それでは今日も坪内逍遥の『梓神子』を読んでいきたいと思います。
第一回は、恐ろしい夢にうなされている「おのれ」が、怨霊の口寄せをしてもらうため神子の家を訪れるところから始まります。六十あまりの翁に案内されて家の中に入ると、六畳の部屋の南には小庭、右には居間、左には奥座敷があります。しばらくすると、丸髷を小さく結った五十あまりの老女がやってきます。眼差しも話し方も物静かでゆるやかです。老女は、死者・生者の招魂は神のしわざで自分の通力ではない。何を口走っても自分は覚えていないと言います。
「三宝」とは、供え物を載せるお盆がついた台のことです。台の側面三方向に穴があいていることから、「三方[サンボウ]・三宝」と呼ばれています。
ということで、この続きは…
また明日、近代でお会いしましょう!