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ともす横丁vol.27 幸せについて②
筋向いのお宅にご夫婦が住んでいた。庭には梅の木が植わっていて、ちょうど私の部屋から見える。如月を迎えれば梅が咲くのが待ち遠おしく、メジロが飛んでくるとうれしかった。
愛嬌のあるご主人は小柄な人で、よく玄関まわりの通りを掃き掃除していた。家にいないことの多い我が家の前も掃いてくれていたように思う。まるで妖精のようだった。奥さんは物静かで品がよく、顔を見ると挨拶してくれた。
数年前、ご主人の姿を
ともす横丁vol.26「幸せ」と「幸い」について
人は「幸せ」になりたいという。哲学者アリストテレスは、「幸福こそは究極的・自足的な或るものであり、われわれの行うところのあらゆることがらの目的であると見られる」(「ニコマコス倫理学」(第一巻/第七章))と述べている。人は約二千年も前から幸せを希求し、今や幸福学という学問として、科学的に捉えようとしている。分析する対象に立ち位置を変え、いかに幸福度を上げ得るか力を注いでいる。幸福学を履修し、日々意
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