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トマトを加熱してみませんか。

先日まで公募されていた、note創作大賞2023にこんな作品を応募しました。


✒️創作のきっかけは

いつもどおり、料理のお話ですが、これはエッセイ的な記事ではなく、創作です。そんな作品のきっかけになったのは、トマト。

そもそもトマトって生で食べるものだと思っていたのですが、ロンドンで朝ごはんを食べたとき、焼いたトマトがお皿に載っていて、そしてそれは定番のメニユーだと知ります。

そのときの衝撃って、自分なりにけっこうすごかったみたいで、それをもとにして物語にしたのが、今回の応募作です。

そして、その原型ともいえるのが、今回紹介するこの記事。最初は焼きトマトをテーマに、こんな感じの記事を公開しようと思っていたんですね。

それが創作大賞の募集を知って、料理をネタにした物語を書こうと決めたときに、トマトを加熱するという話も書いてみたくなって、最初に紹介したストーリーが誕生しました。

今回はちょっとした楽屋話的な感じで、そんな創作のもとネタになった記事を紹介してみようかなと思います。

📝ここからもとネタ

🍅夏野菜はアクティブ

野菜というワードに健康的なイメージを抱くようになったのがいつなのかは思い出せませんが、ヘルシーな料理というリクエストを受けると、まず野菜たっぷりのメニューを考えます。

そこに夏という、アクティブな季節が冠としてのっかるので、夏野菜は活発で健康的なイメージにも繋がっています。トマトの赤、きゅうりの緑、なすの紫、色とりどりのパプリカと、彩りも鮮やかで華やかなので、派手さや元気な印象を抱くのかもしれません。

夏はもちろん気温の高い季節。きゅうりは冷やし中華やサラダに活躍するし、お漬け物は定番中の定番。なすは焼いても揚げても美味しいけれど、炊いたものを煮汁ごと冷やしたら夏に最高のおつまみになります。もちろんきゅうりとおなじくお漬け物も安定の味。大阪の水茄子なんてこの季節にはたまらないジューシーさです。

そして色鮮やかなトマトももちろん、大活躍。

🍅トマトってどう食べますか

ところでみなさん、トマトってどうやって食べますか。おそらく一番多いのが、生のまま冷やしたトマトをサラダに載せたり、フライものの千切りキャベツの横に添えたり、そのまま食べてると思うんですよね。

そのほかにトマトソースがあるよとか、トマト煮込みがあるよとかいう声も聞こえてきそうですが、それって生のトマトじゃなくて、作るときには水煮缶やピュレなど、加工されたトマトを使うことが多いはず。

フレッシュなトマトとなると、やっぱり圧倒的に生でいただくことになるのではないでしょうか。

🔥トマト in LONDON

初めてロンドンにいったとき、いわゆるフルブレックファストというものを食べました。イギリススタイルのおかずがたっぷりの豪華な朝食です。

そのとき、目玉焼きやソーセージと一緒に、焼いたトマトが載っていました。いわゆるベイクドトマトというやつです。これがけっこう衝撃で、トマト=生食と信じて生きてきた自分にとっては、食べることをためらうようなひと品だったんですよね。

いまとなっては、別にトマト焼いたっていいじゃん。中華できゅうり炒めてたのを見て、けっこう美味しそうと思ったりしている自分がいますが、そのときはトマトを焼くという発想についていけず、残してしまった記憶があります。そして次の日の朝食からは、すっかり警戒してしまって、席に着くなり「Without tomato」とオーダーしてました。固定観念に縛られてしまい、キッチンで出番を待っていたあのときのトマトたちには謝りたいです。

🍅抵抗の原因は

トマトを加熱することに抵抗があった理由は、おそらく実家にあります。というのも、ごはんのときに出てくるトマトはいつも生のものだったからです。朝食にスライスしてパンに載せて、昼食のコロッケの隣に、冷やし中華の具として、夕飯のサラダに。なので、トマトは生で食べるものと思って育ってきたんです。

そんなある意味かたくなな想いを、ある日、ふと思い出した子どもの頃大好きだったおうちごはんのメニューが覆してくれました。

それがフレッシュなトマトを豚肉と一緒に煮込んだこのひと皿。あ、そうだ。これって生のトマトを加熱してる。あまりにも慣れ親しんだメニューなので、気付かずにいたのですが、これは生のトマトを使います。そうか、加熱してるじゃん。

長年のトマト生食の呪縛から解き放たれた瞬間です。そうなるといろいろ試してみたい。

そして誕生したのが、このひと品。トマト入り焼肉とでも呼んでみましょうか。定食屋さんの定番にありそうな、野菜入りの豚肉炒めにトマトを加えたメニューです。

🍅トマトを加熱してみよう

🍅トマト焼き肉

🍅材料(1皿分)
・豚肉…薄切り2枚くらい
・玉ねぎ…1/8個
・ニラ…2本
・トマト…1/2個
・自家製万能ダレ…大さじ2
・おろしにんにく…小さじ1
・おろししょうが…小さじ1
・あらびきこしょう…適量

ちなみに、自家製万能ダレはこちらです。

作り置きしておくと炒め物以外にもいろいろ使えて便利なので、我が家では冷蔵庫に常備しています。

豚肉と玉ねぎを炒めます。

豚肉の色が変わったら、ニラとざく切りにしたトマト投入。

タレを加えてさっと炒め合わせて、おろしたにんにくとしょうがをプラスします。

さらに炒めて全体がなじんだら、こしょうをパラパラ。

どうでしょう。トマト焼き肉完成です。

甘辛い濃厚なタレにトマトが加わると、すこしさっぱりした感じになって、さすが夏野菜、夏向きの焼肉という気がします。トマトの酸味がいい仕事してます。

🍅トマトうどん

さらにトマト加熱のきっかけになった、フレッシュトマト煮込みのとおり、生のトマトは煮ても美味しいです。そこで今回は煮込みアレンジも紹介します。

🍅材料(1皿分)
・豚肉…薄切り2枚
・ねぎ…1/5本(青い部分はトッピング用)
・しいたけ…小2個
・トマト…1/2個
・卵…1個
・めんつゆ…1カップ(うどんつゆの濃さ)
・うどん…1人前

トマトはざく切りにしてあります。めんつゆに卵以外の材料を入れて煮ればOK。簡単です。

茹でたうどんの上に具を載せます。つゆはまだお鍋の中。

卵を割り落して、つゆを再加熱。白身を固めます。

どうでしょう。トマトうどん。

めんつゆに酸味が加わって、これも爽やかさを感じます。トマトを加熱すると、総じて爽やかな味をプラスしてくれるので、ますます夏に食べたい気がします。これ、卵は別に半熟に茹でたり、ポーチドエッグにしておいたりして、煮たつゆを具ごといったん冷やして、冷やしうどんにしてもよさそうですね。

🥒おまけの夏野菜レシピ

最後に夏野菜レシピのおまけ。

きゅうりを使ったお手軽な小鉢料理を紹介します。

🥒材料
・きゅうり
・塩こうじ
・塩昆布

きゅうりをごく薄く切ります。

さっと塩こうじで和えて15分ほど置いて、水気を軽く絞ります。

あとは塩昆布で和えるだけ。

きゅうりって、軽く塩分を当てると水が出て、しゃりしゃりした食感のここ強さが引き立ちますよね。さっぱりしていますが塩がきいた味付けなので、ごはんのおともにも冷酒のおつまみにもおすすめです。

🍅トマトを加熱して思ったこと

なにごとも先入観にとらわれる必要はないのかもしれません。何かしらの新しい発見は、きっとそんなところから、自分を解放した瞬間に生まれてきているはずです。

料理って、いろいろと考え出すときりがありませんが、組み合わせや調理法で無限の可能性がある世界だと思います。

まだ何か、きっと見落としていたり、ブラインドされていたりする、美味しさがどこかにあるんでしょうね。それを見つけられたらうれしいなと思います。

お読みいただきありがとうございます☺️いただいたサポートは新作メニュー作りに役立てさせていただきます🍴🙏