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伊佐 知美
2020年12月10日 21:54
カラン、と音を立てて、横開きの雨戸を開けて店の中に入る。海沿いの読谷村において、まるで森のなかにいるようなカフェ「Bloom Coffee Okinawa」。まだこの町(正確には村である)で暮らしていなかった時代に、それでもやっぱり惹かれて、時おりコーヒーを買いに来ていた場所である。朝起きて、今日はアポイントが夜しかない、と改めて考える。こういう日は、意図的に予定を入れていない「原稿締切day
2020年12月9日 23:40
日記のような、私との対話を書きたいと思った。12月9日(水)の夜22:52。昨日、乗っていた車にエンジンをかけようと思ったら、エンジンがかからなかった。ガソリンがないのか、バッテリーが上がってしまったのか、はたまたとっても古い車だったので、突然動かなくなった、ということもあり得そうだな、と車にさして詳しくもない頭で思う。冬に差し掛かった沖縄、雨がやまない、風も強い、そんな日の昼間に、誰も食
2020年12月8日 23:26
目が覚めて、窓の外から射す光を確認する日々が、ずうっと続くと思っていたのに、どうやら南の島々にも冬のかけらというものは到達するようで、私はカーテンを開けて、今日も沖縄が厚い雲に覆われていることを知る。けれど問題は、あなたがここに居ないことだった。ずうっと居ないなら、それでいいのに、たまに居るから、「居ない」が空白のように思える。大丈夫、でも私は、「ひとり」が得意。「ひとり」がないと、「わた
2020年12月7日 23:15
何もなかった真っ白な部屋。日を追うごとに少しずつ、それこそ小さな鳥が、巣作りのための枝や藁みたいな何やかんやを、くちばしに咥えて運ぶごとく、私は自分で言うけどこの細腕で、両手いっぱい持てる限りの荷物を、毎度まいど、この部屋まで運んで暮らした。朝陽が昇って、風が吹いて、海がきらめき、雲が流れ、波は揺れ、そしてそのうちに夕陽が暮れゆき、その隣で月が昇って、そして星が瞬くような、そんなリズム。