#202 ちょっとだけ百科事典の話
今日は坪内逍遥の『当世書生気質』からちょっとだけ寄り道したいと思います。
学校を退校した山村くんと継原くんは、海外の辞書の翻訳をするバイトを始めますが、翻訳の出来高に応じて料金を支払う形態は、かつて「賃訳」と呼ばれていました。
石井研堂(1865-1943)の『明治事物起原』(1908)の「賃訳所の始」には、「依頼に応じて、洋文飜訳をやる所は、明治五年秋に始れり」と書かれてあり、「この時代は、飜訳の仕事が多く、『賃訳』といふ新しい言葉さへ出来せり」と説明しています。そして