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『古事記ディサイファード』第一巻006【Level 1】超圧縮版漫才風古事記 これだけ読めば暗号が解ける (2)

八岐大蛇(やまたのおろち)

「さて天界を追放されたスサノオが天降りまして」
「そら高天原追放されたら地上に来るしかおまへんがな」
「地上をぶらついて出雲までやってくると老夫婦が一人の童女を挟んで泣いとんのに出くわしましてん」
「おう、それ、知っとるで。
  有名なヤマタノオロチの話やろ?
  夫婦は地神(くにつかみ)の
  アシナヅチ(足名椎命(あしなづち)のみこと))と
  テナヅチ(手名椎命(てなづちのみこと))やろ?
  娘は、クシナダヒメ(櫛名田比売(くしなだひめ))や」
「なんで泣いてはりますのん、とスサノオが訊ねると」
「もともと私たちには八人の娘がおりましてんけど……」
「毎年ヤマタノオロチ(八岐大蛇(やまたのおろち))いう大怪獣が娘を一人ずつ食べにきよりますねん」
「今年もヤマタノオロチが来る時期になり、最後に残ったクシナダヒメも食べられてしまいますねんていうのやろ?」
「その大怪獣は一つの胴体に八つの頭と八つの尾をもち、八つの谷と八つの丘にまたがるほど超巨大で科特隊も全く歯が立ちまへん」
「いや、科特隊関係ないやろ」 


「俺が行く!」
「どっかで聴いた台詞や」」
「そのオロチとやらを撃退してやろう。
  ただし……もし成功した暁には娘さんをくれ」
「スサノオ、ロリコンやったんかい!」
「聴いて驚くな。アマテラスは俺のねーちゃんやで」
「なななな……なんと……!
  それは畏れ多いことでございます」
「実は行いが悪くて天界を追放されてきたとは言えまへんな」
「まあ、そこは黙っておこか」
「これより脅威警戒態勢ブラボーに入る。
  ヤマタノオロチ掃討作戦を決行する!」
「SKaRD か!」
「そのツッコミ、ウルトラヲタクしかわからんて」
「いや、オマエがそういう風にボケとんのやないかい!」
「スサノオはクシナダヒメを櫛に変身させて」
「変身するんかいっ」
「自分の髪にさした」
「それならオロチに見つからへん」
「そして老夫婦にいろいろ指示を出しよった」
「ほう、どんな指示や?」
「家のまわりにフェンスを張り巡らせる」
「バリケードやな?」
「八つのフェンスそれぞれにゲートを設ける」
「せっかく作ったバリケードになんでわざわざゲート開けますのん?」
「各ゲートに八つの桟敷を作り」
「歓迎するんかいっ!?」
「そこに強い酒を満たした桶を置く」
「めちゃくちゃ大歓迎コンパやないかいっ!?」
「いやこれが迎撃作戦なんやて」
「どんな迎撃やねん」
「スサノオが待ち構えていると」
「来よったか?」
「すさまじい地響きとともにヤマタノオロチが現出!」
「ギャオオオオオオオッ!」
「いや、ヘビやから鳴かへん」
「迫力ないな」
「酒を見つけたオロチは八つの桶にそれぞれ頭を突っ込み酒を飲み始めよったで」
「どうせ胴体は一つやから酒は首の付け根で合流するんとちゃうの?」
「せやな」
「ほな頭四つぐらいは四方の警戒に割り当てたらええんとちゃうの?」
「ヘビやからそこまで知恵がまわらへん」
「アタマ八つもあるのにアホちゃうか!」
「アホちゃいまんねん」
「パーでんねん……てか!」
「八だけに。ごっくんごっくん八倍速で一気飲みや」
「そりゃ酔っ払いまんがな」
「たちまち泥酔して眠り込んでまったんや」
「チャンスやで!」
「すかさずスサノオは腰に差していた剣を抜き放つやいなやヤマタノオロチに斬りかかった」
「トリャアアアアアッ!」
「いや、せっかく眠っとんのに起こしたらあかんから静かあに……」
「なんや迫力ないな」
「スサノオは大怪獣を切り刻んでまった」
「やったあ!」
「すると刃が大怪獣の尾に達したときや」
「何が起こった?」
「なんと中から立派な剣が出てきよった!」
「ちょっと待たんかい!
  なんでシッポから剣が出てくるんや?」
「知らんけど」
「知らんのかいっ!」
「まあ、ええやんか。細かいこと気にしなさんな」
「いや、細かくないよ。巨大怪獣の尻尾からツルギが出てきよったんやからめちゃめちゃどエライ話やんか!」
「せやけどスサノオにもわからへんのや。ともかくこれが天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)言うて……」
「ほう! 有名なあの剣やないかい!」
「不思議に思ったスサノオは姉のアマテラスにこの剣を献上しはったで」
「スサノオにしてはやけに謙虚やな」
「一応改心したんやろな」
「ともかくオロチ退治してめでたしや!」
「クシナダヒメをゲットしたスサノオはすっかり出雲が気に入ってまったで」
「そりゃロリコンやからな」
「ああ、良い事をした後は気持ちがいい、清々しいいうて、上機嫌で新居を建てながら日本最古の歌を詠みよった」
「ほう、なんと詠んだ?」
「八雲立つ
  出雲八重垣(やえがき)妻(つま)籠(ご)みに
  八重垣つくるこの八重垣を」
「高木東六(たかぎとうろく)か!」
「ツッコミ古すぎるわ!
  わかる人おらへんやろ!」

(つづく)


※ 最初から順を追って読まないと内容が理解できないと思います。途中から入られた方は『古事記デイサイファード』第一巻001からお読みいただくことをお薦めいたします。

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