それでは今日も幸田露伴の『風流佛』を読んでいきたいと思います。
今日から最終回の「第十回」に入ります。それでは早速読んでいきましょう!
前漢の武帝(前156-前87)が李夫人を亡くした後に道士に霊薬を整えさせ、玉の釜で煎じて練り、金の炉で焚き上げたところ、煙の中に夫人の姿が見えたといいます。このときに作られた、焚くと煙の中に死者の姿が現れる香のことを「反魂香」といいます。
「黐竿」とは、小鳥や昆虫を捕らえるために、先端にとりもちをつけた竹竿のことです。つまり「黐竿握らせて殺生を禁ずる」とは、「矛盾している」という意味です。
「算盤ではじき出したら、珠運が一身二一添作の五も六もなく」の部分ですが、算盤と珠運をかけて、珠算をあらわし、一身と一進をかけています。二一添作の五とは、そろばんでの割り算のことで、10を2で割る時、10の位の1をあらわす珠をはらい、1の位の5をあらわす上の珠ひとつをおろすことをいいます。そこに「文句なく」という意味の「五も六もなく」をかけているわけです。
揚屋酒は、遊女屋で飲む酒のことで、三五は十五ですが十八と計算するくらい、目算が狂って身を持ち崩すという意味です。
ということで、この続きは……
また明日、近代でお会いしましょう!