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プロフェッショナルから学ぶ

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スペインビルバオから発信する、サッカー指導者によるサッカー指導者のための情報です。更新は不定期です。
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 昨シーズンスペインリーガ2部ラージョ・バジェカーノの監督を務めたパコ・ハメス氏(Paco Jémez) の動画です。彼のフットボールはポゼッションサッカーを信奉としています。これまでも限られた戦力と資金でも、リスクを厭わない攻撃的なサッカーを展開し街の人々に熱狂を与えてきました。  サッカーの知識や情報というものは、少しアンテナを張るだけでいくらでも仕入れることが可能であり、それらを取捨選択することが必要な時代に突入しています。決して、海外のサッカーシーンで名前が頻繁に出

熱狂的な”街”を率いる指揮官

 アルゼンチンサッカーで高い人気を誇るリーベル•プレートは、2011年クラブ史上初の2部降格を味わい、翌年1部へ復帰後はリーグ優勝やコパリベルタドーレス杯制覇など、熾烈な戦いが行われるリーグで輝かしい結果を残しています。  そんなクラブを2014年から指揮を執るマルセロ•ガジャルド氏。熱狂的サポーターがいることで知られるアルゼンチンサッカー界において、名門クラブで長期政権を築いているのは、彼の人間性やフットボールが街の人々やクラブに認められている証拠といえます。そんな国の名

【対談】コルドバCF 後藤三知選手

 現在スペイン女子2部リーグに所属する後藤三知選手との対談の様子です。  女子高校サッカー界を牽引する常盤木学園、なでしこ1部リーグに所属する浦和レッズ、女子日本代表、スペイン1部リーグのレアル・ソシエダ、スペイン2部リーグのエイバル(現在1部)、そして、現在はスペイン2部に所属するコルドバCFでプレー。さらに、浦和レッズ所属時にはキャプテンとしてリーグ優勝も経験するなど、これまで女子プロサッカー選手として輝かしいキャリアと経験を積んできた同選手。   日本とスペインの両国を

La volpe(ラ・ボルペ) - 3バックをこよなく愛する男-

今日のフットボール界において目にする、2センターバックがサイドに開き、アンカーが最終ラインに入ることによって、サイドバックが中盤の高さを取るビルドアップ。 これをはじめに発明し、戦術として取り入れたのは、リカルド・ラ・ボルペ(Ricardo La Volpe)と言われています。 アルゼンチン出身の彼は、メキシコ代表を始め、様々なクラブの指揮を執ってきました。そんなアルゼンチン人監督はビルドアップ時には1-3-5-2や1-5-3-2のシステムを用いて、先に述べた”LaVol

本物のプロフェッショナリズム

「(人々は)フットボールで起こることは、お金とタイトルのみが価値のあるものだと考えています。しかし、3番目に計り知れない価値を持つものがあります。それは…」 マルセロ・ビエルサが指揮を執るチームに共通していることは、その街や国に熱狂的なサッカー文化が存在するということです。 アスレチック・ビルバオも、アルゼンチン代表も、そして現在のリーズユナイテッドも、人々がそれを誇りにしているところにやってきます。 強いパーソナリティと哲学から反感を買うことも多々あります。ただ、それ

トレーニングをデザインする

グラナダを率いるディエゴ・マルティネス監督(Diego Martinez)は39歳という年齢でリーガ1部クラブの指揮を振るっています。この年齢がどう感じるかは人によって異なるでしょう。 ドイツのRBライプツィヒを率いるナーゲルスマンは29歳で1部の世界に飛び込みました。元神戸監督フアン・マヌエル・リージョも1部デビューは同年齢です。  ただ、彼が突出しているのは、戦術的に優れたチームを構築しながら、率いるチームで結果を出し続けています。過去にセビージャ・アトレティコ(セビ

”近代的指導者”ガブリエル・エインセ

 ドイツ人の父とイタリア人の母の間に生まれたアルゼンチン人ガブリエル・エインセ(Gabriel Heinze)という名前を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。 現役時代はRマドリー、PSG、マンチェスターU、ASローマとヨーロッパ主要クラブでプレーした実績を持ち、多くのタイトルも経験している選手です。また同時にアレックス・ファーガソンを始め、マルセロ・ビエルサ、ジェラルド・マルティーノなど名将と呼ばれる指導者に出会い、これまでのキャリアを過ごしてきました。  そ

センターバックに必要とされるもの

「スピードのあるセンターバックがいないのに、なぜ高い位置からプレッシャーをかけれるのですか?」 スペイン1部リーグに所属するSDエイバル。バスク地方ビルバオから東に約50キロ行ったところに位置する2万7000人の小さな町のクラブです。同クラブはリーガエスパニョーラ1部(以下「リーガ」と称する)で5シーズン目を迎えています。  そんなクラブは多くの側面から制限されています。というのは、育成では町自体人口が少ない上、アスレチック・ビルバオやレアル・ソシエダというビッグクラブに

《後編》A・ビルバオ 地域育成プロジェクトコーチ

スペインリーガエスパニョーラ1部アスレチック・ビルバオの地域育成プロジェクトコーチのウナイ・ロドリゲス氏へのインタビュー《後編》です。  アスレチック・ビルバオ(以下Aビルバオと省略)は1898年創設のサッカークラブで、1928年のスペインリーガエスパニョーラ創設時の10チームの中の1つである。レアル・マドリード、FCバルセロナとともに1部リーグから1度も降格をしたことがなく、なおかつ同クラブはバスク人(約350万人)と呼ばれる、スペインバスク州に起源のある選手のみで構成

《前編》A・ビルバオ 地域育成プロジェクトコーチ

  スペインリーガエスパニョーラ1部アスレチック・ビルバオの地域育成プロジェクトコーチのウナイ・ロドリゲス氏へのインタビュー《前編》です。  アスレチック・ビルバオ(以下Aビルバオと省略)は1898年創設のサッカークラブで、1928年のスペインリーガエスパニョーラ創設時の10チームの中の1つである。レアル・マドリード、FCバルセロナとともに1部リーグから1度も降格をしたことがなく、なおかつ同クラブはバスク人(約350万人)と呼ばれる、スペインバスク州に起源のある選手のみで構