ヘルシンキの下町カッリオ(Kallio)/観光情報#2の補足
前々回、前回と書いた観光情報の補足です。
※この記事にはおすすめのお店情報の記載はありません。
補足とは書きましたが自分としては本命記事です。
元々観光情報#2はKallio地区について書きたくて前座として投稿しました。
Kallio地区についてはいきなり始めると少々パンチが強い内容だったので、興味を持ってもらえるよう最初に観光情報を記載した経緯があります。
Kallio地区の歴史
昔のKallio地区は労働者階級の人が多く住むブルーカラーの街でした。
今は開発が進み20年前とかに比べたらだいぶ落ち着いたなと感じられます。
しかし未だにVaasankatu(通りの名前)では地元の人がワイルド飲みをするようなバーや風俗店が残っています。
小話
風俗店と聞くと法律上どうなの?という疑問が出てくる人のために。
※細かく書くのは躊躇する内容なので一部省略してます。ご了承ください。
フィンランドでは(未成年者を除き)売春行為自体は合法です。ただしそういった業態のビジネス、雇用を始めると違法行為に繋がることもあります。
一応合法とはいえ、警察から細かい事情聴取やらがあるようなので完全に野放しというわけではないようです。
またうまくカモフラージュされてると摘発は難しいこともあります。
もちろん安心してマッサージを受けられる店もたくさんあります。そちらのが多いくらいです。
また健全な店かは店構えですぐ分かるため安心してください。
時代の流れ
ではこのKallio地区、労働者階級の人間が多く住んでいるなら、この地区は左翼寄りかと思われそうですが現代ではそうでもなかったりします。
その背景をもつ在住者は現在ほとんどいません。昔の雰囲気を懐かしんで店に通う人が多いため、そういった店が残っているだけです。
少し前から現代にかけてKallio地区では学生や若者をはじめとした、リベラル思想の人が多く住んでいます。
サステナブルに興味がありベジタリアン(ヴィーガン)思考を持ち、LGBTQ+肯定派。これとリベラルを結びつける考えは暴論とも言えますが、実際Kallio地区に住む人はこの思想を持っている人が多い印象です。
※これはあくまでも個人の感想です。
こういった思想を意識したお店やレストランは多いように見受けられます。
写真は昔通っていたベジオンリーのレストラン。ここのSeitanプレートが大好きで足繫く通っていましたがコロナ時に閉店。悲しい。
ヘルシンキスラングの地
話は変わりますが、みなさんはスラング(俗語)をご存じでしょうか。
フィンランド語を勉強している人はヘルシンキスラング(Stadin slangi)という言葉を目にすると思います。1890年代、Kallio地区とPunavuori地区でヘルシンキスラングで生まれました。ここが発祥の地の一つのようです。
今ではもうコテコテのヘルシンキ下町っ子らしい言葉を話す人は少なくなりました。まだ使われている単語はあるものの、時代の流れとともに薄れてきているように感じます。
ちなみに Stadi とはHelsinkiのことです。スウェーデン語で町(Kaupunki)の意味である Stad から来ています。このようにヘルシンキスラングの7割以上はスウェーデン語が元となっています。
※ロシア語やドイツ語、英語などを元にした言葉もあります。
フィンランド語が分かる人(勉強している人)へのおまけ
ヘルシンキスラングがどんな感じかちょっと聞いてみましょう。
他の町から旅行か上京でヘルシンキに来た若者が、現地の人に道を聞くという内容のTV広告映像です。
例えばSteissiという単語は今でも非常によく使われていますね。
ヘルシンキ中央駅(Rautatieasema)を意味します。
※フィンランドに留学やワーホリで来る方、心配はしないでください。15年前ならともかく今はこんな癖の強い人はいません。
住む場所として
お洒落なカフェやレストランもあり、ヘルシンキ中心地まで近く魅力ある地区です。ただ騒がしい時も多いので住みたいかと言われたら私は住みたくはありません。
分譲ならまだしも、賃貸だと隣人ガチャがリスキーです。
Airbnbを借りる予定の旅行者や留学生は気を付けてください。
知人エピソード1
フィンランドの地方から出てきた知人T。物件を探していたところ、ヘルシンキ中心地から近く価格がお手頃な物件を見つけこの地区に住むことに。
夜中の2時、隣人の自称音楽コンポーザーがスピーカー(大音量)で音楽を流しはじめました。重低音も中々のもので耳栓をつけても防ぎきれなかったそうです。当然寝れるわけがありません。
周りのヘルシンキ出身者に話したところ「ああ、あの辺ならありえるかもね」で済まされてしまったようです。値段が安いのには訳がある。
知人エピソード2
Vaasankatuを知人と歩いていた時「あそこ・・」と、とあるバーを指さしました。なんでも若い時にそのバーの上の階に住んでいたものの、夜中バーで騒ぐ人がうるさくて眠れなかったという話を聞きました。
しょうがない、Vaasankatuに住むのが悪い。
今ではちょっとお洒落な落ち着いた雰囲気のバーになっています。
上品な店になっちゃって・・と、時代を感じます。綺麗な店が増えるのはいいことですが、あの粗野な雰囲気がなくなるのもちょっと寂しいですね。
旅先で味わうもの
旅行先で食べたお菓子が美味しくて、日本へのお土産として買っていく旅行者の方も多いでしょう。
いざ日本に帰り、家族や友人と一緒にお土産を実食となったときにこう感じたことはありませんか?
「あれ、美味しいけどなんか違うな?こんな味だったっけ?」
この現象が何なのかは自分もよくわかっていません。
ただ仮説を立てるとしたら、どの環境で食べるのかによっても味覚が少し変わるのでは、と私は考えています。
その土地の背景を知ったうえで、地元民が行くような店に入り、行き交う人や街並みを眺めながら食事をする。何の変哲のない食べ物でも、それはその土地ならではのものを楽しんでる気がしませんか。
お洒落で綺麗な街並み、サーモンスープやトナカイ肉に飽きてしまった人はヘルシンキの下町ともいえるKallio地区をふらふらしてみてはどうでしょう。