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就職前に「幸せ」のヒントをもらえる小説【趣味で腹いっぱい】|私が大学生ならこれを読む Vol.1

みなさんは、人生や価値観が変わってしまうような本に出会ったことはありますか?

今回、編集部ではNEC社員に「学生さんにおすすめしたい本」を大募集!本が大好きな社員におすすめ本について語ってもらいました。

本日は新卒4年目の岸さんへ実施したインタビュー記事となります。就活前の学生さんは、ぜひ読んでみて下さい。

岸さん

キャリア
新卒4年目
お仕事
自治体住民情報システムの事業企画・クラウドサービス開発などを担当
好きな作家
小説:村上春樹、西加奈子|ビジネス書:山口周など

仕事第一な価値観の夫と、自由な家風で育った妻の物語

表紙

-岸さんのおすすめする本をおしえてください。
「趣味で腹いっぱい(山崎ナオコーラ著)」です。夫婦の話で、仕事第一な価値観で育ってきた夫と、自由な家風で大学院まで好きな文学を勉強してきた妻の物語です。結婚したあとに、妻が仕事を辞めて趣味に打ち込むようになります。夫も最初は怒っていましたが、妻の価値観に触れていく中で、だんだんと彼の奥底にあったやりたいことに気づき始めます。妻の影響で夫の固まった価値観が和らいでいくストーリーですね。

-大学生におすすめする理由はなんでしょうか?
就活の時に出会って価値観が変わった本だからです。なかなか内定が出なくて焦っている方、やりたいことが見つからなくて悩んでいる方におすすめしたいです。
就活当時、私は趣味や好きなことを仕事にするか悩んでいました。アパレルでバイトしていたこともあり、キラキラとした仕事に憧れていた部分もありました。今の時代、ネットで「趣味を仕事にする人」のキラキラストーリーはいくらでも見られる一方で「趣味は仕事にしない方がいい」という真逆の意見もありどの道を選択すべきか、彷徨ったことを覚えています。就活に勤しんでいると、自分の考えとインターネット上の模範解答が混ざってきて、自分の真の考えが分からなくなってました。
そんな折に「趣味で腹いっぱい」を読み、私の凝り固まった価値観が解かれました。自分にとっての「幸せ」とはなにか、これからの人生でどういう時間の使い方をしたいかを考えて、“自分自身”の幸せの定義に想いを寄せるきっかけになります。

―本との出会いをおしえてください。
祖母の影響で昔から本が好きでした。図書館や本屋にもよく行くのですが、就活で悩んでいた頃に「趣味」というキーワードで本を探していて、目に留まったのがこの本です。

―本の内容で1番響いた部分が知りたいです。
仕事人間の夫が変わっていく様子が、自分と重なったことです。初めの頃は「正社員になったほうが老後安泰だよ」と夫が妻に諭します。ただ、妻と関わっていく中で、「小説を書きたい」など、自分の内側にあった気持ちがどんどんと表に出てくるんです。
本著で妻の趣味に生きる突き抜けた考えに触れることで、自分にとって仕事がどんな位置づけにあってほしいか、どんな影響が与えられるか、どんな仕事なら幸せを感じられるか考えるきっかけになります。お金を稼ぐことだけが幸せではなく、最近は若い人でも、都会の仕事に疲れて田舎にU/Iターンしている人も増えています。人々の幸せの定義が時代とともに変わってきていると思いますね。

好きなことを仕事にするべきだと思いますか?
人によって違うので、自分で考えるしかないと思います。本著を読んで改めて仕事の定義を考えた際に、私にとって仕事の役目は「社会に影響を与える」ことにしたいと就活時に思い直し、趣味を仕事にする選択はしませんでした。幼い頃から母代わりに育ててくれた祖母や、地元でお世話になったおじいちゃん、おばあちゃんが過疎地域で暮らす大変さを知っていたので、ゼミで学んでいた科学技術を使って過疎地域を救う手段によって、一生をかけて恩を返したいと思いました。そのため、技術を持った大企業に入り、地方創生や自治体関係の街づくりなど社会の基盤づくりに繋がる仕事をしたかったんです。結果的に、NECの内定を頂き、有難いことに希望の部署に配属されました。

-この選書を通して大学生に受け取ってほしいメッセージをお願いします。
好きなことをやって生きるのがやっぱり一番の幸せです。自分にとって何が「幸せ」や「好きなこと」に値するか、時間がある学生時代に是非考えてほしいです。自己理解が一番の幸せへの近道だと思います。
私自身、本著を読んで、小学校の頃、何も常識にとらわれず過ごしていた時の気持ちを再認識できました。「趣味で腹いっぱい」の夫のように仕事第一な人はたくさんいると思います。でも、自分のやりたいことに没頭したいと奥底で思っている人は結構多いんじゃないでしょうか。実は、妻の趣味はクオリティーが低くて仕事になるような趣味ではないんですよ。それでも幸せを感じて生きている姿と、私の人生を照らし合わせてみることで、自分の中で一般常識に縛られて出来上がった先入観を客観視できました。フラットな感性で社会人としての理想の姿を考え直せたので、学生の方々にはぜひ読んでほしいです。この先の自分の人生の時間を使い方について、改めて自身に問いかける良いきっかけになるかもしれません。


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