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ともみの部屋 #2

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伊佐知美の、世界一周の旅とエッセイ。2016年10月〜
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2020年12月の記事一覧

「この土地、この季節から逃げない」という選択の自由さを

「この土地、この季節から逃げない」という選択の自由さを

カラン、と音を立てて、横開きの雨戸を開けて店の中に入る。海沿いの読谷村において、まるで森のなかにいるようなカフェ「Bloom Coffee Okinawa」。まだこの町(正確には村である)で暮らしていなかった時代に、それでもやっぱり惹かれて、時おりコーヒーを買いに来ていた場所である。

朝起きて、今日はアポイントが夜しかない、と改めて考える。こういう日は、意図的に予定を入れていない「原稿締切day

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2020年にやってきたこと、12月9日の夜に

2020年にやってきたこと、12月9日の夜に

日記のような、私との対話を書きたいと思った。12月9日(水)の夜22:52。

昨日、乗っていた車にエンジンをかけようと思ったら、エンジンがかからなかった。ガソリンがないのか、バッテリーが上がってしまったのか、はたまたとっても古い車だったので、突然動かなくなった、ということもあり得そうだな、と車にさして詳しくもない頭で思う。

冬に差し掛かった沖縄、雨がやまない、風も強い、そんな日の昼間に、誰も食

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「歩いていきたい日々」を、自覚することから全ては始まる #沖縄移住日記

「歩いていきたい日々」を、自覚することから全ては始まる #沖縄移住日記

目が覚めて、窓の外から射す光を確認する日々が、ずうっと続くと思っていたのに、どうやら南の島々にも冬のかけらというものは到達するようで、私はカーテンを開けて、今日も沖縄が厚い雲に覆われていることを知る。

けれど問題は、あなたがここに居ないことだった。ずうっと居ないなら、それでいいのに、たまに居るから、「居ない」が空白のように思える。

大丈夫、でも私は、「ひとり」が得意。「ひとり」がないと、「わた

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旅と日常が混在するこの島は、私が欲しい未来がぜんぶ詰まってる気がして

旅と日常が混在するこの島は、私が欲しい未来がぜんぶ詰まってる気がして

何もなかった真っ白な部屋。

日を追うごとに少しずつ、それこそ小さな鳥が、巣作りのための枝や藁みたいな何やかんやを、くちばしに咥えて運ぶごとく、私は自分で言うけどこの細腕で、両手いっぱい持てる限りの荷物を、毎度まいど、この部屋まで運んで暮らした。

朝陽が昇って、風が吹いて、海がきらめき、雲が流れ、波は揺れ、そしてそのうちに夕陽が暮れゆき、その隣で月が昇って、そして星が瞬くような、そんなリズム。

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