#1480 どうせ馬鹿なのっそり十兵衛は死んでもよいのでござりまする!
それでは今日も幸田露伴の『五重塔』を読んでいきたいと思います。
十兵衛を寺から追い出そうと寺の者たちが騒いでいるところに、「何事に罵り騒ぐぞ」と上人の一声、一斉に鳴りをとどめます。事情を聞いて上人は「為右衛門そなたが素直に取次さえすれば……十兵衛殿、こちへおいで、とんだ目に遇わせました」と未学を軽んじず下司を侮らない対応。慈悲が浸み透り感涙の十兵衛。庭をめぐって、折り戸に入ると、小庭に出ます。ふたりは茶室に入り込み、十兵衛は下の動きたどたどしく「お願いに出ましたは五重塔のた