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20-21 ♯5 思っているよりもずっと重い

先週からコロナウイルス感染拡大によって、活動が完全に中断しました。現在、活動されているのは、男子サッカー界は大人4部リーグ(JFL相当)以上のみです。

今年3月、得体も知れないウイルスが世の中で流行し、多く人々の命を奪いました。そして、今もなお、奪い続けています。

感染者数が落ち着き、日常にサッカーが戻ろうとしていた矢先に、再びサッカーがない日常になりました。

別物

今は一言で言うと、狐につままれたような感覚です。急に再びサッカーが日常から消えるのです。

昨シーズンとは、全く違うものです。シーズンの半分を終えて、ラストスパートに入ろうとしていた昨シーズン。リーグが再開できないという心の準備は、整っていた状態でした。
でも、今回の中断は、プレシーズンを終えてこれからという時です。

例えるならば、スタートラインに立って、

「位置に着いて、よーい、ストッッップ!!!

っていう感覚です(笑)

みんなスタートダッシュを切るために、身体半分くらいを前に出している状態でした(笑)

7ヶ月サッカーから離れ、ようやく待ちに待ったサッカーの活動が再開され、プレシーズンと呼ばれる準備期間が終わり、これから再開っていう時です。

皆さんも想像してみてください。

選手を少しずつ知り、トレーニングを重ねて、7ヶ月振りのリーグ戦を心待ちにしていたのです。
リーグの終了に向けて、走っているのとは訳が違います。

ただそれは、指導者だけではなく、選手も全く同様です。


本当の意味で文化の違いを感じるとき

よく文化の違いということを耳にします。それは、目に見えることから、見えないこと、肌感覚でなければ感じれないことなど、様々なものです。

さらにチームを率いるからこそ、見えてくるものもたくさんあります。

そこに、「普通は・・・」という言葉は存在しません。

というのは、このコロナだからこそ、顕著に現れているスペイン人との文化の差を感じます。それは、サッカーというものの存在意義です。

活動が完全に中断する前、2週間の間、6人という制限の中でトレーニングをできていました。

ただ、初日、選手は僕に向かって言うのです。

「何の為に練習するの?」

ある程度、予想はしてましたがその通りです。彼の言う通りなのです。
なぜなら、彼らはリーグを戦う為に、トレーニングをするからです。リーグが中断されている段階で、彼らにとって、練習というものは意味を成さないものなのです。

じゃあ、そこで「上手くなる為に練習しよう」と言うと、

「リーグ戦がないから上手くなる必要がない」となるでしょう。

また、彼らは将来プロになるためにプレーをするわけでもありません。

もし、彼らがプロを目指すレベルにいる選手であれば、そこには練習する理由が存在します。
もし、彼らが給与を貰ってプレーをしているのであれば、そこには練習への強制力があります。

じゃあ、

彼らは何の為にトレーニングをするのですか?

間違いなく週末の試合を戦う為にトレーニングをするのです。

勝利を掴む為にトレーニングするのです。

試合に出場する為にトレーニングするのです。

じゃあ、その週末の試合がなければ、どうなりますか?

きっと、そのトレーニングに価値はなくなるのです。

これが彼らの文化です。

文化が生み出している思考です。

日本人の僕からしても、決して考え方は美的ではありませんし、将来を見据えた建設的なものではありません。

でも、現実的であり、正論であることも事実だと思います。

チームの責任者は僕です。決断やルールを課すのも僕です。

でも、僕は外国人です。

その考え方を尊重することも、一つの文化に馴染むことです。
もちろん、何かを強制して、罰を与えて、無理矢理なこともできます。時には、何かを強制しなければいけない瞬間もあるでしょう。

しかし、あくまでも僕は他国から来た外国人です。

選手を知るということは、彼らから文化を学んでいるということでもあるのでしょう。

彼らの文化を本当の意味で学ぶことや理解することは、思っているほど軽いものではない。

いかに、自分が無意識的に日本人であるのかを痛感する瞬間です。

そして、彼らの文化の重さはとんでもなく重く、尊いと心から感じます。

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