ゆみゆみ

ともす~心にあかり灯し人 ~心にあかりを灯す、ともにする、ともに育む~ 国家資格キャリ…

ゆみゆみ

ともす~心にあかり灯し人 ~心にあかりを灯す、ともにする、ともに育む~ 国家資格キャリアコンサルタント×ともす農園園主×元一部上場企業/課長職

最近の記事

ともす横丁vol.27 幸せについて②

 筋向いのお宅にご夫婦が住んでいた。庭には梅の木が植わっていて、ちょうど私の部屋から見える。如月を迎えれば梅が咲くのが待ち遠おしく、メジロが飛んでくるとうれしかった。  愛嬌のあるご主人は小柄な人で、よく玄関まわりの通りを掃き掃除していた。家にいないことの多い我が家の前も掃いてくれていたように思う。まるで妖精のようだった。奥さんは物静かで品がよく、顔を見ると挨拶してくれた。  数年前、ご主人の姿をみかけなくなり、奥さんは独りで暮らしていた。時折玄関先に出ていらしたときに顔を合

    • ともす横丁vol.26「幸せ」と「幸い」について

       人は「幸せ」になりたいという。哲学者アリストテレスは、「幸福こそは究極的・自足的な或るものであり、われわれの行うところのあらゆることがらの目的であると見られる」(「ニコマコス倫理学」(第一巻/第七章))と述べている。人は約二千年も前から幸せを希求し、今や幸福学という学問として、科学的に捉えようとしている。分析する対象に立ち位置を変え、いかに幸福度を上げ得るか力を注いでいる。幸福学を履修し、日々意識して実践すれば、幸せに到達できると言われているようだ。  目指す幸せは、人に

      • ともす横丁Vol.25 まなざしと態度

        多くの場合、感じるまなざしは他者か自分だ。他者は社会全般として捉えているものであったり、特定の個人であったりする。社会全般であると大抵は自分の能力の不足や適合できない自分のありようを思い知らせる方向に向く。何の実態もないのに関わらず、自分のまなざしとなって自らを苦しめる。他者と言いつつ、内なる自分が作った幻想だ。 一方、個人のまなざしは、自分を形作るうえで重要な立ち位置にいる存在が多い。両親だったり、コミュニティの上にいる人たち。自分を護るため、あるいは愛されたくて、欠かせ

        • ともす横丁 Vol.24 「母からの電話」

          母から着信があるとドキッとする。 大体の用件は急な対応が必要な困りごと、もしくは体調が優れないSOSだ。着信を確認すると呼吸を整え、何が起きてるんだろうとサーチライトを照らすように想像を巡らす。心がどこか早鐘を打つような感覚を覚え、もし息も絶え絶えだったらどうしようと妄想を膨らませて心の準備なのか覚悟を備えて電話に出るのだ。 先週、母は眠れなかったと気分が落ち込み気味で鬱々してた。ひとり暮らしで話し相手がいないと感情を持て余し、どこか放出する先がない。ひたすら自分の中を巡る

        ともす横丁vol.27 幸せについて②

          ともす横丁Vol.23 記憶の残渣

           昨年の暮れ、街が赤や緑で彩られていた頃のことです。 急に首や肩の凝りが激しく感じられ、この時期は寒いからねなんて思っていたら、そのうち全身のだるさに。これはなんか変…と感じつつ、最近あれこれ慌ただしかったから疲れが出たのね、寝てればよくなるはず、とふとんを被って寝込んだんです。  でも、眠れない。いや気づけば目が覚めているから寝てるんですけど、寝てる感じがしない。身体と頭が分離したように、コントロール不能になった飛行機みたいに頭の中がぐるぐると回旋しつづけてる感じです。あ

          ともす横丁Vol.23 記憶の残渣