#956 未開の文学の海に泳ぎに行く 22 tokkodo/とっこうどう 2023年4月16日 11:21 それでは今日も坪内逍遥の「没理想の由来」を読んでいきたいと思います。逍遥は、エドワード・ダウデンの『文学の解釈』を取り上げ、こんなことを言います。彼れが古来の傑作のうち、教誨[キョウカイ]の主旨に成りたる作の外に、何の意[ココロ]とも、はじめは解しがたき作あり、と論じ来たれる続きに、下の文あり、原文は頗る花やかなるを、拙く譯して、そこなはんもいかヾと、原[モト]のまゝをこゝに掲ぐ。で、このあと、原文が掲げられます。There are many great works of literature and art from which we learn little or nothing at least consciously or in set term and phrase; but we go to them as a swimmer goes to the sea. We enter bodily, and breast the waves, and laugh and are glad, and come forth renewed and satulated with the breeze and the brine, a sharer in the free and boundless vitality of our lover, the sea. We have won health and vipour although the sea has only sung its mysterious choral song, and the waves have clapped their hands around us, nor has ocean once straitened his lips to utter a little maxim or a moral sentence. And with such writers we may be trustful and generous, and put aside the petty spiritual prudence which it is well that we should make use of when we go to one who is chiefly a teacher. Such an oceanic writer as Shakespekre or Goethe may contain within his vastness some things that belong to the rankness and garbage of the earth; but so antiseptic is his large and free vitality. played upon by the sun and breeze, so wholsome is his invigorating saltness that we may dash fearlessly across the breakers, and quit his sands and shallows for a gleeful adventure in the deep. 原文が頗る華やかなために、拙い訳を載せるのを避けた逍遥ですが、あえて拙い訳を試みてみましょう!w文学や芸術の偉大な作品の中には、少なくとも意識的に、あるいは決められた言葉やフレーズでは、ほとんど、あるいは何も学ばないものがたくさんある。しかし私たちは、スイマーが海に行くように、その作品に向かいます。私たちは、海に入り、波に揺られ、笑い、喜び、そして、風と塩水を浴びて、新しくなって帰ってきます。海が神秘的な合唱を歌い、波が私たちの周りで手を叩き、海が唇を歪めて小さな格言や道徳的な文章を口にしたことは一度もなかったが、私たちは健康と活力を手に入れた。このような作家に対しては、私たちは信頼と寛大さを持ち、主に教師である人のところに行くときにはよく使う精神的な小賢しさを脇に置くことができる。シェイクスピアやゲーテのような海洋作家は、その広大さの中に、地球の粗大ゴミに属するものを含んでいるかもしれない。しかし、その大きく自由な生命力は、太陽と風によって弾かれ、その爽快な塩気は、私たちが恐れず破船を渡り、その砂と浅瀬から深海への楽しい冒険のために飛び立つことができるように、消毒してくれる。ということで、この続きは……また明日、近代でお会いしましょう! ダウンロード copy この記事が参加している募集 #読書感想文 208,176件 #日記 #毎日note #小説 #毎日更新 #読書 #読書感想文 #文学 #小説家 #明治 #近代 #近代文学 #坪内逍遥 #森鷗外 #没理想論争 #没理想の由来 22 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート