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鍼灸こばなし

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一般的には知られていない日本鍼灸界の実情や、誰も教えてくれないであろうお役立ち鍼灸ネタを随時UPしています。
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#エッセイ

「得気(とっき)」の重要性

「得気(とっき)」の重要性

得气(deqi、得気)という言葉は中医の世界では常識だけれども、日本では未だにほとんど知られていないらしい。私が学生だった当時、鍼灸学校で扱っていた教科書には得气について詳しく記されておらず、教員も知らず、同級生も知らず、図書館に置いてある自称日本鍼灸界の重鎮だとかいう鍼灸師が記した著名な本にも記されていなかったため、恥ずかしながら私も得气についてほとんど知らなかった。残念ながら日本鍼灸のレベルは

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真っ当な鍼灸師になるための心構え

真っ当な鍼灸師になるための心構え

以前、「鍼で気胸を起こすアホがいるが、ワシは鍼で気胸を治すんじゃ!ゴッドハンドじゃ!」とか、「神の手をもっている!」とか、中国語を解せぬのに「新中国の中医学に基づいた最高の鍼灸治療が受けられるのはウチだけじゃ!他はアホじゃ!」などと嘯(うそぶ)く鍼灸師がいた。

そもそも気胸は軽症なら安静にしていれば自然治癒するはずであるし、重症なら医師の元で適切な処置を施さなければ、死に至る可能性がある。まず気

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中国針灸がユネスコ入りした話

中国針灸がユネスコ入りした話

2010年、針灸は無形文化遺産として、ユネスコにリスト入りした。と言っても、保護対象になったのは中国針灸だけの話であって、日本鍼灸はほぼ無関係だ。これに対し韓国は猛反発しているそうだが、日本ではこの話題自体に触れる鍼灸師が皆無に等しい。

そんな状況を鑑みると、中国針灸に対する情報収集能力に関しては、日本よりも韓国の方が優れていると言えるかもしれない。さすがは年間50億本と言われる針の世界製造市

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