寝て起きて寝ては起きてのひぐらしの そんな詩句のかけらが頭を掠めたのは、昼日中のうだ…
ときどき、それを読んだり、見たりしたあとに、何かを言おうとして、しかしついに何の言葉も…
(第38回文学フリマ東京にて購入 『汀心 vol.1 恐怖について』収録作品) まず、印象的なタ…
そこには永遠と雲とが流れていた。とうにひとは滅び去っている。遥かな高みの梢からはやわら…
不毛とはそれ自体がひとつの喜びでもあると何の気もなしに考えた。ちょうど平日の昼下がりの…
5月19日(日)東京流通センターにて開催予定の文学フリマ東京に参加いたします。 何とシンプ…
その春、わたしはみずからは何者なのか、と問いかけ、答えようとして、困るような気のする自…
尾道に来たいと思った理由も、思えばよく分からない。知っていることと言えば、精々坂があり…
(原爆ドームのかたわらを路面電車は当たり前に通りすぎていくこと) 物心のついた頃から平…
雨が降りつづいていた。一面の空は灰色に覆われ、僅かに溢れる光は押しせめぎあう雨雲の重み…
もう夏が来ているかのような夜だった。住宅街の中をまっすぐに貫く道に人影はなくて、自分の…
蝶々が飛んでいるなあと、ぼおっと眺めていた。春の昼下がりのことだ。狂ったように咲きむら…
前半> https://note.mu/tonatsu/n/na0b4d80fafae 山口は水嶋と憎みあった、堂上よりも年…
夜っぴいて酷い降りが続いていると耳をそばだてたまま眠っているような心地がしていたが、目…
その日は朝からからっからに晴れていて、先日に降った雨はあとかたもなく乾いてしまっていま…