見出し画像

ガブリエル・夏 10 「のど自慢」

「また歌ってもいい?」
「……クッキー?」
「ううん、ブルーハーツ。」
「いいよ。歌って。」

まみもは、レイのモジャモジャになってる髪を、規則正しいスパイラルの方向になるように直した。たくさんあるので、少しだけ。のど自慢コンテストの司会者のように声を張って言った。

「それでは、お聞きください。ブルーハーツ、『君のため』。歌詞は前後に入れ替えありの、歌いたいところからうたうでお届けします。どうぞー。」

ドゥンドゥンドゥン 
シャーン ミファソ シャーン ラソファ
シャーン ミファソ シャーン ラソファ

もう 泣かないで 月がとてもきれい
こんな素敵な夜なのに
涙なんていらない

もう 抱きしめて
二度と離しはしない
たとえ地球が砕けても 金がなくても

頬うずめる 肩が欲しいなら
僕のこの肩で
そうして欲しい ずっと ベイビー ベイビー

ああ 君のため
僕がしてあげられることは
それぐらいしか 今は 
できないけれど

“好きです 誰よりも 何よりも
 大好きです 
 ごめんなさい 神様よりも”

すがりつく 腕が欲しいなら
僕のこの腕で
そうして欲しい ずっと ベイビー ベイビー

ああ 君のため
僕がしてあげられることは
それぐらいしか 今は 
できないけれど
できないけれど



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?