「悪党に粛清を」狼になった男を語る 10回目の映画

※前半ネタバレなし、後半ネタバレあり
※この記事の内容はあくまでも個人の解釈です
砂埃が舞うなか、緊張の糸が張り詰めた空気。
よくわからない干し草が転がってくる。
静かな駆け引きのなか双方、銃を抜き、パンッ。
西部のイメージと言えばこんな感じの奇成(キナリ)です。

とゆうことで今回は映画「悪党に粛清を」についてです。

0.作品紹介

原題「The SalvationR15/2014年/デンマーク・イギリス・南アフリカ共和国の
合作映画
ジャンル:アクション/ドラマ/西部劇  


あらすじ
1870年代、敗戦で荒れたデンマークからアメリカに移住した、元兵士のジョン(マッツ・ミケルセン)。
7年後、事業も安定したことで故郷に残した妻と息子を呼び寄せ、再会を喜ぶ。しかし、喜びもつかのま、駅馬車に乗り合わせた男達に妻と息子を殺されてしまう。
ジョンは怒りに駆られ、男達を殺してしまう。その内の一人が一帯を仕切る悪名高いデラルー大佐(ジェフリー・ディーン・モーガン)の弟だったことから、彼の怒りを買ったジョンは望まぬ戦いに巻き込まれていく.....。

その他キャスト

マデリン:エマ・グリーン
ピーター:ミカエル・パーシュブラント
ヴォイチェク : アレクサンダー・アーノルド
マリック:ダグラス・ヘンシュオール
キーン:ジョナサン・プライス

スタッフ
監督:クリスチャン・レブリング
製作:シセ・グラム・ヨルゲンセン
脚本:クリスチャン・レヴリング、アナス・トマス・イェンセン
撮影:イェンス・スクローザー
編集:ペニッル・ベック・クリステンセン
音楽:カスパー・ワインディング

1.異色の西部劇 ※ネタバレなし

なぜこれが異色かというと、今作の舞台はアメリカでありながら、南アフリカ・ロケ。そして、西部劇と言えばアメリカ・オリジナルの伝統的なジャンルながら、それを北欧発信でやってのけたウエスタン・ノワールだからです。
監督曰く、”アメリカの古典的な西部劇へのオマージュ”だそう。
シンプルながら味のあるセット、広大な荒地と美しい夜の描写。衣装デザインや小道具にもリスペクトを感じさせつつ、節々にオリジナルティが溢れています。
そしてなんと言っても、静かに魅せるマッツ・ミケルセンと美しいエマ・グリーンの存在感、徹底的なワルをこれまた魅力的に演じるジェフリー・ディーン・モーガンなど俳優陣も最高すぎました。



↓↓ここからネタバレあり↓↓




2.負け戦 ※ここからネタバレあり

雑貨屋の青年ヴォイチェクは祖母を理不尽に殺されデラルーへの復讐に燃えていましたが、デラルーへの反乱に関わろうとする人は葬儀屋しかり保安官さえも町には誰一人いませんでした。そして、ジョンと同じく射撃の名手であるポールに話をもちかけた際に彼に”負け戦には加わるな”と言われます。
ポールは囚われのジョンを助けるために単身、敵地に乗り込みます。
つまり、負け戦。ここでの目的は彼の救出ですが、争いになる可能性は高く怪我人を連れ二人で逃げきるのは難しいと戦場の経験があるポールにはわかっていたはずです。
それにも関わらず、自分の身を顧みず、ジョンを助けるために行動します。
ただ傍観しているだけの町の人間と彼の行動が対比されています。
引きずられる兄をみて、悲しむジョン、ここのマッツ・ミケルセンの
感情を押し殺す演技が雄弁すぎる。

3.救済者

原題「The Salvation」は救世主、救済、救済手段といった意味です。
物語を見る限り救済されたのは町の人々。
そして救世主は主人公である、ジョン。
救済手段は悪の排除。
結果的に救世主となったジョンの目的は兄のための復讐かそれとも悪行を見逃せない彼の良心か、あるいは両方なのか。
アクションが物足りないとの意見も見受けられましたが、射撃のうまさを強調しているだけあって、正確無比な彼の射撃で多勢に対抗する姿は見応えがあったと思います。控えめにいっても格好いい。
それまで使っていたライフルか何なのかそこら辺、詳しくないので間違っていたら申し分けないですが、デラルーを仕留める最後の一発がリボルバーだったのが、痺れました。
羊は誰か
神父兼保安官のマリックのセリフに”羊一匹の犠牲が群れを救う、私は羊飼いにすぎない”とあります。
犠牲を最小限に留めたいという気持ちはわかりますが、果たして彼は羊飼いだったのか?
否、彼も捕食者であるデラルーに怯える無抵抗な羊の一匹です。
そして、羊だといったジョンこそが狼となり、町を救いました。
しかもマリックは情けをかけるべきだとジョンに説いておきながら、女性であるマンデラを撃とうとします。要所で彼のクズっぷりがみえて好きか嫌いかと問われれば、まあ嫌いです。しかし、キャラとしてはすごく良いと思います。

4.おわりに

大して西部劇を観たことがないヤツが語らせて頂きました。

最後まで読んでいただき感謝感激雨あられ

ではまた!

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