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フィンランドで家を買う#1 基礎知識と準備編

日本語で「フィンランドで家を買うため」の情報をあまりみかけません。
フィンランドに住んでる日本人が少ないのが理由でしょうけれども。
需要がないのはわかりきっていますが書きます。書きたいので。

家を買うことを考えてない人でもサラッと読める記事を目指して書きたいと思います。「フィンランドで家を買うのってこんな感じなんだー」くらいのゆるさで読んでいただければ幸いです。

※長くならないよう複雑な説明は一部割愛してます。
気になった方はご自身でも調べることをおすすめします。



基礎知識編 住み方を考える

フィンランドには家に住む方法が大きく分けて3種類あります。

賃貸住宅

Vuokra-asunto(ブオクラ アスント)と呼ばれています。
フィンランドに住んでいる日本人の大半はこれなのではないでしょうか。
日本と同じく家主に賃料を払い部屋を貸してもらうタイプです。


持ち家

Omistusasunto(オミストゥス アスント)と呼ばれています。
こちらも日本ではお馴染み、いわゆる家を買うのがこれに該当します。

ただしフィンランドでは日本と大きく異なる点が一つあり、これは#3で解説します。
一言で言うならば家を買ったら株主になります
何を言ってるかわからないと思いますが解説が複雑なので#3に持越しです。


居住権住宅

Asumisoikeusasunto(アスミス オイケウス アスント)と呼ばれています。
日本にはないパターンなので少しだけ補足します。

これは平たく言うと賃貸と持ち家の中間の形態です。

名の通り権利を購入するだけので、家を所有していません。
賃貸料のようなものを加えた高めの維持費を毎月支払う必要があります。
また金額も毎年更新され変動します。

この維持費はフィンランド語で「Vastike」と呼ばれています。
賃貸住宅の賃料とは別ですが、管理費とするには持ち家に比べ高いので少し語弊があります。
日本にはない制度だと思うので日本語訳が難しいですね。

では賃貸とどう違うのかというと、ずっと住み続けられることです。
オーナーの意向で退去しなければならない等の心配がありません。

また持ち家と同じ感覚で内装を変えることができます。
キッチンのリノベーションなんかもOKです。(事前申請がいるところもありますのでいきなり始めるのは止めましょう。)

価格は不動産価格の15%前後が一般的なのでローンを組まずに一括で支払うことも可能です。



以上が基礎知識編でした。
買うことを検討し始めた方は物件を調べ始めてもいいでしょう。
ただしそれと並行して以下の準備作業を進めることをおすすめします。


事前準備編

家を買う必要があるか考える

賃貸か持ち家か・・・これは日本でもよくある議題ですね。
自然災害が少ないフィンランドでは持ち家派が多いように思えます。

留学ならもちろん賃貸が一番手軽です。駐在の方は雇用主が用意している場合も多いでしょう。
現地採用や国際結婚で来られた方、永住の可能性がある場合は持ち家をおすすめします。なぜならフィンランド国内で引っ越す、つまり住居の買い替えはリスクが少ないからです。
(持ち家が資産として将来的にどう価値があるのか、については省略します。日本と同じ理由です。)

逆に日本に本帰国する際に不動産を売却するのはリスクが高いといえるでしょう。2024年1月現在、金利は結構な高さであり不動産の買い時とは言い難いです。「5年以上住むなら元が取れるので持ち家」と謳う人も中にはいますが、市場の状況によっては元を取るどころか損をする可能性もあります。完全に時と場合によるので、5年という期間はあまりに抽象的すぎると私は思います。

家族や周りの人に相談するなどしてじっくり考えましょう。


ASP口座を開設する

ASPは正式名称 Asuntosäästöpalkkiotili の頭文字をとった略称です。
住宅購入に特化した定期預金のようなものです。
(直訳すると住宅貯金の報酬口座?こう書くと何だかよくわかりません。)

当然開設してなくても家は買えますが、特化してあるだけあってメリットが多いので購入を検討してる人はぜひ開設してほしいです。
検討していない人は、こんなものがあるんだな程度に読んでください。


メリットはざっと書くとこんな感じです。

1. 資金の積み立て期間内にもらえる金利(1%)が非課税です。
2. 住宅を購入した時に追加金利がもらえます。これも非課税です。
3. ローン開始最初の10年、行政が金利の上限超過分を補償します。

1の非課税金利は住居を購入せずに口座を解約すると課税対象となります。ただし自動的に引かれるので特に何かをする必要はありません。

【3についての補足】
金利が高くなりすぎても行政が超過した分の7割を補償してくれるということです。(注意点:金利全体の7割ではなく、超過した分のみの7割です。)金利の上限は3,8%※とされています。
※この3,8%も厳密にいうと少し変わるので目安程度に考えてください。

なお自分の今住んでいる住居もASPを通して購入し、現在は絶賛高金利中なのでこれが適用されています。全額払う必要がないのは助かりますね。


ただし計画的に積み立てていないと使えないものなので勢いで買う人には不向きな制度です。

A.  開設してすぐ購入に利用できない。2年以上積み立てる必要がある。
B
. 一回あたりの積立金額に制限がある。
C. 口座開設時に年齢制限があり15歳から44歳までが対象。
D. 口座を解約しなければ積み立てたお金は引きおろせない。
E. 購入時は不動産価格の10%以上を積み立てている必要がある。

【Eについての補足】
夫婦2人共同名義で折半し購入する場合などでは、1人当たり不動産価格5%だけでも規定を満たすことができます。
(例:€400,000の不動産を2人で購入する場合1人当たり€200,000、それの10%は€20,000となり、それぞれが€20,000づつ積み立てしてればOK)

OPのサイトにいい画像があったので日本語に訳して掲載しています
興味ある方はクリックしてください



Lainalupausを請求する

物件探しを本格的に始める際には銀行の予約をしましょう。
Lainalupaus(ライナ ルパウス)をもらうためです。
これは銀行がどのくらいのお金を貸せるのかが記されているもので、発行から3ヶ月間有効です。失効したら再申請しましょう。
(銀行によっては6ヶ月有効のところもあります。)

自分がいくら借りられるのかがわかっていれば家探しも的が絞れますし、何より買いたい物件が見つかった時の申込がスムーズに進みます。

定職についていない、または永住権を持っていない(今後持てるかも不明)といったステータスだとそもそもローンを組めない可能性もあります。


次回では物件探しについて

いかがでしたでしょうか。
次回の#2では物件を探すときの注意点などを紹介しています。