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ガブリエル・夏

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15歳娘の同級生と45歳主婦の夏休みの思い出の話。
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2021年8月の記事一覧

ガブリエル・夏 13 「石器時代」

道の角度が変わって、下の方に町が見えてきた。この町の建物は、歩きながら近くで見ると、2階…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 12 「ツノダ・スー」

 まみもは、くすぐったい。  まだ、あと何回か聞きたいので、すぐには答えないでおく。それ…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 11 「神さまより」

「終わった?」 「はい!出し切りました。何点?」 今、レイの顔は、まみもから見えるところ…

TomAmFr
2年前
9

ガブリエル・夏 10 「のど自慢」

「また歌ってもいい?」 「……クッキー?」 「ううん、ブルーハーツ。」 「いいよ。歌って。…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 9 「おこりまんじゅう」

「ゥオイラにもクッキーを、ぃ焼いてくれぇ。 レイは尾崎豊を知らないが、尾崎の真似をするま…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 8 「ケースくんの髪型」

「2人だけと、カタツムリ1匹ね。あっっ!!」  レイは、短パンのポケットに手をやった。黄色…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 7 「ぺってん」

「あっちじゃないかな。」 レイは、頭の上にあげた右手で左の方を指差して、まみもには全然聞こえそうにない小さな声でつぶやいた。まみもは、まだ熱と汗を吹き出して、ズーヒーいっている。うなずいて、レイの右手の指している方向へ向いてから動くのをやめた。  レイは、特に日本から来たばかりの駐在員の子供などから、変わってるとか、常識がないとか言われる。言われないにしても、そういう顔で見られる。そこに込められる親しみと蔑みの割合は、その子供と、大抵はその子供の親が何を見て生きているかに

ガブリエル・夏 6 「クルクルヘアの下」

「まみもちゃんは僕のことが好きなんだね!」 興奮気味か、レイの声は大きくなっている。少し…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 5 「みんなと違う」

まみもはすぐには答えられない。 なんと答えればいいかは決まってる。嘘は言えない。カッコつ…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 4 「カタツムリ」

「え? レイくん? あぁそう? いや〜、ああ、こんにちは。んん? レイくん1人だけ? だ…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 3 「ごはん、何?」

 まみもは、レイの横になっているソファの側に座って、頭の角度をレイと同じ向きにした。首の…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 2 「訪問者」

 誰かが玄関へ応対に向かう気配はない。来客に、まだほとんど聞き取れないドイツ語で話しかけ…

TomAmFr
2年前
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ガブリエル・夏 1 「地下」

 森本まみもの家族がこの家に越してきたのは、1週間程前のことだ。Covid-19の影響で国を超え…

TomAmFr
2年前
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