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古本屋を営んでいます。本を読むのが好きです。

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マガジン

  • ちょっとだけ明治はじまり雑学集

    いま身の回りにある、あんな物もこんな言葉も、すべては明治時代に原点がありました!当ブログ連載中にちょっとだけ紹介した雑学を一挙に集めてみました!

  • 坪内逍遥の『小説神髄』に挑戦だ!

    この国に「小説」を根付かせる!では一体「小説」とは何なのか!「小説」の性質と意義を理論的に紹介したのが坪内逍遥の『小説神髄』です!近代文学を読む上で避けては通れない理論書をはたして読破できるのか、挑戦しました!

  • 『中国小説史略』読書奮闘記

    「小説」という語源の『荘子』から20世紀に至るまで、中国小説の歴史を初めて学問的にまとめたのは小説家の魯迅でした!「小説って、なんで小説なんだ?」という疑問から始まった魯迅の『中国小説史略』の読書日記です!

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こんな始まりかたでもいいんじゃないかな

気がつけば… ぼくは立派なおやじになり、 気がつけば… ぼくは古本屋の店主になっていました。 歳というものは、生きていれば勝手に取るものですから、致し方ありません。しかし、よりにもよって、21世紀というデジタルまっ盛りの時代に、どうしてぼくは古本屋の店主になったのでしょうか。 古本屋の店主になるくらいですから、当然、本が好きなわけですが、それなら新刊書店の店員でも図書館の職員でもよかったわけですが、なぜか古本屋の店主になってしまいました。 思い返してみると、ぼ

    • #1350 人欲は限りのない馬鹿者ですから……

      それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 第十回は、亢龍と唐狛が話しているところから始まります。唐「旦那さまは何を考えていらっしゃいます」。亢「貴様のような奴にも俺は俗物と違ってみえるか」。唐「ある老人が恬淡無欲の當世の太上老君、大聖人、大神仙だと評を致しました」。亢「してみれば天下皆めくらでもないが、それにしてもあの卜翁の言い草」。唐「無名翁が何か申しましたか」。亢「米国第一の美人に家事をやらせ、二億の財産を得て、天下の俗物にその

      • #1349 君にひとつ頼みたいことがある……

        それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 第十回は、亢龍と唐狛が話しているところから始まります。唐「旦那さまは何を考えていらっしゃいます」。亢「貴様のような奴にも俺は俗物と違ってみえるか」。唐「ある老人が恬淡無欲の當世の太上老君、大聖人、大神仙だと評を致しました」。亢「してみれば天下皆めくらでもないが、それにしてもあの卜翁の言い草」。唐「無名翁が何か申しましたか」。亢「米国第一の美人に家事をやらせ、二億の財産を得て、天下の俗物にその

        • #1348 亢龍の食客、吟蜩子という日本人

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 第十回は、亢龍と唐狛が話しているところから始まります。唐「旦那さまは何を考えていらっしゃいます」。亢「貴様のような奴にも俺は俗物と違ってみえるか」。唐「ある老人が恬淡無欲の當世の太上老君、大聖人、大神仙だと評を致しました」。亢「してみれば天下皆めくらでもないが、それにしてもあの卜翁の言い草」。唐「無名翁が何か申しましたか」。亢「米国第一の美人に家事をやらせ、二億の財産を得て、天下の俗物にその

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          #1347 亢龍の七つの不利

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 第十回は、亢龍と唐狛が話しているところから始まります。唐「旦那さまは何を考えていらっしゃいます」。亢「貴様のような奴にも俺は俗物と違ってみえるか」。唐「ある老人が恬淡無欲の當世の太上老君、大聖人、大神仙だと評を致しました」。亢「してみれば天下皆めくらでもないが、それにしてもあの卜翁の言い草」。唐「無名翁が何か申しましたか」。亢「米国第一の美人に家事をやらせ、二億の財産を得て、天下の俗物にその

          #1347 亢龍の七つの不利

          #1346 第十回は、亢龍が先日の卜翁との出来事を語るところから……

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 今日から「第十回」に入りますよ!それでは早速読んでいきましょう! 斥鷃と大鵬は、小鳥と大鳥、小人物と大人物の対比という意味で使われます。お前のような小物に、おれのような大人物の志がわかるか、っていう感じですね。 なんだか、シェークスピアの作品に登場する道化みたいな人が出てきましたね。 ということで、この続きは…… また明日、近代でお会いしましょう!

          #1346 第十回は、亢龍が先日の卜翁との出来事を語るところから……

          #1345 あぁ……先生は天授なり!

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 中国の大都・南京に田亢龍[デンコウリョウ]という男がいます。眉があがり、鼻がたかく、唇の両端ははねあがり、観相見の実例に引き出されそうな顔立ち。独身者で、甕を叩きながら楚辞を呻り、香港から100ドルで買い寄せた弦が調整されてないヴァイオリンを弾いています。ぶんせいむの求婚の事件は、世界の新聞に掲載され、亢龍は独り言をいいます。「このぶんせいむという奴はかなり話せる奴だ。世界中からるびなを娶

          #1345 あぁ……先生は天授なり!

          #1344 高霊の神作とやいはん!幽冥の鬼工とやいはん!

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 中国の大都・南京に田亢龍[デンコウリョウ]という男がいます。眉があがり、鼻がたかく、唇の両端ははねあがり、観相見の実例に引き出されそうな顔立ち。独身者で、甕を叩きながら楚辞を呻り、香港から100ドルで買い寄せた弦が調整されてないヴァイオリンを弾いています。ぶんせいむの求婚の事件は、世界の新聞に掲載され、亢龍は独り言をいいます。「このぶんせいむという奴はかなり話せる奴だ。世界中からるびなを娶

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          #1343 厳冬の季節のまえには、霜の季節がある

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 中国の大都・南京に田亢龍[デンコウリョウ]という男がいます。眉があがり、鼻がたかく、唇の両端ははねあがり、観相見の実例に引き出されそうな顔立ち。独身者で、甕を叩きながら楚辞を呻り、香港から100ドルで買い寄せた弦が調整されてないヴァイオリンを弾いています。ぶんせいむの求婚の事件は、世界の新聞に掲載され、亢龍は独り言をいいます。「このぶんせいむという奴はかなり話せる奴だ。世界中からるびなを娶

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          #1342 いにしえより易をいう者、遑あらずして、しかも皆同じからず

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 中国の大都・南京に田亢龍[デンコウリョウ]という男がいます。眉があがり、鼻がたかく、唇の両端ははねあがり、観相見の実例に引き出されそうな顔立ち。独身者で、甕を叩きながら楚辞を呻り、香港から100ドルで買い寄せた弦が調整されてないヴァイオリンを弾いています。ぶんせいむの求婚の事件は、世界の新聞に掲載され、亢龍は独り言をいいます。「このぶんせいむという奴はかなり話せる奴だ。世界中からるびなを娶

          #1342 いにしえより易をいう者、遑あらずして、しかも皆同じからず

          #1341 これぞ当時に尊まるる卜者なり

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 中国の大都・南京に田亢龍[デンコウリョウ]という男がいます。眉があがり、鼻がたかく、唇の両端ははねあがり、観相見の実例に引き出されそうな顔立ち。独身者で、甕を叩きながら楚辞を呻り、香港から100ドルで買い寄せた弦が調整されてないヴァイオリンを弾いています。ぶんせいむの求婚の事件は、世界の新聞に掲載され、亢龍は独り言をいいます。「このぶんせいむという奴はかなり話せる奴だ。世界中からるびなを娶

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          #1340 天道はたして是か非かだ!

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 中国の大都・南京に田亢龍[デンコウリョウ]という男がいます。眉があがり、鼻がたかく、唇の両端ははねあがり、観相見の実例に引き出されそうな顔立ち。独身者で、甕を叩きながら楚辞を呻り、香港から100ドルで買い寄せた弦が調整されてないヴァイオリンを弾いています。ぶんせいむの求婚の事件は、世界の新聞に掲載され、亢龍は独り言をいいます。「このぶんせいむという奴はかなり話せる奴だ。世界中からるびなを娶

          #1340 天道はたして是か非かだ!

          #1339 俗物どもが驚嘆するだろう!

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 中国の大都・南京に田亢龍[デンコウリョウ]という男がいます。眉があがり、鼻がたかく、唇の両端ははねあがり、観相見の実例に引き出されそうな顔立ち。独身者で、甕を叩きながら楚辞を呻り、香港から100ドルで買い寄せた弦が調整されてないヴァイオリンを弾いています。 仲蛆は田亢龍のお父さんですね。テール(tael)は中国で清代末から20世紀半ばまで用いられた銀貨に対する外国での呼びかたです。 伯

          #1339 俗物どもが驚嘆するだろう!

          #1338 第九回は、中国から新たな登場人物が現れるところから……

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 今日から「第九回」に入ります!それでは早速読んでいきましょう! 荊公は、北宋の政治家にして文学者の王安石(1021-1086)のことです。王安石は、「制置三司条例司」という若手の官僚を集めた天子直属の役所を設け、大地主の利益を制限して農民・商人たちを保護する「新法」を施行した人ですが、王安石といえば「頑固・強情」の代名詞として使われます。天子が臨席する釣りの宴席で、誤って釣り餌を食べてしま

          #1338 第九回は、中国から新たな登場人物が現れるところから……

          #1337 恋知り、情け知り、あはれ知り……

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 「早朝に北方諸州遊覧に出発する。ただし結婚申し込みには差支えなし。ぶんせいむ家宰しんぷる宛に申し込むべし」という新聞広告を載せて、ぶんせいむはるびなと六七人のお供を連れて旅行へむかいます。ぶんせいむは、るびなに言います。「どんな婿が来るだろう。圧政のおやじが人の心も知らないで、などと考え込んでるかもしれないが、それはおまえの愚だ……人の一生はみな愉快の生活をしたいというばかりだから、お前とお

          #1337 恋知り、情け知り、あはれ知り……

          #1336 小を捨て大を取るは当然のこと

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 「早朝に北方諸州遊覧に出発する。ただし結婚申し込みには差支えなし。ぶんせいむ家宰しんぷる宛に申し込むべし」という新聞広告を載せて、ぶんせいむはるびなと六七人のお供を連れて旅行へむかいます。ぶんせいむは、るびなに言います。「どんな婿が来るだろう。圧政のおやじが人の心も知らないで、などと考え込んでるかもしれないが、それはおまえの愚だ……人の一生はみな愉快の生活をしたいというばかりだから、お前とお

          #1336 小を捨て大を取るは当然のこと