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華麗なるカレー南蛮

あるとき友人との会話の中で、話題が料理のほうに寄ってきました。

最初のうちは、最近食べておいしかったものとか、気に入ったお店の話だったと思うのですが、そのうち自分がつくった料理の話題になり、そして味付けの話になっていきました。

そのとき友人がこんなことをいったのです。


🍛カレー風味はおなじ料理

カレー粉って香りもいいし、おいしいけど、あれを使うと全部おなじ料理になるよね。

え。そうかな。

おなじ…料理っていったよね。おなじ味、そういいたかったのかもしれない。そう思って聞きただしてみたところ。

友人がいうには、そもそもカレーは風味の主張が、ちょっとほかの調味料やスパイスにはないくらい強いというのです。たしかにそうかもしれません。そこはなんとなく理解できる気もしました。

でも、そのあとがこう。おかげで、煮ても焼いてもどんな素材を調理しても、カレーを食べたという満足感が生まれてしまうのだとか。カレーライスとカツカレーならおなじ料理といわれても、まあカツが載っただけだしなと理解もできます。

友人の感覚では、カレーライスだろうとカレーうどんだろうと、カレー粉で炒めたキャベツと豚肉だろうと、カレーパンだろうと、カレー風味の味付けの料理は、すべてカレーを食べたという気になるので、それはおなじ料理だ、と。続けて食べる気になれないというのです。

🍛名前も気になるカレーメニュー

なるほど、そんな感じ方もあるのだなとは思いましたが、それをいうならしょうが焼きも煮魚も肉じゃがも醤油、みりん、砂糖で味付けのベースはおなじ。

でもそれをおなじ料理だと認識する人ってなかなかいませんよね。友人の主張を聞いているうちに、なんだか不思議な感じになりました。

そもそも自分なんて、カレーをつくって残ったら、それをカレーうどんにして食べるし、むしろそれが翌日の楽しみだと思っているくらいなので、人それぞれってこういうことなのかもしれません。

さて、そんなこんなで今回のテーマは、カレー味のひと品。

お蕎麦屋さんの中でも、ちょっとほかのメニューとは違う特別なポジションを感じる、カレー南蛮です。

その特徴はそばつゆ風味の中に突如現れた、スパイスの香り。和風メニューの立ち並ぶ蕎麦屋の中で、独自の路線をいく異国情緒。不思議な存在です。

そもそもこの名前が気になりますよね。子どもの頃、カレーうどんはそのまんまなのに、なんでおそばになると名前に南蛮とつくのか気になったものです。

いつしかその名前の由来を知るようになり、子どもの頃の疑問は霧散していますが、カレーうどんにねぎは入れないのが普通なのかな。自分なら入れちゃうけどな…なんて別のことが気になるようになったりもしてます。

🍛さあ、つくろうカレー南蛮

さて。ともあれ、カレー南蛮をつくらねば。おなかも空いてることだし。

油は敷かずに、玉ねぎ、豚肉、カレー粉をお鍋に合わせます。

乾煎りする感じで火にかけながら、カレー粉を具にからめます。ポイントはここ。

油で炒めずにカレー粉をからめることで、カレー風味なんだけど、炒め物ではなくベースは煮物という仕上がりを目指します。

そばつゆを入れて火にかけます。市販の濃縮タイプのめんつゆって便利ですよね。

カレー粉には基本塩分は入っていないので、ふつうの温かい汁そばをつくるときの濃縮度合でOKです。

玉ねぎが透きとおってきたら、水溶き片栗粉を投入。すこし煮てお好みのとろみがついたら火を止めます。

あとはおそばを茹でるだけ。

今回はおそばに、いつもの糖質オフのひと工夫を採用。

もやしを一緒に茹でてみました。

🪞華麗に輝くカレー南蛮

おそばともやしを盛った丼に、とろりとカレー餡かけ。

片栗粉でとろみを付けた汁物って、なんか表面が光を反射する度合いが強まる気がしませんか。まるで、カレーの鏡のようです。

そして、きらきら輝く華麗なるカレーのおつゆの上に、ねぎをたっぷり。これがないと、南蛮じゃないらしいですからね。

おそばを持ち上げるとこのとおり。とろみの付いたおつゆが麺にからみます。

ずずっと啜ると、スパイスの香りが口の中に広がり、そのあとにカレーの奥からおそばの味を感じます。

ほら。カレー南蛮はおそばです。カレーライスとおなじじゃない。

もしカレーライスとおなじなら、このそばの香りは感じません。食べればわかる。カレーの香りに包まれて、しっかりおそばの風味を感じます。そのおかげで、どこかほっとする、そんな気持ちになります。

このほっこり感は、カレーの奥にあるめんつゆの香りと、そして炒めずに煮物にこだわった今回のレシピが生み出している気がします。

これなら友人も、カレーが夕飯の次の日にも食べたくなってくれるかもしれません。今度そんな話になる日が来れば、この記事を見せてみようかなと思ったのでした。

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