らう……ということがわかった。
 「ハサミレッグ」もわかりづらかった運動だった。「ハサミレッグ」で高得点を出すためには、間の足を広げる時、大きく開く。これが最大のポイントだった。
 こういった高得点を出すためのコツというのはあるのだが、すぐにわかるわけではない。アシパカパカやハサミレッグは気付くまで1週間以上かかったように思える。
 中には未だになぜ減点されるのかよくわからない運動もある。「バンザイコシフリ」もどうして減点されるのか、理由がよくわからない。こういうとき、ボイスで減点理由を指摘してくれれば……と思う。

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 ヒップリフトも正解がわかりにくい。どうやら、尻を浮かせて、その位置をキープすればいいらしい……。

 ミニゲームの問題がある。ワールドをクリアすると、その後追加のミッションがある。そこに条件付きでミニゲームをクリアせよ……というものが必ずある。これがものによっては難問だった。
 普通のゲームの場合、クリアできず何度もリトライをする。普通のことである。しかし『リングフィットアドベンチャー』の場合、自分の体で繰り返し同じステージをリトライし続けることになる。普通のゲームは指先を動かすだけだが、『リングフィットアドベンチャー』は全身運動。負担はかなり大きい。
 普通のゲームなら20分や30分のリトライくらい、大したことはない。しかし『リングフィットアドベンチャー』で同じミニゲームを30分もリトライし続けると、それだけでヘトヘトになる。普通のゲーム感覚でリトライを要求してくると、シャレにならないくらいしんどい。

 ディスクヒットは最初にやった頃、難関だった。どうにも私の感覚とゲームの感覚でズレてる感じがした。私がハリセンの位置をセンターに戻したくても、うまくセンターに戻ってくれない。ほんのちょっとの揺れで右へ左へと動いてしまう。今はもうすっかり慣れたものでうまくできるようになったが、初期の頃はディスクヒットのみで40分近くプレイし続けていた。
 ツイストバッティングは未だに鬼門だ。ツイストバッティングはお腹をリングで圧迫し続けるのだが、これを20分、30分と続くと、お腹が痛くなる。どうにかミニゲームをクリアした頃には、お腹でぐったりくる。
 この体験以来、お腹に押し込む動きはどうにも駄目になり、追加攻撃のラッシュオナカツイストもお腹にリングを押し込まないといけない動き。私はラッシュオナカツイストは緩めにやることにしている。腹痛状態になると、もう運動どころではなくなるからだ。
 そう考えると、ミニゲームはもうちょっと緩めでもよかったのではないか……という気がする。普通のゲーム感覚で設定を作ってしまっている。
 『リングフィットアドベンチャー』は普通のゲーム感覚で作ってはならないんだ……というこれは実際のプレイを通してやっとわかることで、この指摘は後出しじゃんけんみたいなもので強く言うつもりはない。

 Switchの長所であり問題点はジョイコンにある。『リングフィットアドベンチャー』もジョイコンをセットしてゲームを進行させていくわけだが、プレイ中、次第にジョイコンの動きがズレてくる。
 スワイショウなんてやっているとよくわかるが、次第にプレイヤーの動きとゲーム中の動きがズレてくる。こちらの動きと完全に連動している……とは言いがたい。動きがずれるのはいいが、調子が悪いと、そのまま本体との通信が切れてしまう。
 運動の最中だというのにジョイコンがまったく効かなくなり、セットをし直す……ということが時々起きる。それで、運動の中途半端なところから再スタートになり、その直前のダメージが弱くなってしまうことがある。あそこはやり直しさせて欲しい。
 ジョイコン問題はSwitch発売から現在に至るまで、ずっと解決されない問題として抱えている。いつになったらこの問題は解決されるのだろうか……。

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 ゲーム進行中だというのに、通信が途切れて、再設定している画面。時々起きる。

 最後に引っ掛かりとして感じたのは、世界観の問題。『リングフィットアドベンチャー』はかなりユニークな世界観が描かれている。どうやら国、あるいは世界そのものが運動を美点とする宗教観があるらしい。だがその社会体制や歴史観が見えてこない。
 例えばステージ中、あちこちに壮麗な彫像がいくつも作られている。様々な施設の中を通り過ぎるが、どうやら管理されていない廃墟らしい。ああいったものが本来どういったもので、誰が作ったのかわからない。いったい誰の手によるものなのか。そもそも誰を象ったものなのか、何一つわからない。作中で提示がまったくない。
 ああいった彫像が作られているということは、その辺りもいつかの時代では華やかな文化があったと想像されるが、その辺りについてほとんど指摘されなければ言及もされない。
 私たちが接している『リングフィットアドベンチャー』の世界は、かつての栄光ある時代も去り、人々は小さなコミュニティを作り、慎ましやかに生きている世界……であると想像される。あの世界観の人々がやたらと健康志向なのは、かなりギリギリな生活をしているから、効率よく栄養を得ることに貪欲になっているからだろう……と想像される。
 だがそれ以上にあの世界観から実のある何かを読み取ることができない。だから出てくる人物にしても設定にしても、生命感のある生々しさを感じない。

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 荒涼とした大地の中に点々と作られているエクササイズ設備と、その周辺に作られた巨大な彫像の数々……。
 おそらく誰かがかつて作った遺跡を巡っている……という構図だと思われる。

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 ステージを進んでいくと、ドラゴの彫像が現れてくる。これはドラゴがかつていた偉人達と並ぶ存在になりたい、偉人と並ぶ存在であることを示したいがために作られた物だと思われる。あの彫像が、この世界観における権威の示し方なのだろう。

 そういった設定の作り込みは必要か? というとほぼ必要がない。しかし、あのゲームを続けていく上で魅力ある世界観か……という問題に結びついてくる。もしもそこに惹きつけるような文化観、歴史観の提示があれば、ゲームはともかくとしてあのステージをもう一回走ってみよう……みたいな気持ちになるはず。
 あるいは、なんとなく魅力的だからあの場所を走りたい……みたいな気持ちになる。「美しい世界観(グラフィック)」はなぜ必要なのか、というとその場所を再び訪れたくなるから必要なのだ。
 でも『リングフィットアドベンチャー』の世界観にはそういった魅力がどこにもない。どうにもただ絵が流れているだけ……という淡泊な印象しかない。あれは書き割りだ……と私は考えている。

 同じステージが繰り返されているだけ……ということはあまり問題にしていない。ランニングをしていると、似たような風景や似たような彫像に何度も出くわす。ゲームをしている上でそこをストレスに感じることはほとんどない。欲しいのは世界観の厚み。
 平坦な世界観はゲームを進行している上でさほど引っ掛かりというほど引っ掛かりではないのだが、しかしもう一つ、あの世界観に重層的なものを感じさせてくれれば、作品を見る目も変わったはずなのに……という気はしている。

60日運動をし続けた結果発表とまとめ

 それではいよいよ60日間『リングフィットアドベンチャー』を続けたことによって私の身体にどんな影響をもたらしたのかを語っていこう。
 まずは60日後の私の体重とスリーサイズだ。

体重 54.5キロ(+1.3)
バスト80
ウエスト71(-3)
ヒップ86(+1)

 以上のような結果となった。


 残念ながら体重は増えてしまった。30日目くらいで私は一日の食事回数を減らしたのにも関わらずだ。運動をして食事量を減らしたのに、なぜか体重は増えてしまった。もしかしたら筋肉量の増大が関係しているかも知れないが、我が家には筋肉量を図る装置がないのでわからない。もしかしたら実は太ったのかも知れない。

 ウエストは確実に細くなった。たかが3センチ……と思われるがこのおかげで、以前はちょっとキツかった服も余裕で履けるようになった。今は真冬なのでちょっとコンビニへ出かけようという時、面倒だから部屋着ズボンの上にジーンズを履く、ということをやる。これも余裕で履けるようになった。ウエストは確実に痩せている、という実感はある。
 私の目標はウエスト69~68だ。お腹を引っ込めればそれくらいいくので、理論値としてそこまでいけるはずである。だが私の骨格からしてウエスト68が最低値だろう。そこを目指して続けていこうと思っている。  それで腹筋にシックスパックは身についたかというと、ほとんど付いていない。ななめに光を当ててくれればシックパックが浮き上がることはあるが、普通状態でシックスパックをくっきり観察できない。
 なぜなら、食事制限をしているからだ。筋肉の盛り上がりを作ろうと思ったら、ある程度以上食べなければならない。私の場合食べずに痩せ続けているので、筋肉の盛り上がりができることはない。私はこの後もウエストを絞るつもりでいるが、その結果としてシックスパックが形成されることはないだろう。

 ヒップは大きくなった。「ヒップアップ」ってなんのことだろう、と思ったら、お尻自体が大きくなった。なるほど、お尻の丸みも筋肉だったのか。  ついでに、太ももも太くなった。といっても、この部位が太くなるなんて思ってもいなかったから、初期値の直径を測っていなかった。実際どれだけ太くなったのか、正確にはわからない。とにかく間違いなく太ももも1~2センチほど太くなっている。

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 ゲームのタイトル画面にもなっている、リングコンを押し込むこの場面。初期の頃は「強さ・100%」がなかなか出せなかった。今は余裕で出せる。

 『リングフィットアドベンチャー』を60日続けた結果、ウエストは細くなり、ヒップは大きくなり、太ももが太くなり、体重が少し増えた。
 体重が増えたのは「脂肪」ではなく「筋肉」である可能性があるので、体重が増えた問題は少し横に置いておくとしよう。ウエストは確実にやせたのだから、『リングフィットアドベンチャー』にはある程度のダイエット効果はある……と言えるだろう。

 では生活の実感としてどうだろう。
 ここに一つ問題があって、私は引きこもりである。家からほとんど出ることがない。日がな一日中、こうしてモニターと向き合い、キーを打ち続けている。筋肉が付いていたとしても、生活の中で実感することが極めて少ない。
 時々、自転車に乗って出かけるが、息切れせずペダルをこぎ続けられるようになった、というのはある。登り坂でもかなりスイスイいける。以前は自転車で少し走っただけでかなり息切れを起こしていたが、今はこの息切れが来ない。私が日常の中で実感を感じているのは、こういうときくらいである。
 日常の中で実感を得ることがなかなかできないのだが、『リングフィットアドベンチャー』をやっている時、空気椅子ポーズが簡単に行えるようになった。空気椅子ポーズを維持せよ……と言われても今ならすぐにでも膝から直角90度の姿勢を余裕で作れる。というわけで私が筋肉が付いていることを実感するのは、不思議なことに『リングフィットアドベンチャー』というゲームをやっている時だったりする。

 運動というのは、日常の中で習慣にすることが大事である。その時だけやるのでは意味がない。ずっと続けていくこと、毎日同じ時間に同じ時間だけこなすこと。習慣化させることが大事である。『リングフィットアドベンチャー』は間違いなくその手助けをしてくれる。毎日の運動を楽しくさせてくれるゲームである。
 すでに書いてきたが、私はかなり以前だが腹筋100回、腕立て伏せ100回を毎朝やっていた。でも途中から飽き気味だったし、回数もおざなりに数えるようになった。ただ作業的に朝の時間にパッとやるだけ……という感じになってしまった。運動というのは、そういうふうになりがちだ。

 『リングフィットアドベンチャー』は軽めのスクワットをし続けると(サイレントモードのこと)、風景がすーっと動いていく。まずこれが気持ちい。なぜなら、自分が本来走る速度よりも明らかに早い速度で風景が流れていってくれるからだ。身幅を少し越える動きが提示されるから、気持ちよくなってしまう。
 運動をすると「バシッ」とダメージとなって攻撃が当たる。これも気持ちいい。運動の1回1回が気持ちいいと感じて、どんどんやりたくなる。キープ時間の提示も大事で、これを守らなくては攻撃が充分に当たらないという設定も良い。
 やはりリングのボイス。常に褒めてくれる。盛り上げてくれる。これが良い。一人きりでやる運動は、どうしても飽きてしまうものだ。そこに相棒が寄り添って、ずっと声をかけ続けてくれる。リングがいてくれるおかげで、毎日続けられると言ってもいい。
 とこのように『リングフィットアドベンチャー』は運動を習慣化できる工夫がたくさん込められている。『リングフィットアドベンチャー』をやらずに運動を習慣化できるかというと、ちょっと難しい。さっきも書いたが、運動はただの作業に陥りやすい。そういう時、サポートしてくれるゲームが存在する、ということが大きい。

 2ヶ月続けてきた『リングフィットアドベンチャー』だがまだゲームを終えていない。アドベンチャーはまだまだ続きがある。いつゲームの全てが終わるかわからない。私はもうしばらくこのゲームを続けるつもりだし、続けていたら定期的にスリーサイズの変化を結果発表として公開していこうと思う。

 ゲームの問題点……というほどのことではないので上には書かなかったことが一つあるのだが、『リングフィットアドベンチャー』はちょっと緩めだ。アドベンチャーをやっていると20分くらいで「今日はここまでにする?」と尋ねてくる。私としてはぜんぜんやり足りない。『リングフィットアドベンチャー』の提案するとおりにやめてしまうと、ちょっと運動として足りないのではないか? という気がしている。私は毎回「続ける」を選んで毎日1時間は続けることにしているのだが。
 ゲームが緩めという点は、運動そのものについても思う。毎日思うのは、もうちょっと身体に負荷がかかっても良いのではないか、ということ。運動負荷最大だけど、今となってはこれも物足りない。これは私の方が慣れ過ぎちゃった……というのもあると思う。でもそう感じるということは、ある程度以上筋肉を備えている「ガチ勢」には物足りないと感じるだろうと思う。

 まだゲームを終えていないのだが、懸念として感じているのは、アドベンチャーモードを終了させた時、私は『リングフィットアドベンチャー』を続けているだろうか……という懸念だ。もしかしたらアドベンチャーを終えてしまうと、私のモチベーションもそこで終了になってしまうのではないか。奇妙な世界観とストーリーだが、しかしそんなものでも追っている楽しみがある。
 アドベンチャー終了後はどうしようか? 続けようと思えるのだろうか。クリア後の、ずーっとエンドレスで続けられる特別モードがあるのだろうか。例えば自動生成マップのようなステージが……。まだそこまでゲームを進めていないので、アドベンチャークリア後がどうなっているかわからない。
 まだアドベンチャーも途上だが、今の段階でその時のことを心配に思っている。


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