tokkodo/とっこうどう

古本屋を営んでいます。本を読むのが好きです。

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マガジン

  • ちょっとだけ明治はじまり雑学集

    いま身の回りにある、あんな物もこんな言葉も、すべては明治時代に原点がありました!当ブログ連載中にちょっとだけ紹介した雑学を一挙に集めてみました!

  • 坪内逍遥の『小説神髄』に挑戦だ!

    この国に「小説」を根付かせる!では一体「小説」とは何なのか!「小説」の性質と意義を理論的に紹介したのが坪内逍遥の『小説神髄』です!近代文学を読む上で避けては通れない理論書をはたして読破できるのか、挑戦しました!

  • 『中国小説史略』読書奮闘記

    「小説」という語源の『荘子』から20世紀に至るまで、中国小説の歴史を初めて学問的にまとめたのは小説家の魯迅でした!「小説って、なんで小説なんだ?」という疑問から始まった魯迅の『中国小説史略』の読書日記です!

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こんな始まりかたでもいいんじゃないかな

気がつけば… ぼくは立派なおやじになり、 気がつけば… ぼくは古本屋の店主になっていました。 歳というものは、生きていれば勝手に取るものですから、致し方ありません。しかし、よりにもよって、21世紀というデジタルまっ盛りの時代に、どうしてぼくは古本屋の店主になったのでしょうか。 古本屋の店主になるくらいですから、当然、本が好きなわけですが、それなら新刊書店の店員でも図書館の職員でもよかったわけですが、なぜか古本屋の店主になってしまいました。 思い返してみると、ぼ

    • #1419 第一回は、旅中の須原で一泊するところから……

      それでは今日も幸田露伴の『風流佛』を読んでいきたいと思います。 いよいよ今日から本文に入ります。珠運が匠の足跡をたずねる旅にでて、往路は東海道で東京まで行き、復路は中山道で奈良まで向かっている途中、長野の須原の宿に着いたところです。 今回の『風流佛』は、「十如是[ジュウニョゼ]」が各章のタイトルとなっています。「十如是」とは、天台宗の法華経方便品[ホウベンボン]で説かれた万物構造の因果律を10種であらわしたもので、現象と本体とが互いに一体化して区別なく、仮のものと

      • #1418 これより最後の楽しみは奈良じゃ!

        それでは今日も幸田露伴の『風流佛』を読んでいきたいと思います。 仏師の道を志すも自分の技の足らないことを恨んでいる珠運という男。石膏細工をする鼻高い唐人らに下に見られる鬱憤を晴らそうと嵯峨の釈迦に一向専念の誓いを立てた男。夕立が三条四条の埃をはらい、月の影うつす清水に瓜を浸して食べ、夕暮れをみながら白檀の切り屑を蚊やりのために焚いて、これも余徳と有難がります。湯豆腐を食べながらガラス越しに雪見することもなく、祇園に行くこともなく、琴三味線の小唄も聞かず、自身の手作りの弁天様

        • #1417 いざ匠の足跡をたずねる旅へ!

          それでは今日も幸田露伴の『風流佛』を読んでいきたいと思います。 仏師の道を志すも自分の技の足らないことを恨んでいる珠運という男。石膏細工をする鼻高い唐人らに下に見られる鬱憤を晴らそうと嵯峨の釈迦に一向専念の誓いを立てた男。夕立が三条四条の埃をはらい、月の影うつす清水に瓜を浸して食べ、夕暮れをみながら白檀の切り屑を蚊やりのために焚いて、これも余徳と有難がります。 緊那羅は、インド神話の歌の神で、仏教では八部衆のひとつに数えられ帝釈天につかえています。ちなみに八部衆とは天・竜

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          #1416 自分の技の足りなさを恨む若き仏師

          それでは、今日から幸田露伴の『風流佛』を読んでいきたいと思います!それでは早速まいりましょう! 如是我聞とは、「是[カク]の如[ゴト]く我は聞けり」という意味で、釈迦の弟子の阿難が釈迦の教えをきちんと伝えるために、経文の冒頭に記したとされている言葉です。仏教の経典の冒頭に必ず出てくる言葉です。 「鳥仏師」は、中国南梁からの渡来人・司馬達等[タット]の孫にして、日本で最初の本格的な仏像製作者である「鞍作止利[クラツクリノトリ](生没年不詳)」のことです。飛鳥時代に活躍し、

          #1416 自分の技の足りなさを恨む若き仏師

          #1415 今日から『風流佛』に挑戦するぞぉ!

          さて……幸田露伴は1889(明治22)年2月から8月にかけて「都の花」に『露団々』を発表し、山田美妙に絶賛されたあと、同年9月に吉岡書籍店の叢書「新著百種」の第五号で『風流佛[フウリュウブツ]』を発表します。ちなみに「新著百種」は以下の順に出版され、記念すべき第一号は#1001から#1042にかけて読んだ尾崎紅葉の『二人比丘尼色懺悔』です。 第一号 尾崎紅葉『二人比丘尼色懺悔』1889年4月 第二号 饗庭篁村『掘出し物』1889年5月 第三号 石橋思案『乙女心』・尾崎紅葉

          #1415 今日から『風流佛』に挑戦するぞぉ!

          #1414 今日で『露団々』読了だぁ!!

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 4ヶ月かけて読んできた『露団々』も今日でいよいよ最後です!では読んでいきましょう! 「ろっしぶりュん」とは、ロミュビリュズという人のことらしいのですが、詳しいことはよくわかっていません。 というところで、『露団々』終了です! 民話の類型でいうところの「難題聟[ナンダイチ]」というやつでしょうか。有名なところだと『竹取物語』がありますね!かぐや姫と結婚したい色好みの五人の公家たちに、そ

          #1414 今日で『露団々』読了だぁ!!

          #1413 第二十一回は、祝賀の大饗宴でぶんせいむが挨拶するところから……

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 今日からいよいよ最終回の「第二十一回」に入ります!それでは早速読んでいきましょう! 瑞気祥雲とは、めでたい雲のことです。 ということで、この続きは…… また明日、近代でお会いしましょう!

          #1413 第二十一回は、祝賀の大饗宴でぶんせいむが挨拶するところから……

          #1412 三人それぞれへの判決

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 試験首尾よきと電報を受けた田亢龍ですが、またもや来た電報を読むやいなや香港へと走ります。吟蜩子はぶんせいむの家で三四日饗応を受けたあと、胸中の計画がおおかた整ったため、汽車そして船に乗り香港に上陸しますが、波止場に待ち構える亢龍。遺恨のまなじり吊し上げ、待てと叫び、襟髪をむずと摑み、「恩を忘れし犬畜生め、家来ども、両手を押さえて引きずっていけ」。往来の人たちまち黒山のごとく群がり、田亢龍・吟

          #1412 三人それぞれへの判決

          #1411 あなたはこの人を知っていますか?

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 試験首尾よきと電報を受けた田亢龍ですが、またもや来た電報を読むやいなや香港へと走ります。吟蜩子はぶんせいむの家で三四日饗応を受けたあと、胸中の計画がおおかた整ったため、汽車そして船に乗り香港に上陸しますが、波止場に待ち構える亢龍。遺恨のまなじり吊し上げ、待てと叫び、襟髪をむずと摑み、「恩を忘れし犬畜生め、家来ども、両手を押さえて引きずっていけ」。往来の人たちまち黒山のごとく群がり、田亢龍・吟

          #1411 あなたはこの人を知っていますか?

          #1410 香港のしんぷるを呼んで偽りを明かしてもらおう!

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 試験首尾よきと電報を受けた田亢龍ですが、またもや来た電報を読むやいなや香港へと走ります。吟蜩子はぶんせいむの家で三四日饗応を受けたあと、胸中の計画がおおかた整ったため、汽車そして船に乗り香港に上陸しますが、波止場に待ち構える亢龍。遺恨のまなじり吊し上げ、待てと叫び、襟髪をむずと摑み、「恩を忘れし犬畜生め、家来ども、両手を押さえて引きずっていけ」。往来の人たちまち黒山のごとく群がり、田亢龍・吟

          #1410 香港のしんぷるを呼んで偽りを明かしてもらおう!

          #1409 公聴の場の三人の弁明

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 試験首尾よきと電報を受けた田亢龍ですが、またもや来た電報を読むやいなや香港へと走ります。吟蜩子はぶんせいむの家で三四日饗応を受けたあと、胸中の計画がおおかた整ったため、汽車そして船に乗り香港に上陸しますが、波止場に待ち構える亢龍。遺恨のまなじり吊し上げ、待てと叫び、襟髪をむずと摑み、「恩を忘れし犬畜生め、家来ども、両手を押さえて引きずっていけ」。往来の人たちまち黒山のごとく群がり、田亢龍・吟

          #1409 公聴の場の三人の弁明

          #1408 第二十回は、逃げた吟蜩子のその後の様子から……

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 今日から「第二十回」に入ります!それでは早速読んでいきましょう! ということで、この続きは…… また明日、近代でお会いしましょう!

          #1408 第二十回は、逃げた吟蜩子のその後の様子から……

          #1407 ふたりの恋は永久なるべし

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 長かれと思う日影も短く、涙に濡らす袖も乾かぬ間に日は暮れ、いよいよ今日の悲しみにさしかかります。頬の色しろく、飲食は喉を通らない。「じやくそんの返事を考えればしんじあ様はお留守にちがいない。心を尽くして届けた文も何の役にも立たない。とうとう今日になったがもう智慧も何もない。どんな事があってもこの部屋より外へは出まい。もはや絶体絶命……生育の恩は深く、愛護の情は厚く、親の威光は強くても、もう背

          #1407 ふたりの恋は永久なるべし

          #1406 軽薄の恋は、しんじあは決してしません!

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 長かれと思う日影も短く、涙に濡らす袖も乾かぬ間に日は暮れ、いよいよ今日の悲しみにさしかかります。頬の色しろく、飲食は喉を通らない。「じやくそんの返事を考えればしんじあ様はお留守にちがいない。心を尽くして届けた文も何の役にも立たない。とうとう今日になったがもう智慧も何もない。どんな事があってもこの部屋より外へは出まい。もはや絶体絶命……生育の恩は深く、愛護の情は厚く、親の威光は強くても、もう背

          #1406 軽薄の恋は、しんじあは決してしません!

          #1405 るびな嬢が結婚してしまうのです!

          それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 長かれと思う日影も短く、涙に濡らす袖も乾かぬ間に日は暮れ、いよいよ今日の悲しみにさしかかります。頬の色しろく、飲食は喉を通らない。「じやくそんの返事を考えればしんじあ様はお留守にちがいない。心を尽くして届けた文も何の役にも立たない。とうとう今日になったがもう智慧も何もない。どんな事があってもこの部屋より外へは出まい。もはや絶体絶命……生育の恩は深く、愛護の情は厚く、親の威光は強くても、もう背

          #1405 るびな嬢が結婚してしまうのです!