tokkodo/とっこうどう

古本屋を営んでいます。本を読むのが好きです。

tokkodo/とっこうどう

古本屋を営んでいます。本を読むのが好きです。

マガジン

  • ちょっとだけ明治はじまり雑学集

    いま身の回りにある、あんな物もこんな言葉も、すべては明治時代に原点がありました!当ブログ連載中にちょっとだけ紹介した雑学を一挙に集めてみました!

  • 坪内逍遥の『小説神髄』に挑戦だ!

    この国に「小説」を根付かせる!では一体「小説」とは何なのか!「小説」の性質と意義を理論的に紹介したのが坪内逍遥の『小説神髄』です!近代文学を読む上で避けては通れない理論書をはたして読破できるのか、挑戦しました!

  • 『中国小説史略』読書奮闘記

    「小説」という語源の『荘子』から20世紀に至るまで、中国小説の歴史を初めて学問的にまとめたのは小説家の魯迅でした!「小説って、なんで小説なんだ?」という疑問から始まった魯迅の『中国小説史略』の読書日記です!

ストア

  • 商品の画像

    とっこちゃんTシャツ

    ※ この商品はClubTが発送いたします。商品画像はclubTで生成した完成イメージのため、実物と異なる場合があります。
    2,200円
    tokkodo's Ownd

記事一覧

固定された記事

こんな始まりかたでもいいんじゃないかな

気がつけば… ぼくは立派なおやじになり、 気がつけば… ぼくは古本屋の店主になっていました。 歳というものは、生きていれば勝手に取るものですから、致し方ありませ…

#1340 天道はたして是か非かだ!

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 中国の大都・南京に田亢龍[デンコウリョウ]という男がいます。眉があがり、鼻がたかく、唇の両端は…

#1339 俗物どもが驚嘆するだろう!

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 中国の大都・南京に田亢龍[デンコウリョウ]という男がいます。眉があがり、鼻がたかく、唇の両端は…

#1338 第九回は、中国から新たな登場人物が現れるところから……

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 今日から「第九回」に入ります!それでは早速読んでいきましょう! 荊公は、北宋の政治家に…

#1337 恋知り、情け知り、あはれ知り……

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 「早朝に北方諸州遊覧に出発する。ただし結婚申し込みには差支えなし。ぶんせいむ家宰しんぷ…

#1336 小を捨て大を取るは当然のこと

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 「早朝に北方諸州遊覧に出発する。ただし結婚申し込みには差支えなし。ぶんせいむ家宰しんぷ…

#1335 カナダに届くちぇりぃからの手紙

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 「早朝に北方諸州遊覧に出発する。ただし結婚申し込みには差支えなし。ぶんせいむ家宰しんぷ…

#1334 オンタリオを旅行するぶんせいむ親子

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 「早朝に北方諸州遊覧に出発する。ただし結婚申し込みには差支えなし。ぶんせいむ家宰しんぷ…

#1333 第八回は、ぶんせいむがるびなと共に旅行するところから……

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 今日から「第八回」に入りますよ!それでは早速読んでいきましょう! 王昭君(前51-前15)は…

#1332 知っているはずはありませんが……いいえ、知っているはずですよ……知らぬはずはありませんよ

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 青木よき程に茂って、暑さも小川の水泡とともに流れ去る景色。庭には、イタリア製の寒水石の…

#1331 おれが最も良い婿を取ってやる!

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 青木よき程に茂って、暑さも小川の水泡とともに流れ去る景色。庭には、イタリア製の寒水石の…

#1330 世の中の多くの夫婦がなぜ不幸に終わるのか

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 青木よき程に茂って、暑さも小川の水泡とともに流れ去る景色。庭には、イタリア製の寒水石の…

#1329 おやおや似た者夫婦ですかね

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 青木よき程に茂って、暑さも小川の水泡とともに流れ去る景色。庭には、イタリア製の寒水石の…

#1328 「第七回」は、るびな嬢のもとをじやくそん夫人が訪れるところから……

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 今日から「第七回」に入ります!それでは早速読んでいきましょう! 磁凳とは、陶磁製で太鼓…

#1327 忘れられない、忘れまい、忘れるべきでない……

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 真珠取りは海に苦しみ、金掘りは山に疲れると言う老人も、孫を喜ばすために雷おこしを購入し…

#1326 なぜ恋しいのだろう……ただ恋しい……

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 真珠取りは海に苦しみ、金掘りは山に疲れると言う老人も、孫を喜ばすために雷おこしを購入し…

固定された記事

こんな始まりかたでもいいんじゃないかな

気がつけば… ぼくは立派なおやじになり、 気がつけば… ぼくは古本屋の店主になっていました。 歳というものは、生きていれば勝手に取るものですから、致し方ありません。しかし、よりにもよって、21世紀というデジタルまっ盛りの時代に、どうしてぼくは古本屋の店主になったのでしょうか。 古本屋の店主になるくらいですから、当然、本が好きなわけですが、それなら新刊書店の店員でも図書館の職員でもよかったわけですが、なぜか古本屋の店主になってしまいました。 思い返してみると、ぼ

#1340 天道はたして是か非かだ!

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 中国の大都・南京に田亢龍[デンコウリョウ]という男がいます。眉があがり、鼻がたかく、唇の両端ははねあがり、観相見の実例に引き出されそうな顔立ち。独身者で、甕を叩きながら楚辞を呻り、香港から100ドルで買い寄せた弦が調整されてないヴァイオリンを弾いています。ぶんせいむの求婚の事件は、世界の新聞に掲載され、亢龍は独り言をいいます。「このぶんせいむという奴はかなり話せる奴だ。世界中からるびなを娶

#1339 俗物どもが驚嘆するだろう!

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 中国の大都・南京に田亢龍[デンコウリョウ]という男がいます。眉があがり、鼻がたかく、唇の両端ははねあがり、観相見の実例に引き出されそうな顔立ち。独身者で、甕を叩きながら楚辞を呻り、香港から100ドルで買い寄せた弦が調整されてないヴァイオリンを弾いています。 仲蛆は田亢龍のお父さんですね。テール(tael)は中国で清代末から20世紀半ばまで用いられた銀貨に対する外国での呼びかたです。 伯

#1338 第九回は、中国から新たな登場人物が現れるところから……

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 今日から「第九回」に入ります!それでは早速読んでいきましょう! 荊公は、北宋の政治家にして文学者の王安石(1021-1086)のことです。王安石は、「制置三司条例司」という若手の官僚を集めた天子直属の役所を設け、大地主の利益を制限して農民・商人たちを保護する「新法」を施行した人ですが、王安石といえば「頑固・強情」の代名詞として使われます。天子が臨席する釣りの宴席で、誤って釣り餌を食べてしま

#1337 恋知り、情け知り、あはれ知り……

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 「早朝に北方諸州遊覧に出発する。ただし結婚申し込みには差支えなし。ぶんせいむ家宰しんぷる宛に申し込むべし」という新聞広告を載せて、ぶんせいむはるびなと六七人のお供を連れて旅行へむかいます。ぶんせいむは、るびなに言います。「どんな婿が来るだろう。圧政のおやじが人の心も知らないで、などと考え込んでるかもしれないが、それはおまえの愚だ……人の一生はみな愉快の生活をしたいというばかりだから、お前とお

#1336 小を捨て大を取るは当然のこと

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 「早朝に北方諸州遊覧に出発する。ただし結婚申し込みには差支えなし。ぶんせいむ家宰しんぷる宛に申し込むべし」という新聞広告を載せて、ぶんせいむはるびなと六七人のお供を連れて旅行へむかいます。ぶんせいむは、るびなに言います。「どんな婿が来るだろう。圧政のおやじが人の心も知らないで、などと考え込んでるかもしれないが、それはおまえの愚だ……人の一生はみな愉快の生活をしたいというばかりだから、お前とお

#1335 カナダに届くちぇりぃからの手紙

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 「早朝に北方諸州遊覧に出発する。ただし結婚申し込みには差支えなし。ぶんせいむ家宰しんぷる宛に申し込むべし」という新聞広告を載せて、ぶんせいむはるびなと六七人のお供を連れて旅行へむかいます。ぶんせいむは、るびなに言います。「どんな婿が来るだろう。圧政のおやじが人の心も知らないで、などと考え込んでるかもしれないが、それはおまえの愚だ……人の一生はみな愉快の生活をしたいというばかりだから、お前とお

#1334 オンタリオを旅行するぶんせいむ親子

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 「早朝に北方諸州遊覧に出発する。ただし結婚申し込みには差支えなし。ぶんせいむ家宰しんぷる宛に申し込むべし」という新聞広告を載せて、ぶんせいむはるびなと六七人のお供を連れて旅行へむかいます。ぶんせいむは、るびなに言います。「どんな婿が来るだろう。圧政のおやじが人の心も知らないで、などと考え込んでるかもしれないが、それはおまえの愚だ……人の一生はみな愉快の生活をしたいというばかりだから、お前とお

#1333 第八回は、ぶんせいむがるびなと共に旅行するところから……

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 今日から「第八回」に入りますよ!それでは早速読んでいきましょう! 王昭君(前51-前15)は、前漢時代を代表する美女で、宮中で官女として仕えます。のちに外交相手として唯一の対等国である匈奴の君主である呼韓邪単于[コカンヤゼンウ](?-前31)の妻となります。『世説新語』賢媛篇によると、官女たちは自分の似顔絵を美しく描いてもらうために、似顔絵師に賄賂を贈っていたが、王昭君はただ一人賄賂を贈

#1332 知っているはずはありませんが……いいえ、知っているはずですよ……知らぬはずはありませんよ

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 青木よき程に茂って、暑さも小川の水泡とともに流れ去る景色。庭には、イタリア製の寒水石の大亀の噴水、蔓草をからませて屋根としたる東屋、ここは5万坪の広大なぶんせいむの下屋敷。戸の外からじやくそん夫人がるびな嬢に声をかけます。「お嬢様、蒸しますのにご書見ですか」「絵を描いていたのさ」「墨絵の枯木に鳥ですか」「枯木ではないよ。新橋色という顔料で葉が描いてあるのだよ。高窓の日除けがただの白い紗じゃ面

#1331 おれが最も良い婿を取ってやる!

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 青木よき程に茂って、暑さも小川の水泡とともに流れ去る景色。庭には、イタリア製の寒水石の大亀の噴水、蔓草をからませて屋根としたる東屋、ここは5万坪の広大なぶんせいむの下屋敷。戸の外からじやくそん夫人がるびな嬢に声をかけます。「お嬢様、蒸しますのにご書見ですか」「絵を描いていたのさ」「墨絵の枯木に鳥ですか」「枯木ではないよ。新橋色という顔料で葉が描いてあるのだよ。高窓の日除けがただの白い紗じゃ面

#1330 世の中の多くの夫婦がなぜ不幸に終わるのか

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 青木よき程に茂って、暑さも小川の水泡とともに流れ去る景色。庭には、イタリア製の寒水石の大亀の噴水、蔓草をからませて屋根としたる東屋、ここは5万坪の広大なぶんせいむの下屋敷。戸の外からじやくそん夫人がるびな嬢に声をかけます。「お嬢様、蒸しますのにご書見ですか」「絵を描いていたのさ」「墨絵の枯木に鳥ですか」「枯木ではないよ。新橋色という顔料で葉が描いてあるのだよ。高窓の日除けがただの白い紗じゃ面

#1329 おやおや似た者夫婦ですかね

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 青木よき程に茂って、暑さも小川の水泡とともに流れ去る景色。庭には、イタリア製の寒水石の大亀の噴水、蔓草をからませて屋根としたる東屋、ここは5万坪の広大なぶんせいむの下屋敷。戸の外からじやくそん夫人がるびな嬢に声をかけます。「お嬢様、蒸しますのにご書見ですか」「絵を描いていたのさ」「墨絵の枯木に鳥ですか」「枯木ではないよ。新橋色という顔料で葉が描いてあるのだよ。高窓の日除けがただの白い紗じゃ面

#1328 「第七回」は、るびな嬢のもとをじやくそん夫人が訪れるところから……

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 今日から「第七回」に入ります!それでは早速読んでいきましょう! 磁凳とは、陶磁製で太鼓形の庭園に置く腰掛けのことです。 「有感顔料[シンパジチックインキ]」とは、「sympathetic ink」のことでしょうね。 というところで、この続きは…… また明日、近代でお会いしましょう!

#1327 忘れられない、忘れまい、忘れるべきでない……

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 真珠取りは海に苦しみ、金掘りは山に疲れると言う老人も、孫を喜ばすために雷おこしを購入し、政治家うるさし、軍人危うしと言う作家も、文を売るために万巻の書を噛み砕いて吐き出します。しんじあはおとなしい男、激しい恋はしないけれども、煩悩の迷いの雲に覆われて、弦の切れた弓の如く甲斐なく孤独の世を過ごします。しかし、岩から洩れる水の色は澄んで見えないように、しんじあの心も……。「るびな嬢……あの美しく

#1326 なぜ恋しいのだろう……ただ恋しい……

それでは今日も幸田露伴の『露団々[ツユダンダン]』を読んでいきたいと思います。 真珠取りは海に苦しみ、金掘りは山に疲れると言う老人も、孫を喜ばすために雷おこしを購入し、政治家うるさし、軍人危うしと言う作家も、文を売るために万巻の書を噛み砕いて吐き出します。しんじあはおとなしい男、激しい恋はしないけれども、煩悩の迷いの雲に覆われて、弦の切れた弓の如く甲斐なく孤独の世を過ごします。しかし、岩から洩れる水の色は澄んで見えないように、しんじあの心も…… 数珠掛鳩は、飼養品種の