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北京飯の上をアレンジしたら極上のおつまみができた話。

日本全国にあまたある、ご当地グルメ。トケイヤkitchenではそのアレンジ再現をしてみるというのを、ひとつのテーマにもしています。

ご当地グルメをつくるとき、もともと知っていて食べたことのあるメニューを再現してみることもありますが、けっこういろいろとつくってきたので、そろそろ新しく探さないとネタ切れも心配になってきました。

そんなとき、テレビは貴重な情報源。ある日、ニュース番組のグルメ特集みたいなコーナーだったか、これは美味しそうだなと思ったメニューがありました。


🍚まかない生まれの北京飯

それがこちら。愛知県安城市のご当地グルメ、北京飯です。

北京飯という名前を聞くと、一瞬中国の北京発祥の料理なのかと思いますが、この北京はお店の名前。こちらのまかない料理から誕生した人気メニューとのことです。

まかないって、食材や予算に縛りがある中でプロが工夫してつくることもあってか、アイディアメニューの宝庫ですよね。そんなこともあって、お店のまかないって食べてみたくなります。

こちらの北京飯は、濃いめに味つけて焼いた卵をごはんのにせて、その上に豚肉の唐揚げをトッピングするというパワーのつきそうな構成。料理って力仕事、体力勝負的な側面もあるので、これを食べてがんばってきたお店の人の姿が浮かぶような気がします。

🔪アレンジ再現スタート

今回は、そんな北京飯をトケイヤkitchen風アレンジでつくっていきます。

🐽豚の唐揚げ

まずは豚のヒレ肉をブロックから切り分けます。お肉はロースでももちろんOKですが、今回は好みの関係でヒレを使ってます。

ボウルに入れて自家製の万能だれをもみこみます。

冷蔵庫で30分ほど休ませて、しっかり味を染み込ませます。

味が染みたら、唐揚げを揚げます。

溶き卵をくぐらせた豚肉に粉をまぶします。

さくさくかりかりした食感に仕上げたいので、粉はやっぱり片栗粉。とにかくしっかりと付けて、表面が白っぽく乾いた粉で覆われた状態にします。

揚げるときは表面の余分な粉をはたいて、中温くらいでスタート。

途中で返したらすこし油の温度を上げて、表面をかりっとさせます。

🥚玉子はしっかり味

油を切っている間に、卵の準備。

北京飯の卵はしっかりめの味付けがポイント。

甘辛い醤油ベースにしていくので、ここで豚肉をつけた付け汁を再利用。そこに新しい卵を割りいれます。

しっかり溶いたら焼きの工程。

油を熱した小鍋に一気に投入。

手早く混ぜて焼く、オムレツスタイル。

味がついているので、焼き色も濃いめになりました。

☝“上”にアレンジ

ここまでできたら、あとはどんぶりにごはんを盛り付けて、玉子焼き、豚の唐揚げの順でのせれば、北京飯の完成…。なのですが、北京飯の元祖、北京本店さんのメニューをみていると気になるひと品を発見。

その名も“北京飯の上”というもの。ぱっと見て、お寿司の上、特上みたいな“上”と間違えないように“北京飯ご飯なし”と書いてくれてある親切さ。

そう、つまりカツ丼でいうところのカツ丼のアタマ=カツ煮みたいな感じで、おつまみ仕様で北京飯の味が楽しめるわけですね。

これはいい。

⬜糖質オフで特上のおつまみに

というわけで、登場するのがいつものこちら。

水切り豆腐です。

どんぶりにしっかり水切りした絹ごし豆腐をスタンバイ。

卵を載せます。

その上に唐揚げをどん、どん、どん。鶏ではなく豚です、豚の唐揚げ。ここポイント。

できました。アレンジ再現北京飯の上。

これは間違いなくもりもり、ワシワシ食べられる。下にごはんがあれば、ランチに無敵。今回の“上”オン・ザ・水切り豆腐スタイルなら、間違いなくビールが進む。

しかも糖質オフで一石二鳥な気分です。

“北京飯の上”をアレンジしたら、おつまみの特上ができてしまいました。

そういえば、北京飯の上からカツ丼のアタマを連想したときに思ったのですが、北京飯って、材料的にはカツ丼に通ずるものがありますよね。

でも、実際つくって食べてみるとわかるのですが、これはカツ丼とはまったく別のメニュー。きのうカツ丼を食べた翌日に北京飯でもぜんぜん余裕でOK。というか、むしろ嬉しい。それくらいのおいしい個性です。

👨‍🍳クラシルでレシピ公開中

今回つくったアレンジ北京飯のレシピは、クラシルで詳しく紹介しています。よかったら見てみてください。

🤭おまけのエピソード

🤳本家さんからのコメント

ところで最後にちょっとした余談的なエピソードなのですが、このレシピをつくったあと、Instagramに投稿したんです。

すると、北京本店公式さんから、コメントをいただきました。びっくりするやら、嬉しいやら。いや、喜ぶより先に感じたのは驚きでした。

そのとき、ホントにびっくりしたことを物語る証拠があって、コメントにお礼の返信をしようとして、間違えてDMを送ってしまったんですよね。

SNSは毎日使っていて、それなりになれていて、そして今まで一度もそんなミスをしたことなかったのに…。あっと気づいたときにはメッセージ送信済み。

先方からすると、たまたま見たポストにコメントしたら、リプじゃなくていきなりDMって…。どうよ、って状況ですよね…。

しかも、DMした本人はリプのつもりだったので、突然なのに、中身はフランクなノリで絵文字付き。送った側は気づいた瞬間から、もう汗が噴き出しそうです。すぐにスマホの電源を落として、そのまま遠く長い旅に出たいくらいの恥ずかしさ。

とりあえず冷静になり、いただいたコメントにあらためてリプをしてみても、恥ずかしさが消えるはずもなく…。

そのとき。なんとDMに返信が。

🤳北京の神様、ありがとう

わー、どうしよう。開くのに勇気がいります。それはもう、なんなら素手でドラゴンに立ち向かうくらいのとてつもないくらいの勇気が。でも開かずに置いておけるほどの肝っ玉もなければ、開きたくなるくらいの好奇心も持ち合わせてます。

おそるおそるスマホに視線を落とすと、そこにはお礼のメッセージが。

ああ、ああ、よかった。北京飯の神様、見捨てないでくれてありがとうございました。私はこれからも北京飯の上をおつまみに、ビールをいただきます…。

というわけで、思わぬきっかけで、北京本店の公式さんから、コメントにプラスしてメッセージまでいただくという嬉しいできごとになりました。公式さん、そのせつは突然のメッセージでほんと失礼しました。温かいご対応ありがとうございました。

🍽料理の名前

それにしても、あとになって、ふとご本家さんによくポストを見つけてもらえたなぁと、ぼんやり思ったのですが、そこではっとする気づきがありました。

この料理が、もし豚唐揚げ丼という名前だったら、きっと見つけてもらえることはなかったでしょう。北京本店さんのオリジナルメニューで、それを表した北京飯という名前だから、それをアレンジ再現しようとしたトケイヤkitchenの記事を見つけてもらえたのだと思います。

そう考えると、オリジナルのメニューを開発したとき、どんな料理名にするのかが、とても大切なことだなぁ。そんなことを教えていただくできごとでした。

あ、そういえば…。この記事のメニュー…。

“からし焼き(仮)”とかいっでる場合じゃなかったですね…。もし、あのときもっとキャッチーな料理名をつけていたら、どこかしらでなにかしらの反応をいただけることもあったのかもしれません。そう考えるとこの1年数ヵ月がもったいなくも思えます。

ちなみにこのメニュー、まだ無名です。

久しぶりにつくって、食べながらなにか美味しそうな名前を考えてみようかなと思ったりしました。

ひとつのメニューを通じて、思わぬコミュニケーションと、ありがたい気づきを得た今回の一幕。

料理はおいしいだけじゃない、もちろんおいしいのは最高だけど、そこにプラスされる収穫もあるんだな、と。それはきっと、食べることは誰しもにとても身近で、そして自分はそのためにつくることを楽しいと感じているからです。

食べるだけじゃない料理の魅力に、また取り憑かれてしまいそうです。

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