#1350 人欲は限りのない馬鹿者ですから……
それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。
第十回は、亢龍と唐狛が話しているところから始まります。唐「旦那さまは何を考えていらっしゃいます」。亢「貴様のような奴にも俺は俗物と違ってみえるか」。唐「ある老人が恬淡無欲の當世の太上老君、大聖人、大神仙だと評を致しました」。亢「してみれば天下皆めくらでもないが、それにしてもあの卜翁の言い草」。唐「無名翁が何か申しましたか」。亢「米国第一の美人に家事をやらせ、二億の財産を得て、天下の俗物にその