杉山 智春

小田原市出身。ビルバオ在住。大学後、監督修行のために海を渡る。現地では現場責任者である…

杉山 智春

小田原市出身。ビルバオ在住。大学後、監督修行のために海を渡る。現地では現場責任者である第一監督としてピッチに立ち、育成と勝利について考える日々を送る。日本帰国時にはクリニックや講習会、分析(チーム/パーソナル)、翻訳活動なども行う。スペインサッカー協会レベル2(UEFA-A)保持

マガジン

  • 分析事業

    トボラボ杉山が日々の現場での学びをみなさんと共有していきます。選手から指導者まで、そして幅広い年代の方々と時間を共有できることを楽しみにしております。

  • 2020-2021 ブログ

    2020-2021シーズンのブログです。現場からの学びを書き綴ります。

  • 練習メニュー公開日記

    現地街クラブU-16の選手を対象に行った練習メニューを紹介していきます。個人の開発に特化したものから、試合に向けてグループで行うものまで。これが僕の日常です。 週1回の更新を目標です。

  • プロフェッショナルから学ぶ

    スペインビルバオから発信する、サッカー指導者によるサッカー指導者のための情報です。更新は不定期です。

最近の記事

ダイアリー1 サッカー指導者

いつぶりに更新するのでしょうか。 今日で日本からスペインバスクに渡って丸7年が経過し、8年目に突入します。 来た当時はこんなに長くいることは全く想像していませんでした。 毎年この日を迎える時期というのはシーズンも終盤に差し掛かっている時期です。 自分は何をしたいのか?来季のチームはどうなるのか?そもそもご飯を食べていけるのか? そんな不安が付き纏う時期です。 バスク人の友人は僕に言います。 「この時期の人々がいう言葉は半信半疑で聞いておけ」と。 一年間で最も人を信用できな

    • 20-21 ♯10 指導者学校で学ぶこと

      元々、僕がスペインバスクに来た当初の目的の一つにスペインでライセンスを取るということがあります。3つのレベルに分けられた各ライセンスを1年間をかけて取得していくというものです。ある意味、専門学校に行くことや大学院でより専門的な知識を学ぶことに似ているというような感覚でしょうか。 そんなスペインのサッカー指導者ライセンスを取得できる機関は大きく分けて2つです。 ① スペインサッカー協会が発行し、UEFAライセンスと互換性がある私立の機関 ② 国や州の政府機関が発行し、体育の

      • 【No.2】 連続的に行う2対1

        プレーシーズン時やトレーニングのW-upなどで行っている2対1のミクロトレーニングです。攻撃者の関係性は2人、守備者は1人でプレーするため、個人に必要な技術に対してフォーカスをしていく練習メニューです。 実際に試合の中で起こる具体的な背景を持つ練習メニューではなく、ピッチ上のどこの場所でもどの局面でも起こりうる普遍的な個人に必要な技術を獲得を目的に行うものです。 どの年代にも求めれる戦術(個人戦術)の意図を持ち、年齢やカテゴリーを問わず行うことができる練習メニューです。この

        • 【No.1】 状況を想定した1対1

          ピッチ角から始まる1対1の練習メニューです。 練習メニューを作成する際に、個人に目を向けたトレーニングでも実際に試合の中で起こる状況から切り取ったものにすることが大事になります。 今回紹介するメニューは相手コートのコーナー付近での1対1です。自チームのサイドハーフまたはウインガー、トップの選手が相手サイドバックと対峙するような状況です。相手を背負った状態でボールを受け、相手ゴールへ向けてターンを試みるようなシーンです。 ディフェンダーの選手は相手アタッカーをターンさせない

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          20-21 ♯9 壁に話しかける

          先日の続きを書いていこうと思います。 前回の記事ではウォーミングアップとフィードバックについて書いていきました。 前回の記事はこちらから↓  今回はその後のトレーニング1について振り返っていきたいと思います。 ウォーミングアップが終わり、身体の準備とメンタルの準備ができた状態でその日のトレーニングを通じて獲得したいことに着手していきます。ここからは僕が中心で構成するパートです。  次のメニューで行ったのは、5対4+3ゴールというものです。(写真参照) 常に黄色チームから

          20-21 ♯9 壁に話しかける

          20-21 ♯8 指導者が成長する上で欠かせないプロセス

          みなさんは自分自身の成長や学びを獲得することとどのように向き合っていますか? 最も自分自身が成長していると感じる瞬間はどんな時ですか? 最近、自チームに起こった出来事がそんな疑問を与えてくれました。 今回はそんな現場でのリアルな話を書いていこうと思います。 まずはじめに、僕が住むスペインバスク地方ビスカヤ県では、アスレチック・ビルバオが主体となって街全体で選手・指導者の育成をしています。具体的にはアスレチック・ビルバオの約20名のスカウトが県内各地域に振り分けられ、街ク

          20-21 ♯8 指導者が成長する上で欠かせないプロセス

          オリジナルにカスタムする

           昨シーズンスペインリーガ2部ラージョ・バジェカーノの監督を務めたパコ・ハメス氏(Paco Jémez) の動画です。彼のフットボールはポゼッションサッカーを信奉としています。これまでも限られた戦力と資金でも、リスクを厭わない攻撃的なサッカーを展開し街の人々に熱狂を与えてきました。  サッカーの知識や情報というものは、少しアンテナを張るだけでいくらでも仕入れることが可能であり、それらを取捨選択することが必要な時代に突入しています。決して、海外のサッカーシーンで名前が頻繁に出

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          熱狂的な”街”を率いる指揮官

           アルゼンチンサッカーで高い人気を誇るリーベル•プレートは、2011年クラブ史上初の2部降格を味わい、翌年1部へ復帰後はリーグ優勝やコパリベルタドーレス杯制覇など、熾烈な戦いが行われるリーグで輝かしい結果を残しています。  そんなクラブを2014年から指揮を執るマルセロ•ガジャルド氏。熱狂的サポーターがいることで知られるアルゼンチンサッカー界において、名門クラブで長期政権を築いているのは、彼の人間性やフットボールが街の人々やクラブに認められている証拠といえます。そんな国の名

          熱狂的な”街”を率いる指揮官

          【対談】コルドバCF 後藤三知選手

           現在スペイン女子2部リーグに所属する後藤三知選手との対談の様子です。  女子高校サッカー界を牽引する常盤木学園、なでしこ1部リーグに所属する浦和レッズ、女子日本代表、スペイン1部リーグのレアル・ソシエダ、スペイン2部リーグのエイバル(現在1部)、そして、現在はスペイン2部に所属するコルドバCFでプレー。さらに、浦和レッズ所属時にはキャプテンとしてリーグ優勝も経験するなど、これまで女子プロサッカー選手として輝かしいキャリアと経験を積んできた同選手。   日本とスペインの両国を

          【対談】コルドバCF 後藤三知選手

          20-21 ♯7 理屈じゃないんだ

          2020年が終わりを迎えました。 1年間ありがとうございました! そして、 明けましておめでとうございます! 2021年もどうぞよろしくお願い致します! 去年の今頃、誰が今の状況を予想したでしょうか? 多くの人々にとって、大変な1年だったのでしょう。 僕はスペインバスクに渡って、まもなく丸5年が経過します。 つまり、6年目に突入するということです。 これは毎年感じることなのですが、 1年を重ねるたびに見える世界、そして物の見え方が変わってきてます。 5年前、右も左

          20-21 ♯7 理屈じゃないんだ

          20-21 ♯6 内側からくるものは?

          みなさん、いかがお過ごしでしょうか? 日本もコロナ感染者が増えてきましたね。手洗いうがいとマスクをしっかりとして、予防してくださいね! こちらスペインバスクは、相変わらずスペイン5部以下のすべてのカテゴリーの活動は止まったままです。終わりの見えない長いトンネルを歩いてる、そんな感覚です。 生活の中で、現場に立つ時間がないということがどれだけストレスのかかるものなのか。1日の90分という短い時間がどれほど尊いものなのか、ここまで感じることはなかったです。 次に選手と顔をあ

          20-21 ♯6 内側からくるものは?

          20-21 ♯5 思っているよりもずっと重い

          先週からコロナウイルス感染拡大によって、活動が完全に中断しました。現在、活動されているのは、男子サッカー界は大人4部リーグ(JFL相当)以上のみです。 今年3月、得体も知れないウイルスが世の中で流行し、多く人々の命を奪いました。そして、今もなお、奪い続けています。 感染者数が落ち着き、日常にサッカーが戻ろうとしていた矢先に、再びサッカーがない日常になりました。 別物 今は一言で言うと、狐につままれたような感覚です。急に再びサッカーが日常から消えるのです。 昨シーズン

          20-21 ♯5 思っているよりもずっと重い

          La volpe(ラ・ボルペ) - 3バックをこよなく愛する男-

          今日のフットボール界において目にする、2センターバックがサイドに開き、アンカーが最終ラインに入ることによって、サイドバックが中盤の高さを取るビルドアップ。 これをはじめに発明し、戦術として取り入れたのは、リカルド・ラ・ボルペ(Ricardo La Volpe)と言われています。 アルゼンチン出身の彼は、メキシコ代表を始め、様々なクラブの指揮を執ってきました。そんなアルゼンチン人監督はビルドアップ時には1-3-5-2や1-5-3-2のシステムを用いて、先に述べた”LaVol

          La volpe(ラ・ボルペ) - 3バックをこよなく愛する男-

          20-21 ♯4 今シーズンの行方

          再びヨーロッパはコロナ感染拡大によって、制限された生活がスタートしています。僕が住むスペインバスクも例外ではありません。前回同様に、隔離生活を余儀されるのか、はたまた、リーグ再開に向けて動き始めるのか。そんな毎日情勢が変わる緊迫した日常を過ごしています。  僕がスペインに戻ってきてからを今日までを簡単にまとめた内容です。  今季も率いるU-16のチームは、9月中旬にプレシーズンがスタートしました。例年に比べると2-3週間遅れてのスタートです。プレーシーズン開始時には、リー

          20-21 ♯4 今シーズンの行方

          本物のプロフェッショナリズム

          「(人々は)フットボールで起こることは、お金とタイトルのみが価値のあるものだと考えています。しかし、3番目に計り知れない価値を持つものがあります。それは…」 マルセロ・ビエルサが指揮を執るチームに共通していることは、その街や国に熱狂的なサッカー文化が存在するということです。 アスレチック・ビルバオも、アルゼンチン代表も、そして現在のリーズユナイテッドも、人々がそれを誇りにしているところにやってきます。 強いパーソナリティと哲学から反感を買うことも多々あります。ただ、それ

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          20-21 ♯3 チームを率いるということ

          写真はサッカー現場でよく目にする光景です。 船はチームです。同じ船に乗る選手たちですが、一部から水が入り込んでいます。数名の選手は必死に水を抜いていますが、数名の選手は水のない反対側で休んでいます。 後者の選手は、「ラッキーだ。穴が空いてるのは反対側だったぜ」、と。 しかし、同じ船に乗っているので、沈没する時は全員です。 きっと、冷静に考えれば誰もが理解できる状況と言えるでしょう。でも、サッカー現場でよく目の当たりにするのも事実です。 昨シーズン僕が率いていたグループ

          20-21 ♯3 チームを率いるということ