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料理探究家トミー。壱岐島のくらしと、旅と、ひとと、おいしいものをつくることのなかにある…

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料理探究家トミー。壱岐島のくらしと、旅と、ひとと、おいしいものをつくることのなかにある、ものがたりをささやかに編んで言葉にしています。

最近の記事

2023.3/25

-繰り返すことをためらわず 背伸びをしないで見上げてる いつも全てここにあるんだからと 笑うあなた、風、吹いても- チリトリの小上がりで青谷さんが歌い出す。 その曲は、『甘噛みサルーキ」 厨房の境にかかった大漁の手拭い越しに、ただLiveを見つめていた。 青谷さんが歌い出した瞬間にわたしは、ないていた。 まったく泣くなんて思っていなかったけれど。 ワンフレーズで、しゃくりあげるほどに泣いたので、その場にいるみんな内心びっくりしたであろう。 青谷さんは歌い続けている。

    • こどもの島旅

      壱岐の島の大人たちでチームを組まれている、こどもの島旅プロジェクト。 食の部分でわたしも参加させていただいています。 一年以上前に、チームのみんなに向けて、言葉をまとめて読んでもらいました。 実現はしていませんが、改めて読んでみて、自分の想い、永いスパンでのビジョンがつまっているなぁ〜と、しみじみおもいかえしました。 ちょっとここへ、のこしておきます。 食育へのアプローチに関わらせてもらうことにあたって 島旅のプロジェクトに関わらせてもらうにあったって、今まで自分が考

      • まちのなかに短歌を。

        壱岐島の芦辺浦。大福丸書店さん。 大福丸書店さんは、3ヶ月間のACBlivingでのポップアップ営業で店主、森下さんのご縁から、石巻の口笛書店さんから歌人”近江舜”さんが来てくれた。 特別ワークショップ ”短歌を読んで本をつくろう”が企画され、嬉々として参加した。 少し前から、短歌、もしくは俳句を読む場所がコミュニティの中に、まちの中に、あったらいいなぁ。 と思っていた。 すこしの自己表現する場所や機会があることは、顔と顔を突き合わせて生きていく小さなコミュニティの中

        • あいだをみてみる。

          あたらしいものふるいもの。 その定義はあいまいでいつも、そのあいだの今をみんな生きている。 風土に根付く、伝統、歴史、食文化を掘り下げたいと思うようになったのは、それらが日本の、各地域の資源であり、人々の暮らしやその人自身の人生への愛着を、豊かさを、生むものであるのではないか?と感じていたからです。 人々がより移動し、交流する時代に伝統や歴史に執着することは時代に逆らっているような気もするけれど、それぞれの風土や食文化をすっっかり置き去りにしてしまえば、移動し、交流すること

        2023.3/25

          ひとやすみの為の島と、

          長崎の琴海から、長崎市内のひとやすみ書店さんへ。 そして向かったのは、八重山諸島、小浜島。 そして沖縄本島。 真夏の、壱岐島の繁忙期にいつも小浜島から三線を片手に、 チリトリ自由食堂を手伝いに来てくれている、キセルを訪ねるためだ。 毎年毎年、手伝いに来てくれているものの、自分はなかなか行くことができなかった。 沖縄には、鯨をみにいって以来だった。 東京で暮らしているときに、星野道夫さんが、今この瞬間にヒグマが生きている世界がある と思って、北海道に行ったように、今この

          ひとやすみの為の島と、

          che坂口先輩。

          チリトリ自由食堂を卒業して、ひとまずわたしは長崎に向かった。 長崎の琴海でレストランの'missi'をお手伝いするためだ。 シェフの坂口晃一氏は、オーナーの大川夫妻のお友達で、チリトリの夜の時間を利用して何度となく出張営業してくれた。 来島初日に、こうちゃんに鍵は渡してあるから、と、女将に告げられ、タイミング一足遅く食堂に向かった。 もうこうちゃんはチリトリに到着していて、自分で釣った5キロクラスのヒラスを勢いよく捌いていた。 その姿を見て、すごく仕事のできるただものじ

          che坂口先輩。

          おいしい会。

          チリトリのレジ前で、「あかりやの角谷くんと、壱岐の鰆を料理してみませんか?」 といわれたのを覚えている。 その時に、鰆は、料理の世界では、その繊細さで、どのようなアプローチをするかでまったく違うものになる。 時間、温度、表現のメモリがかなり細かい繊細な世界な気がする。 角谷くんならその細かいメモリをよく知っているんでしょうね~、、、 その会話の延長で、野菜の蕪もそんな繊細さがあるように思います。 みたいな話フワ~っっとした。 後日、鰆と野菜を持ち寄ってささやかな会を催す

          おいしい会。

          カントクがカントクするもの。

          チリトリ自由食堂でわたしと働いてくれたスタッフのカントクのことをすこし。 カントクです。と紹介された時、誰もがなんのカントク?と尋ねる。 だいたい彼女は、『駅伝の監督です』と答える。 壱岐島の新春マラソンで応援していた時にくるった応援方法をしていた応援テロリスト。 こんなに一生懸命人の応援するやつはいない、、、(ちょっと伝えられないのでどこかのマラソンイベントでくるった応援をしている人がいたら彼女です) 彼女はもとは精神科の作業療法士で、福祉の人である。。 一緒に働き

          カントクがカントクするもの。

          アジミールチキンカレーと、新しい水平線。

          わたしが勤めている、 チリトリ自由食堂という、スパイスカレー屋。 三月で卒業になる。 ちょっとしたエピソードをここにのこしておきたくて いま、明日が卒業の最終日という日にこれを書いている。 色々な体験や学びをいただき、本当に感謝している。 チリトリ自由食堂がオープンしてまもなく、古事記’coziki` という雑誌の企画で、カレー研究家(本人はそう名乗っているつもりがないらしいw) の水野仁輔氏がやってきた。 水野さんが来た時、わたしはスパイスカレーというジャンルの料理

          アジミールチキンカレーと、新しい水平線。

          お皿の中の自然。わたしたちのなかの自然。

          壱岐島のYOGAセラピストあゆみちゃんとのリトリート’島とつむぐリトリート’では、 料理しているけれど、わたし自身は何もしていない、そんな感覚があります。 壱岐島の素晴らしいめぐみをそのまま手渡す。 このアーユルヴェーダリトリートでは、壱岐島の自然やその時にある旬の食材を信頼し、 ただ手渡すということを意識しています。 ゲストさんには、まず最初に、すべて壱岐島の今ある食材でおつくりしたということと、 ひとつひとつ五感に耳を澄ませて食べてみてください。ということをお伝えし

          お皿の中の自然。わたしたちのなかの自然。

          祈りをむすぶひと

          リンリエさん。台湾にルーツを持つ彼女は、 Lakuda hotel bekkan の名前で、壱岐島で活動されている。 新月から満月へ。 満ちる月のパワーにのせてむすばれる、土鍋で丁寧に炊かれた、お米と塩だけの、おむすび。 ひとつひとつ丁寧に食べ手の目の届くところで、むすんでくれる。 リエさんのむすんだ、おむすび。 2年半前に食堂の小上がりでひとり、チリトリ自由食堂で、窓の外をボーっと眺めながら食べた。 初めて食べた時、しずかにしずかに、なみだが頬を伝ったのを今でも身体がよく

          祈りをむすぶひと

          未来派カゾク農園さん

          未来派カゾク農園さん 壱岐島でオーガニック農園に挑戦している、松本夫妻。 津ノ上山という、小さな山の裾野に農園と、フィールドがある。 壱岐島をオーガニックの島に。を掲げているおふたり。 壱岐島は、 ○耕作放棄地の多いこと(耕作放棄地は、一定期間手を入れられていないことによって、農薬や化学肥料が土壌から浄化されている) ○獣害がないこと。(食害される心配や、糞による土壌の性質の傾きが少ない) ○ミネラルを含んだ有機物が多く廃棄されていることなど。(廃棄物を有益なものとし

          未来派カゾク農園さん

          島とつむぐリトリートによせて

          ヨガセラピストのあゆみちゃんとチームを組んだ島とつむぐリトリート、あゆみちゃんのゲストさん向けに書いた文章。 -2021年の春- そのはじまりの文章をこちらにもシェアさせていただきました。 -島とつむぐアーユルヴェーダ食- 巡る季節の中の壱岐島の旬のいきいきとしたプラーナをいただく夕食 旬の食材にはいきいきとしたプラーナ、さまざまな豊かな味わいが在ります。 壱岐島、未来派カゾク農園さんの畑や津の神山の野草、 壱岐産の野菜、その時に旬を迎えている食材からインスピレーション

          島とつむぐリトリートによせて

          へいわをつくるひと。

          あらきあゆみさん。 アーユルヴェーダや陰陽五行のヨガのプロセスを大事にしてセラピストとして活動している彼女は、壱岐島で、”島とつむぐリトリート”を開催している。 リトリートのアーユルヴェーダ食をつくることで彼女とチームを組ませてもらっています。 そして、日々の暮らしの中で、調和のもとに生きるヒントを彼女からもらっています。 あゆみちゃんと、満月の夜に散歩し、小島湾で、雲でみえかくれする月をみながら瞑想をいっしょにさせてもらった。  そのときの言葉たち やさしく、自

          へいわをつくるひと。

          おいしい時間。

          たちまちメンバーである、平山さんファミリーが営む、ピッツェリアポットさん。 イタリアから取り寄せた窯に、薪をくべて、焼き上げる、本格的なピザ屋さん。 2022年8月8日すえひろがりのひ、で7周年をむかえた(おめでとうございます!) 今でこそ、全国的にピッツェリアがスタンダード、かつ流行っているけれど、 まだピッツァがそんなに知られていない時代に、このちいさな芦辺のまちで、周りのなんやかんやな意見を押し切り、スキンヘッドのコワモテ店主は離島の小さなまち店を開けた。 わ

          おいしい時間。

          ちいさなまちの灯台

          たちまちメンバーである、篠崎夫妻の営むライトハウス設計事務所。 チリトリ自由食堂をはじめ、芦辺浦の古民家改修や、壱岐島の新しい事業所などを設計している。 芦辺の港から、芦辺浦のまちにはいる最初のカーブに、ライトハウス設計事務所がある。 一言で言うと、グレーの四角い箱。そこにぽつりと灯台のサインがついている。 ものすごく目につくけれど、なんじゃーこりゃ。なんの建物か外からはさっぱりわからない。 (このぎゅっと近づかないとみれないサインが好きです) ある日、たちまちの作業の

          ちいさなまちの灯台