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親に僕がトランスジェンダーだとカミングアウトした話➀

※LGBTQIA+についての単語の説明は下に載っています。

12月中旬、ついに僕は、親にカミングアウトを果たした。正直言うと、僕が事前に立てていたカミングアウトの計画を実行することはできなかった。


僕が立てていた計画はこうだ。志望する大学に受かって親が入学金を払ってくれたら、そのタイミングで、家ではなくファミレスかどこかに呼び出してトランスジェンダーだと言うつもりだった。なぜ家ではなく外でカミングアウトしようと思ったのか。それは、家では周りの目がないから、特に母が混乱してしまった時に、僕に対して酷いことを言う可能性があったからだ。

母は感情の起伏が激しく口も強く、まあ、今までかなり酷いことを言われてきた。だから、外だったら周りの人もいるし、そこまで感情を爆発させることもないのではと思ったのだ。しかしその計画を実行する前に、大学のことでもめることとなった。


僕はつい最近、関東の志望する私立大学の教育学部に特待生として受かり、国公立より安い学費で通えることになった。

しかし、関東に出るなら国公立の大学ではないとダメと母は言う。どうしてそんなに僕が関東に出たいのか分からないらしい。母はただ単に僕が東京で遊びたいだけだと思っていて「なんでそんなに東京に出たいの?地元でいいじゃん。あんた、ただ遊びたいだけでしょ。」と何度も言われた。


僕が関東の大学に行きたい理由はいくつかあった。

まず、その大学に教育学部があり教員就職者が多かった。次に地元を出て、様々な出身地の友達を作ったり交流したりすることで視野が広がると思った。

そして、LGBTQ+のオフ会や交流会、講演会は関東で開催することがほとんどで、常々行ってみたいと思っていた。自分と同じような仲間を作れると思ったからだ。
そして、当事者ではない人たちにもLGBTQIA+のことを知ってほしい、身近に感じてほしくて、大学で普及活動をしたいのだ。なぜそういう活動をしたいと思ったかは、長くなるのでまた書くとします。

これからどう生きるか、大学に入って何をしたいか、どんな仕事をしたいかを考えた時、僕は自分のジェンダー・アイデンティティ、そしてセクシャリティなしでは考えられない。もちろんそうでない人もいると思うが、僕にとっては重要な部分を占めているのだ。


母親に大学へ行くことを反対されて、なかなか納得しないので、どうしてその大学に行きたいのかを本音で話すためには、カミングアウトせざるを得なくなったのだ。今からカミングアウトの様子を書きます。


12月の中旬、朝の10時くらいだっただろうか。僕はまた両親と大学の話で揉めていた。
父は一回実家から出た方がいいというスタンスなので反対していないが、母親は「どうしてそんな行きたいの!?地元でいい。ただ東京で遊びたいだけでしょ。」の一点張り。

僕も何十回もそんなことを言われているとさすがにイライラしてきて
「僕だって色々考えてるのに…LGBTを知ってもらったり、そういう子供の支援もしたいし、仲間も作りたいし、教育学部だからそういう機会だってあるし。何も考えてないみたいに言ってんじゃねーぞ、このクソババア。」と思っていた笑

また母親が「ただ遊びたいだけでしょ」と言う。
僕はカミングアウトしようと覚悟を決め始めた。
僕が「だって…だって…」と泣きながら言う。母親は「だって何ね?何にもないんでしょ?」と返す。
よし言おう。もし拒絶されて絶縁されるかもしれないけど、その時は東京にいる姉の元へ転がり込もう
そのくらいの覚悟だった。唇が小刻みに震えているのが分かる。
口を開いた。全身が震えている。
そして「自分…セクシュアルマイノリティだから」と言った。
母親が「は?」と返す。


僕は今まで親の前でバレないようにと思っていたことが口からぶわーと溢れてきた。
「自分、トランスジェンダーだから。ほんとは振袖なんて着たくない。メンズスーツがいい。制服もずっと嫌だった。ずっと女の子が好きだった。男の子を好きになったことない。」

セクシャリティの部分については僕は、女性とか男性とかそれに属さない人も性別関係なく好きになる、パンセクシャルだ。でも、女性を好きになることが多く、今まで好きになった人は女性だけだ。と言っても、好きになった人は一人しかいないのだが。
だから、親には女の子が好きだったと言った方が僕がトランスジェンダー だと理解されやすいと思ってそう言った。トランスジェンダーの方でも、同性が好きな人もいるし、異性が好きな人もいるし、どっちも好きな人もいるから、そこは気をつけていただいたいです。


そう言うと、2秒くらいシーンとなってすかさず母親が声を発した。「そんなのまだ若いんだから分かんないよ。19なんだから分かんないよ。変わるかもしれないじゃん。振袖着なきゃいいじゃん。メンズスーツ着たきゃ着ればいいよ。そりゃ女の子連れてきたらびっくりするけど、面白いじゃん」と言った。

僕は「あ〜、想像してた感じの反応。まぁ受け入れられないよな。分かってないんだろうな〜。でも僕は変わらないよ。僕がトランスジェンダーだってことは。ごめんけど。」と思った。(続く)

・パンセクシャル
全性愛(ぜんせいあい)、パンセクシュアリティ(pansexuality)とは、男性/女性の性の分類に適合しない人々も含め、あらゆる人々に恋をしたり、性的願望を抱いたりすること。全性愛の性質を持っている人を全性愛者ともいう。
・トランスジェンダー
生まれた時の性別と、自分自身が認識している性別が異なっている人。僕の場合はFTM(Female to Male 女→男)と表すことが多い。
・カミングアウト
広義では「自分が少数派の主義・立場であることを公表する」こと。LGBTQIA+についての話にどうしてカミングアウトという言葉が頻出するかと言えば、「自分がセクシュアルマイノリティであることを公表すること」という意味で「カミングアウト」は用いられることが多いからです。
・アウティング
ここで重要なのは、「自分が」公表することがカミングアウトであって、同意なしに他人のセクシュアリティを勝手に言いふらすようなことは、アウティングと呼ばれます。
・ジェンダー・アイデンティティ
人が自分自身のジェンダーをどう理解し、どう振る舞い、他者からどのように見られたいかと思うか伝えるために使うアイデンティティの名称。

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